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昭和7年に出版された著書

青い猿
長編小説

「都新聞」に昭和6年6月より73回連載されたもので、芥川龍之介、萩原朔太郎がモデルとなっています。
青い猿
春陽堂刊
昭和7年3月1日発行 四六判 函
装幀 恩地孝四郎
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1186515
参考価格 30,000 ~ 40,000(函欠8,000 ~ 10,000)
入手困難度 ★★★★
以前は、函欠であれば比較的容易に入手することができましたが、最近は市場に出てくる数が少なくなり、高価になっています。
青い猿(初版)函 *1
青い猿(初版)本
青い猿(初版)奥附

犀星随筆
随筆集(短歌含む)

犀星随筆 春陽堂文庫(79)
春陽堂書店刊
昭和7年9月1日発行 文庫判
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★★
春陽堂文庫79として出版されています。
犀星随筆(初版)表紙 *1
犀星随筆(初版)裏表紙
犀星随筆(初版)奥附

鉄集
詩集

冬至書房より昭和45年4月25日に近代文芸復刻叢刊の1冊として刊行部数500冊で復刻版が出版されています。
特に最近インターネット古書店やヤフオクでも比較的出品されており、手軽に入手できるようになってきているため「鉄集の真贋」の頁を作成しました。ぜひ、活用ください。
鉄集(くろがねしゅう) 限定350部
椎の木社刊
昭和7年9月30日発行 四六倍判
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 30,000 ~ 60,000(限定20部本 300,000)
入手困難度 ★★★★

この「鐡集」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「詩集『鶴』の思ひあがりのもとがこの詩集にも見られるが、『鐡集』出版以後は詩と別れるといふ感想を書いたこともあつたが、実際は少しづつ書いてゐたやうである。『昨日いらつしつて下さい』もさうだし『晩年』もその後の詩集である。或る時期には余波のやうな詩のせせらぎが、私のまはりにそそいでゐて、何時もこれを迎へて集編されてゐることから、やはりこれらの詩を愛してゐたことが判る。もはや現代の詩としてはこれを示すことは出来ないが、歴史のずつと端の方にぶらさがつてゐる一冊の詩集と見ればよくないかとも思ふ。」

ヤフオクで落札しました。強い日焼けがありますが、状態は良くありません。表紙、裏表紙の折り返しも切り取られています。先日、2冊目を同じヤフオクで落札しました。やはり日焼けが強いものの、折り返し部分は全て残っていました。
鉄集(初版)本
鉄集(初版)中扉
鉄集(初版)奥附

鉄集(くろがねしゅう) 特製限定二十部本(家蔵本)
椎の木社刊
昭和7年9月30日発行 四六倍判、函、パラフィンカバー
参考価格 200,000 ~ 300,000
入手困難度 
★★★★★
犀星の詩集「鐡(鉄、くろがね)集」(椎の木社刊、昭和7年9月30日発行)の特製限定二十部本(特製二十部の内の第十九冊)を入手しました。たった二十部との非常に貴重なものです。
「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)や「古本便利帳」八木福次郎著(東京堂出版刊、平成3月30日初版発行)等の書誌には記載があり、その存在を知っていましたが、市場等でその存在が確認できたのは初めてでした。
 「室生犀星書目集成」(同)には、「家蔵本(墨書署名入)、限定二十部あり、内容は同じ。」との記載があり、この特製限定二十部本以外にも家蔵本も存在するようです。
家蔵本と同様にこの特製限定二十部本にも墨書署名がありました。
 この記載ですが、ひょっとすると家蔵本が限定二十部ということかもしれません
 奥附を確認したところ、通常本では「刊行部数350部 売価金壹(一)円貮(二)拾銭」と記載されているところが「特製」のみの記載となっており、販売価格の記載がないことから非売品の家蔵本との可能性があります。そのため、市場にほとんど出回らないのではと考えられます。
 その後、「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊、昭和43年1月30日発行)の巻末に収録されています「書誌」(結城信一編)を確認したところ、「*特製本(家蔵本)限定二十部・定価空欄・箱附」との記載がありました。(p.538)
鉄集(特製限定二十部本)本
鉄集(特製限定二十部本)中扉
鉄集(特製限定二十部本)奥附
これまで、この特製限定二十部本については情報がありませんでしたが、確認したところ
1.奥附(紙の貼り付け)には売価の記載がなく非売品、家蔵本として作られた可能性がある
2.犀星の墨書署名入り(非常に堂々とした署名です。)
3.函附(「鐵集」と印字された黒い紙貼り付け)、本にはパラフィンカバー附
4.通常本と同様に番号入り
5.本表紙に「鐵集 室生犀星」との印刷がなく無地、背には「鐵集」のみ印刷
6.頁の紙には手漉きのような高級な用紙が使われており、機械裁断されていない
と、通常版とは異なった装幀、造りとなっていました。
調べたところ近代文藝復刻叢刊として冬至書房から昭和45年4月25日に限定500部で出版された復刻版の「鐵集」付録の「『鐵集』の主題」伊藤信吉著に「製作も限定三百五十部という少数部で、それに箱入りの特製二十部があった。」との記述があり、確かに箱入りだったことが判りました。

鉄集(くろがねしゅう) 復刻版限定500部
冬至書房刊
昭和45年4月25日発行 四六倍判 外函、別冊解説書付
参考価格 1,500 ~ 3,000
入手困難度 ★
復刻の奥附があり、容易にオリジナル初版と判別ができます。
鉄集(復刻版)本
鉄集(復刻版)外函
鉄集(復刻版)復刻版奥附

初版と復刻版の見分け方として中扉の限定番号の記載があります。初版にはゴム印での記載があり、復刻版には、記載がありません。ゴム印を利用しているため偽造は難しいと思われます。
鉄集(初版)中扉 限定番号記載
鉄集(復刻版)中扉 限定番号記載なし


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