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昭和34年上期に出版された著書

遠野集
俳句集
数少ない俳句集の1つです。
遠野集
五月書房刊
昭和33年3月20日発行 四六判 函 初版2,000部発行
参考価格 3,000 ~ 4,000 (*1,100)
入手困難度 ★★
なぜか入手済みの2冊ともの検印紙がはがされていましたが、献呈宛名入りの名刺附きで入手した3冊目には検印紙がちゃんと貼り付けられていました。ちなみに献呈宛名は、あの「内田百聞」氏です。残念ながら最後年の日記が全集等にも掲載されておらず、当時の状況はわかりませんが、なんらかの交流があったようです。
遠野集(初版)カバー *1
遠野集(初版)本
遠野集(初版)奥附

遠野集(新版) 限定530部
むなぐるま草紙社刊
平成2年7月5日発行 菊大変形判 和装本、カバー
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★★
文人句集シリーズNo.Ⅲとして出版されました。犀星自筆の「遠野集」と「犀星發句抄」が掲載されています。また、解説として室生朝子著の「犀星一家と俳句」が巻末に収録されています。
遠野集(新版)カバー
遠野集(新版)本
遠野集(新版)奥附

遠野集(室生家私家本) 限定137部
東峰書房刊
昭和45年1月25日発行 菊倍判
春慶塗函、外函、風呂敷、犀星肉筆句稿一葉、室生朝子著「父と俳句」附き
春冊38部、夏冊25部、秋冊22部、冬冊43部、新年9部の計137部
参考価格 40,000 ~ 120,000
入手困難度 ★★
これまでこの「遠野集(室生家私家本)」について三冊入手しています。
最初に入手したのは、夏冊25部の内の第21番本で、犀星の肉筆句稿には「あやめ」が附いていました。
これは、室生家私家本の中では、標準的なもので市場にも多く流通しています。
夏 あやめ 「絲まきに糸まあれゐるあやめかな」
「遠野集」の「序」で犀星は、「なほ本集の墨書原稿は昭和十二年の冬に、信州軽井沢の宿でこつこつ書いた物で、その当時から墨書きの書物を思ひ立つてゐたが、機会がなく今日に至ったものである。」と書いています。
夏冊25部の内の第21番本(室生家私家本)
遠野集(私家本)外函
遠野集(私家本)春慶塗函
遠野集(私家本)本

遠野集(私家本)句稿
夏「あやめ」
遠野集(私家本)
夏冊25部の中の第21冊本
遠野集(私家本)
別冊 室生朝子著「父と俳句」

夏冊25部の内の第1番本(室生家家蔵本)
この1冊は貴重なもので、奥附に「夏冊25部の内の第1番本」との記載の他に赤字で「家蔵」との記載があります。
 なぜ「家蔵」となっているかについては記載はありませんが、夏冊の1番本であることと、句稿として附いている「夏めく」について添付されている室生朝子氏著の「父と俳句」に記載があることが理由として考えられます。そこには、以下のような記載がありました。
「夏の句のなかで、夏めくと題する句は、
 靴音の記者は乙女か夏めかける
原稿は夏めかけるとなっていたが、昭和二十九年の五月に、ある女性編集者に書いた葉書にこの句がそえてあり、夏めけるとあった。あきらかに父の書き誤りであるので、活字の部分は訂正した。」と。
その後、この葉書の内容を確認することができました。「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊、昭和43年1月30日発行)の書簡(昭和二十九年)の中の記者、小島きくえ氏宛の5月25日附の葉書(p.441)にこの句がありました。
遠野集(私家本家蔵本)本
遠野集(私家本家蔵本)
句稿 夏「夏めく」
遠野集(私家本家蔵本)
奥附」

番外本(「春」タイトル原稿付き)限定137部本外*2
先日、ヤフオクで「遠野輯」(私家本)の不思議な番外本を落札しました。句稿としては、季節のタイトルの「春」と書かれた原稿が附いていました(写真下左)。
「遠野集」(五月書房刊 昭和34年3月20日発行、写真下右)を確認したところ季節のタイトルとなっている「春」と同じ筆跡でした。
また、本の装幀も単色の簡易なもので、奥附もありませんでした。(写真右)
外函や春慶塗の函はありましたが、別冊、風呂敷などもなく、簡易な装幀から見本として作成されたもののようです。(2019年11月17日)

