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萬花鏡 |
短篇小説集
この「萬花鏡」は小説が13編、童話が3編、魚眠洞雑記として随筆が8編と書名の「萬花鏡」のように犀星の気に入った珠玉(小 説)で煌びやかに組まれています。また、扉の絵や題字も洒落ていて装幀、造本に対する犀星の強い拘りを感じます。
市場に流通する量も少なく、函附きは再版でも比較的高価に取引されています。
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萬花鏡(初版)函 *1
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萬花鏡(初版)本
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萬花鏡(初版)奥附
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初版が出版されて、その一ヵ月後に再版が出版されています。内容も、巻末の広告を含めて初版と違いはありません。
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萬花鏡(再版)函
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萬花鏡(再版)本
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萬花鏡(再版)奥附
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萬花鏡の扉絵です。表紙、裏表紙とも扉に同じ絵が書かれています。 |
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青き魚を釣る人 |
詩集
青き魚を釣る人
アルス社刊
大正12年4月5日発行 菊半裁判 函、天染
装幀 恩地孝四郎
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 30,000 ~ 60,000(函欠 5,000 ~ 10,000)
入手困難度 ★★★ |
「抒情小曲集」のアルス出版の新版の巻末の広告には、萩原朔太郎の序文の一部の紹介とともに装幀として「菊半裁版ポフリン水色表紙」の記載があります。
ポフリン(ポプリン)は、布の織り方で横にうねりのあるものを指すようです。
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青き魚を釣る人(初版)函 *1
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青き魚を釣る人(初版) 本
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青き魚を釣る人(初版)
奥附
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この「青き魚を釣る人」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。 「明治国十三年私は二十一歳、これらの作品はおもに二十二三歳くらゐ迄の一時期の作品。『愛の詩集』の以前、『抒情小曲集』の時代と交錯してゐる。その当時詩集発行の折、編集に正確な年代を織りこまなかつたために、制作順位がくるつて来たのである。この『青き魚を釣る人』の序文に『抒情小曲集』の拾遺作だと記してあるが、そんな意味でいへば『鳥雀集』も拾遺抒情詩集と見なすべきであつた。本篇には手は余り加へず何篇かを削除したに過ぎない。読み直してゆくとさすがに一つあての詩を書いた記憶が、どういふ境致にあつてどういふ気で書いたかといふことが、瞭きりとうかんで来て短かい内容の作品にも記憶があつた。
或る心象を確かにつかんで書くといふことが、いかに詩の現実を生涯に及んで生かしてゐるかに、驚く程 の覚えがあつた。」
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肉の記録 |
短篇小説集
この「肉の記録」と「肉を求むるもの」の2つの短篇集は、犀星に無断で出版されたようです。その経緯が「室生犀星全集 別巻二」の年譜に掲載されています。(「室生犀星全集
別巻二」p.518)
先日、ヤフオクに函附美本が出品され、2万円を超える価格で落札されていました。やはり、その希少性が高価な要因となっているようです。
奥附には文化社刊の記載があるものの中扉には求光閣刊との記載があります。函付は比較的貴重でなかなか市場にはでてきません。
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肉の記録(初版)本 *1
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肉の記録(初版)函
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肉の記録(初版)
中扉
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肉の記録(初版)
奥附
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肉を求むる者 |
短篇小説集
肉を求むる者
万有社刊
大正13年4月1日発行 四六判 函
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 60,000 ~ 80,000(函欠15,000 ~ 20,000)
入手困難度 ★★★★★ |
非常に貴重でなかなか市場にでてきません。以前函附がヤフオクに出品されましたが、残念ながら落札することができませんでした。今回は函欠、並本をヤフオクで安価に落札しました。
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肉を求むる者(初版)表紙 *1
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肉を求むる者(初版)裏表紙
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肉を求むる者(初版)奥附
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彼等に |
短篇小説、随筆集
彼等に
万有社刊
大正13年6月20日発行 四六判
国立国会図書館デジタルコレクション 公開なし
参考価格 15,000 ~ 20,000
入手困難度 ★★★★★ |
ほとんど市場に出てきません。先日ヤフオクに出品されたものを落札しました。非常に貴重です。
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彼等に(初版)表紙 *1
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彼等に(初版)裏表紙
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彼等に(初版)奥附
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高麗の花 |
詩、随筆集
大正13年刊ということで、岸田劉生氏の絵が描かれたカバーが奇麗に残っているものは少なく、非常に希少です。そのため、カバー欠けは安価に入手できるものの、カバー附きは非常に高価になっています。
内容的には、詩を含む随筆集となっており、初出がわからないものも多く収録されています。
内容は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/968916
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高麗の花(初版)カバー *1
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高麗の花(初版)本
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高麗の花(初版)奥附
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高麗の花(初版)カバー全体
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高麗の花(初版)裏表紙
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この「高麗の花」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「この時代は心にひびきを打つやうな詩に遠く、何処かに安息停滞があつてそれに甘えてゐる緩みがあつた。小説を書いてそこにゆとりのある生活経緯が、漸く周囲をとりまいてゐる穏かさが、詩に鋭どさを欠くに至つた。かういふ遊離の状徹は全詩集を通じてこの『高麗の花』と『目今の花』のニ巻に停まつてゐる。同じ詠嘆があつても心からそれを述べてゐるのではなく、ただ、遊んでゐる落首きである。その落着きも表面だけであつて芯に徹してゐない。その折々に身心を打ち込んで書いたあとのないものは、後年これを読むと眼を反けたくなるくらゐである。文学に心の怠けがはいつて来てゐる間、よい物が書けてゐないことが斯様に遠い過去に見つけることが、今日にそれを見てゐて愉快でない気がする……」
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