ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
犀星の限定本
ここでは、100部以下で出版された犀星の限定本を紹介しています。犀星の限定本は比較的出版されていますが、その多くが50部以下と発行冊数が少なく貴重です。
発行冊数が少ない順に以下の限定本が出版されています。
・故郷の町・蟲姫日記
13部私家本(113部限定特装版の内) 成瀬書房社刊 昭和62年8月1日発行
・鉄集
特製限定20部本(家蔵本)椎の木社刊 昭和7年9月30日発行
・兄いもうと
特製限定20部本 山本書店刊 昭和14年6月1日発行
・抒情小曲集(別版/自選)
特製本限定35部 四季社刊 昭和9年12月5日発行
・鶴
特製限定46部本 素人社書屋刊 昭和3年9月15日発行
・故郷図絵集
特製50部限定本 椎之木社刊 昭和2年6月1日発行
・十九春詩集
50部発行 椎の木社刊 昭和8年2月1日発行
・神々のへど
限定50部本 山本書店刊 昭和10年1月28日発行
・美しい歴史
限定50部(第1次)冬至書房新社刊 昭和55年6月25日発行
・定本愛の詩集
限定72部本 豊島書房刊 昭和41年10月15日発行
・抒情小曲集 愛蔵版
限定77部 冬至書房刊 昭和43年10月10日発行
・女の図
特製限定100部本 竹村書房刊 昭和10年6月15日発行

故郷図絵集 特製50部限定本
椎之木社刊
昭和2年6月1日発行 カバー
参考価格 特製50部限定本 250,000 ~ 300,000
入手困難度 
★★★★★
普通本と特製50部限定本があります。書影は、特製50部限定本です。残念ながら状態もあまり良くなく、薄紙カバーも欠けています。
「室生犀星文学アルバム」(大田区立郷土博物館刊)など多くの参考文献においてもこの布装厚紙表紙のものの書影が掲載されています。
故郷図絵集 特製50部限定本
初版(本表紙)
故郷図絵集 特製50部限定本
初版(中表紙)
故郷図絵集 特製50部限定本
初版(奥附)


鶴 特製限定46部本
素人社書屋刊
昭和3年9月15日発行 四六判 函、布装厚表紙、毛筆署名入

装幀 恩地孝四郎
参考価格 限定46部本 150,000 ~ 250,000
入手困難度 
★★★★★
珍しい特製限定46部本です。墨署名と奥附に「四十六冊の内第十九」との手書きの書き込みがあります。
その他にも、布装厚表紙となっており特製売価も通常定価二圓に対し三圓と高価です。これまでも何回かヤフオクやインターネット古書店に出品されています。
鶴特製本(初版)函
鶴特製本(初版)本
鶴特製本(初版)奥附


鉄集 特製限定二十部本(家蔵本)
椎の木社刊
昭和7年9月30日発行 四六倍判、函、パラフィンカバー
参考価格 200,000 ~ 300,000
入手困難度 
★★★★★
犀星の詩集「鐡(鉄、くろがね)集」(椎の木社刊、昭和7年9月30日発行)の特製限定二十部本(特製二十部の内の第十九冊)です。たった二十部との非常に貴重なものです。
 「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊、昭和43年1月30日発行)の巻末に収録されています「書誌」(結城信一編)を確認したところ、「*特製本(家蔵本)限定二十部・定価空欄・箱附」との記載がありました。(p.538)
鉄集(特製限定二十部本)本
鉄集(特製限定二十部本)中扉
鉄集(特製限定二十部本)奥附
これまで、この特製限定二十部本については情報がありませんでしたが、確認したところ
1.奥附(紙の貼り付け)には売価の記載がなく非売品、家蔵本として作られた可能性がある
2.犀星の墨書署名入り(非常に堂々とした署名です。)
3.函附(「鐵集」と印字された黒い紙貼り付け)、本にはパラフィンカバー附
4.通常本と同様に番号入り
5.本表紙に「鐵集 室生犀星」との印刷がなく無地、背には「鐵集」のみ印刷
6.頁の紙には手漉きのような高級な用紙が使われており、機械裁断されていない
と、通常版とは異なった装幀、造りとなっていました。
調べたところ近代文藝復刻叢刊として冬至書房から昭和45年4月25日に限定500部で出版された復刻版の「鐵集」付録の「『鐵集』の主題」伊藤信吉著に「製作も限定三百五十部という少数部で、それに箱入りの特製二十部があった。」との記述があり、確かに箱入りだったことが判りました。


十九春詩集 50部発行
椎の木社刊
昭和8年2月1日発行 菊大判
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 150,000 ~ *250,000
入手困難度 
★★★★★
出版部数も50部と非常に少なく、装幀も非常にシンプルで、そのために多くは捨てられてしまっている可能性が高く、ほとんど市場に残っておらず、非常に希少です。
また、復刻版にはその表示がないため、オリジナルとの見分け方も重要です。 詳細は、「十九詩集の真贋」の頁で紹介しています。