「遠野集」の覆刊版です。
遠野集(覆刊)
志村有弘氏 解説
鼎書房刊 四六判
平成31年2月20日発行
販売価格 1,800 (税別)
入手困難度 現在も入手可能
ここからも購入できます →
http://www.kanae-shobo.com/kin/064.htm
この覆刊「遠野集」は、軽井沢高原文庫で購入したものです。
「遠野集」は、犀星の自筆墨書によるもので、その「序」にも「なほ本集の墨書原稿は昭和十二年の冬に、信州軽井沢の宿でこつこつ書いたもので、」との記載があり軽井沢と深い関係があります。
遠野集(覆刊)表紙
遠野集(覆刊)奥附
遠野集(覆刊)オリジナル奥附

ふるさとを訪ねて 石川
文学風土記

ふるさとを訪ねて 石川 少年少女文学風土記〔3〕
泰光堂社刊
昭和34年4月15日発行 カバー、帯、月報
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★★★★
少年少女文学風土記〔3〕として室生犀星編で出版された珍しい1冊です。
カバーの折込には犀星が「編者のことば」として「広い範囲の文献という目標で編集、しかしなお遺漏があり完全ということはできないが、時日と頁の関係からなるべく完ぺきに近い方針を執った。古文書・写本類等の省略は止むを得ないものがあった。」との記載があります。

また、犀星の作品としては詩「犀川の岸辺」(目次では「犀川」)が、収録されています。この詩は、犀星の処女詩集である「愛の詩集」に収録されたものですが、比べて見ると旧かな使いや漢字を直しているだけでなく、7箇所において改変されています。詳細については詩「犀川の岸邊」の変遷の頁で紹介しています。
ふるさとを訪ねて 石川(初版)カバー
ふるさとを訪ねて 石川(初版)本
ふるさとを訪ねて 石川(初版)奥附

生きるための橋
短篇小説集

生きるための橋
実業之日本社刊
昭和34年5月1日発行 B6判 カバー 初版7,000部発行
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★
非常に良い状態のものを、ヤフオクで落札させていただきました。
生きるための橋(初版)カバー *1
生きるための橋(初版)本
生きるための橋(初版)奥附

硝子の女
随筆集

硝子の女
新潮社刊
昭和34年5月5日発行 新書判 カバー、帯 初版10,000部発行
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★
比較的状態の良いものが市場に流通しています。(9/25)
再版が、昭和34年5月29日に3,000部発行されています。
硝子の女(初版)カバー*2
硝子の女(初版)本
硝子の女(初版)奥附

左は、随筆集「硝子の女」に書かれた「森 茉莉(まり)」氏宛の献呈署名です。
昭和36年4月4日発行の女流評伝「黄金の針」(室生犀星著)の「森 茉莉」の項では、昭和33年6月に初めて室生犀星を訪問し、交流がはじまり、その後に「昨日の夕方に着いた茉莉さんの手紙は、私が送った書物のお礼状が認められていたが、」との記載があります。
33年6月以降で、35年3月※までの間の出来事ですから、ここに登場する書物が、まさにこの「硝子の女」の可能性は高いと思われます。
ちなみに、「森 茉莉(まり)」氏は、あの森鴎外の娘でエッセイストとして活躍しました。代表作としては「父の帽子」などがあります

※初出誌が、婦人公論(1960年3月号)であるため。

現代人の日本史 平安遷都
歴史書

平安遷都 現代人の日本史4(全18巻)
河出書房新社刊
昭和34年5月25日発行 四六判 函、帯、月報
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★★
歴史書ではありますが、室生犀星の初出誌の1冊です。市場に流通している数は多く、容易に入手することができます。今回、帯付の美本を入手することができました。
平安遷都(初版)函
平安遷都(初版)本
平安遷都(初版)奥附


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