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昭和17年下期に出版された著書

乙女抄
短篇小説集

乙女抄 初版12,000部発行
偕成社刊
昭和17年7月10日発行 四六判 函
装幀 著者
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1134468
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★

乙女抄(初版)函
乙女抄(初版)本
乙女抄(初版)奥附

乙女抄(再版) 再版6,000部発行
偕成社刊
昭和17年10月30日発行 四六判 函
装幀 著者
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1134468
参考価格 500 ~ 1,000
入手困難度 ★★
再版では、奥附の印紙印が「犀」から「星」に変更されています。発行部数も半分の6,000部となっています。
乙女抄(再版)函
乙女抄(再版)本
乙女抄(再版)奥附

乙女抄(別版)
偕成社刊
昭和21年4月5日発行 B6版
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★
比較的大人しい(地味な)装丁の1冊です。ようやく見つけて書影をアップすることができました。
乙女抄(別版)表紙
乙女抄(別版)裏表紙
乙女抄(別版)奥附

残雪
短篇小説集
この「残雪」は、版毎に全て姿(装幀)を変えています。犀星の強い拘りが感じられる1冊です。
初版以外は、なかなか市場にでてきません。先日、短篇小説集「残雪」の第三版を入手しました。非常に珍しいもので、ほとんど市場にはでてきません。これで存在が判明している全ての版を入手し、掲載することができました。
初版から並べてみると装幀に対する犀星の強い拘りを感じます。
左から、「初版」函、「再版」函、「三版」「四版」「別版Ⅰ」「別版Ⅱ」、「別版Ⅱ」異装本となります。「三版」からは、函無しになっています。
ちなみに、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編には、「別版Ⅰ」の存在は記載されていません。
さらに先日、「別版Ⅱ」の異装本を発見しました。「別版Ⅰ」と同じ装幀になっています。


残雪(初版)
竹村書房刊
昭和17年12月20日発行 四六判 函
装幀 著者
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1130199
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★

残雪(初版)函*2
残雪(初版)本
残雪(初版)奥附

残雪(再版)
竹村書房刊
昭和18年3月20日発行 四六判 函
装幀 著者
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1130199
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★★
再版では、函、本ともにその意匠が変更されています。
残雪(初版)函
残雪(初版)本
残雪(初版)奥附

残雪(函背)左が初版、中央が再版、右が三版のもの
【「残雪」初版と再版】
短篇小説集の「残雪」は、「室生犀星書目集成」(室生朝子。星野晃一編、昭和61年11月25日発行)では、四版までの記載があります。
初版と再版でも装幀に大きな違いがあり、函では題字で、「残雪」の「残」と「雪」の間が初版が、10mmに対し、再販は23mmと見た目も違っています。本は、紙質の違いと、再版では模様が印刷されています。その他、左の函背や厚さ、中扉の題字等同じ本とは思えないほど違いがあります。
また、第三版では、函なしの軽装版に変わっています。
初版は市場に多く流れているものの、再版以降はほとんど市場にでてきません。
また、再版の奥附には「初版5,500」、「再版2,000」との出版部数の表示があります。前出の「室生犀星書目集成」では、初版四千五百部(第四版の奥付による)との異なった記載があります。

残雪(三版)
竹村書房刊
装幀 著者
昭和18年10月20日発行 B6版 紙装表紙
参考価格 1,500 ~ 2,000
入手困難度 ★★★★
非常に珍しい「残雪」の第三版です。三版から、函なしの軽装版に変わっています。但し、紙質は比較的上質です。また、この本も装幀は、犀星によるものです。
残雪(三版)表紙
残雪(三版)裏表紙
残雪(三版)奥附

残雪(四版)
竹村書房刊
昭和19年2月20日発行 B6版 紙装薄表紙
参考価格 1,000 ~ 1,500
入手困難度 ★★★
非常に珍しい「残雪」の第四版です。四版から、さらに薄紙軽装に変わっています。
残雪(四版)表紙
残雪(四版)裏表紙
残雪(四版)奥附