十九春詩集(初版)本 *1
十九春詩集(初版)奥附
十九春詩集(初版)4頁


抒情小曲集(別版/自選) 特製本限定35部
四季社刊
昭和9年12月5日発行 菊判 カバー
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1211573
(特製本のように見えます)
参考価格 150,000 ~ 250,000
入手困難度 
★★★★★
この抒情小曲集は、初版、新版が小型本であるのに対して大型、カバー装と大きく趣が変わっています。
内容としても初版の「抒情小曲集」「青き魚を釣る人」「鳥雀集」からの自選で構成されており、迦陵頻(かりょうびん)歌集の副題が付けられています。巻頭には「迦陵頻(かりょうびん)とは極楽にいる小鳥の名前なり。」との記載があります。
特製本は、俳句、署名入りの限定35部として販売されています。
現時点で、入手できていないため書影は、通常本のものです。
抒情小曲集(別版)カバー
抒情小曲集(別版)本
抒情小曲集(別版)奥附


神々のへど 限定50部本
山本書店刊
昭和10年1月28日発行 新菊判 函、識語署名入り
参考価格 150,000 ~ 200,000
入手困難度 ★★★★
室生犀星の署名入り限定50部本です。限定50部と少ない発行部数ですが、市場には常に流通しています。
識語署名入りで、「梅 笛 太鼓 犀星」「こどもらやスミの手あらふ梅の花 犀星」の2種類の存在が確認できています。
神々のへど
(限定50部本)函 *1
神々のへど
(限定50部本)本
神々のへど
(限定50部本)奥附


兄いもうと 特製限定20部本
山本書店刊
昭和14年6月1日発行 四六判 函、帯、俳句入り
参考価格 200,000 ~ 300,000
入手困難度 
★★★★★
特製限定本として20部のみ作成された貴重な本です。
但し奥附を見ると番外本のようです。
兄いもうと
(特製限定20部本)本 *1
兄いもうと
(特製限定20部本)署名
兄いもうと
(特製限定20部本)奥附


女の図 特製限定100部本(初版)
竹村書房刊
昭和10年6月15日発行 四六判 函、布装
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1209398
参考価格 特製版 80,000 ~ 150,000
入手困難度 
★★★★★
通常版が一般的な紙装であるのに対して、特製限定本は、函、本ともに布装、奥附の全てが手書きとなっています。また、通常版の定価二円に対して、特装版は倍の定価四円となっています。
女の図 特製限定本(初版)函
女の図 特製限定本(初版)
本(裏)
女の図 特製限定本(初版)
奥附


定本愛の詩集 限定72部本
豊島書房刊
昭和41年10月15日発行 四六判変形 総皮貼装幀、タトウ函、外函 
参考価格 20,000 ~ 25,000
入手困難度 ★★★
「定本愛の詩集」の限定72部本です。挿絵は畦地梅太郎氏の手摺版画で、総皮装の豪華本です。
奥附には、限定72部の記載があり、本書はその第 部との記載はありますが、不思議なことに実際の限定番号の記載は省略されており空欄となっています。
その後、限定番号入りも入手できたことから、最初のものは番外本ではないかと思われます。
定本愛の詩集
(豊島書房版)函
定本愛の詩集
(豊島書房版)本
定本愛の詩集
(豊島書房版)奥附


抒情小曲集 愛蔵版 限定77部
冬至書房刊
昭和43年10月10日発行 菊半裁変形判 函、外函
参考価格 5,000 ~ 10,000
入手困難度 
★★★★★
ヤフオクで入手しました。入手して本の色が飴色だったため「愛蔵版」であることに気づきました。
復原版をベースに愛蔵(豪華)版として本の装幀を革装、型押、天金としています。定価も復原版が1,200円に対し、2倍以上の2,800円となっています。この1冊は限定77部のうちの11番本です。
抒情小曲集
(愛蔵版)外函
抒情小曲集
(愛蔵版)函
抒情小曲集
(愛蔵版)本
抒情小曲集(愛蔵版)奥附 限定No.77


美しい歴史 限定50部(第1次)
冬至書房新社刊
昭和55年6月25日発行 四六判 函、外函
参考価格 8,000 ~ 12,000
入手困難度 ★★
限定50部(第1次)本以外にも、第2次43部特装限定版も存在します。
美しい歴史(限定50部)函
美しい歴史(限定50部)本
美しい歴史(限定50部)奥附

故郷の町・蟲姫日記 13部私家本(113部限定特装版の内)
成瀬書房社刊
昭和62年8月1日発行 四六判 外函、帙入り
参考価格 20,000 ~ 30,000
入手困難度 ★★★★
外函には、「『故郷の町』には没後二十五年にして初めて公表される「片町」が収録されています。『蟲姫日記』は全集でも収録もれの貴重な作品。二篇を一冊ずつの和本にして、原稿用紙から筆跡まで復刻しました。美宝紬及び麻布装表紙。七宝焼き嵌め込みの爪付き帙入り」との記載があります。
故郷の町・蟲姫日記
外函
故郷の町・蟲姫日記
蟲姫日記
故郷の町・蟲姫日記
蟲姫日記奥附

故郷の町・蟲姫日記
故郷の町
故郷の町・蟲姫日記
「原稿と既刊本との対比」
故郷の町・蟲姫日記
内容案内

「故郷の町・蟲姫日記」の内容見本です。
フッターイメージ