残雪(四版)巻頭の序詩
残雪(四版)奥附
発行冊数表示

残雪(再版)奥附の発行冊数表示

興味深いのが、発行冊数の表示で、
再版の奥附には、「初版5,500、再版2,000」(左写影)
四版の奥附には、「初版4,500、再版3,000、三版2,000、四版3,000」(右上写影)と異なる表示になっています。
「室生犀星書目集成」(星野晃一、室生朝子編)では、この第四版の奥附の発行冊数が記載されています。
当時は結構いい加減だったようです。

残雪 別版(Ⅰ)
清水書房刊
昭和21年5月10日発行 B6版 紙装薄表紙
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★★★★
「残雪」の清水書房刊の別版です。この昭和21年度版は、非常に貴重です。「室生犀星書目集成」(星野晃一、室生朝子編)等にも、この本の記載が無く、昭和22年度版が記載されています。内容としては昭和22年度版と違いはありません。
この存在について、「室生犀星作品集(全12巻)」(新潮社刊 昭和33年11月25日~ 昭和35年5月31日)月報に掲載されている「室生犀星書誌(7)」に「『残雪』は、昭和二十一年、清水書房より新版刊行」との記載がありました。
残雪(別版)本表紙
残雪(別版)裏表紙
残雪(別版)奥附

残雪 別版(Ⅱ)
清水書房刊
昭和22年1月20日発行 B6版 一体紙カバー装
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★★★
またまた、「残雪」の異装本を発見しました。
今回、新たに発見したのは、清水書房から昭和22年1月20日に出版されたもので、多くが黒のカバー装であるものが、「別版(Ⅰ)」と同じ装幀になっています。ということは、「別版(Ⅱ)」には、装幀の異なる2種類が出版されたことになります。以前はこれを「別版(Ⅱ)」の異装本としていましたが、「別版(Ⅰ)」と同じ装幀であることからこちらを標準本としました。
先日、黒の装幀の別版(Ⅱ)の2冊目を入手したところ、黒のカバー附きとなっており、そのカバーを外すとこの装幀と同じになっていました。以前の別版(Ⅱ)は、黒カバーの糊付けとなっていたため気づきませんでしたが、同一の可能性があります。(2020年1月19日)
残雪 別版(Ⅱ)本表紙
残雪 別版(Ⅱ)裏表紙
残雪 別版(Ⅱ)奥附

残雪 別版(Ⅱ)異装本
清水書房刊
昭和22年1月20日発行 B6版 紙装薄表紙、帯
参考価格 1,000 ~ 2,000(帯付 5,000 ~ 10,000)
入手困難度 ★★
この清水書房版の「残雪」には、帯が附いています。定価20円となっています。
残雪 別版(Ⅱ)異装本 本表紙
残雪 別版(Ⅱ)異装本 中表紙
残雪 別版(Ⅱ)異装本 奥附

収録作品が以下のように別版から変更されています。


瞼のひと
短篇小説、童話集

瞼のひと
偕成社刊 初版10,000部
昭和17年12月5日発行 四六判 函
装幀 著者
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1134465
参考価格 2,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★★
1冊目はインターネットで状態の悪いものを1,000円で購入。2冊目はヤフオクで非常に状態の良いものを300円で落札。やはり、2冊目ぐらいで良い状態のものが手に入るというジンクス通りか。
瞼のひと(初版)函*2
瞼のひと(初版)本
瞼のひと(初版)奥附

瞼のひと(再版)
偕成社刊 再版3,000部
昭和18年3月15日発行 四六判 カバー
装幀 著者
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★★★
この再版から、紙装薄表紙、カバー装に変更されています。
最も出版部数が少ない再版です。この時期は紙質が悪く、状態が良いのは少ないようです。
瞼のひと(再版)カバー
瞼のひと(再版)本
瞼のひと(再版)奥附


瞼のひと(三版)
偕成社刊 三版4,000部
昭和18年6月10日発行 四六判 カバー
装幀 著者
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★★★
瞼のひとの第三版です。「室生犀星書目集成」(室生朝子、星野晃一編、昭和61年11月25日発行)にもその存在が記載されています。
初版が紙装厚表紙、函附に対し、三版は紙装薄表紙にカバー装となっています。また、発行部数も初版の10,000部に対し、4,000部と少なくなっており、市場に出てくるのは稀です。
瞼のひと(三版)カバー
瞼のひと(三版)本
瞼のひと(三版)奥附


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