ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
犀星著書蒐集の記録【最新】
2026年4月29日
【新事実!】小説「野に臥す者」が掲載された文芸雑誌「小説公園」
 犀星の小説「野に臥す者」が掲載された文芸雑誌「小説公園」をインターネット古書店から入手しました。
 「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(同刊、昭和61年11月25日発行)では、小説「野に臥す者」が掲載された「小説公園」は、昭和26年12月1日月号(第二巻 第十三号)とされていましたが、実際は昭和27年12月号(第三巻 第十三号)でした。
 小説「野に臥す者」は、挿絵が江村達哉氏で、総頁数が11頁(p.22~33)。その後、短篇小説集「舌を噛み切った女」(河出書房刊、昭和31年2月5日初版発行)に収録されています。
 

2026年3月22日
【新発見!】随筆集「文藝林泉」への犀星の不思議な署名
 先日、犀星の不思議な署名のある随筆集「文藝林泉」(中央公論社刊、昭和9年5月23日初版発行)をヤフオクで見つけて落札しました。
 扉には犀星の筆跡で「多田不二様 著者」と、裏扉には同様にさかさまに「多田不二」と書かれていました。
 これだけを見ると単に、犀星が本の裏と表を間違えて献呈署名を書いてしまい、途中で気が付いて改めて正しく扉に書き直したとなるのですが、この本には、もうひとつ不思議なことに背表紙が手書きのものに張り替えられていたのです。
 これは、残念ながら犀星の筆跡ではなく後日張り替えられたもののようです。
 どうしてこのような事が起きたのでしょうか。
 多分、こんな事があったのではないかと推測します。
 ・犀星は、随筆集「文藝林泉」を友人の多田不二氏に贈ろうと。
 ・新しい本を函から取り出し、背表紙を確認して扉を開き、筆を取って書き始めた。念のため、途中で頁を開いてみたら逆さまだった。
(この時代、本の装幀の段階で背表紙と中身を逆さまに貼り付けてしまうといのが時々発生しているようです。私も犀星の著書で1冊中身が逆さまになった詩集「寂しき都会」を所有しています。)
 ・あわてて、本をひっくり返して正しい扉に書き直した。
 ・でも、犀星の性格から、そんな状態あっても何も気にせずにそのまま多田氏に贈ってしまった。(あるいは、本を大切にしたいとの思いだったのかもしれません。)
 ・多田氏、またはその後受け取った人が背表紙が逆さまというのは、気になるので手書きの背表紙を作り貼り付けた。ということだと思います。
 そのため、背表紙は犀星の筆跡ではないようです。
 不思議な犀星の1冊でした。

扉に書かれた正しい署名

裏扉の書きかけ

手書きの背表紙
2025年9月28日
【新発見!】女性雑誌「令女界」昭和21年10月號を入手
 インターネット古書店から珍しい寶文館発行の女性雑誌「令女界(れいじょかい)」の昭和21年10月號(寶文館社刊、昭和21年10月1日発行)を入手しました。
 そこには、犀星の詩「モギレエフスキイ」(p.8~9)が収録されていました。(挿絵 寺田政明氏)
 この雑誌に関して、「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)を確認してみましたが、記載はありませんでした。
 また、この詩は「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)を確認してみたところ、同名の詩が詩集「旅びと」(臼井書房刊、昭和22年2月10日発行)に掲載されている(p.132~134)ことが判りました。しかし、初出誌は「未詳」とされており、初出としては新発見のようです。(p.170)
「旅びと」と作品を比較すると一部表記が異なっている部分がありました。
(令女界)あのまま (旅びと)あのまゝ
(令女界)もはやたちもどって来ることがない。
(旅びと)もはや立ち戻って来ることがない。
犀星の意思というより出版社の編集ポリシーによるものだと思われます。

2025年8月30日
【新発見!】雑誌「婦人倶楽部」附録の「婦人手紙文全集」をさらに2冊入手
 以前、婦人雑誌「婦人倶楽部」昭和12年8月号附録「ペン字上達法を兼ねた婦人手紙文全集」(写真上)で、犀星の手紙例文を見つけましたが、今回更に婦人雑誌「婦人倶楽部」附録の「婦人手紙文全集」2冊を入手しました。
 驚いたことに、それぞれに異なる犀星の手紙例文が掲載されていました。最初に発見した「婦人倶楽部」昭和12年8月号附録では、「轉地療養中の友へ」と「轉地療養中の友へ(返事)」の二文例が、昭和8年8月号の附録「婦人手紙文全集」(写真中)では、「安着の通知」と「東京の兄へ」が、同昭和10年2月号(写真下)では、「手術後の経過を見舞ふ」と「安着の通知」がそれぞれ掲載されていました。その創作例文の著者である犀星が写真とともに紹介されています。
市場にはこの3種類が流通しており、現時点ではその他にはないようです。

婦人雑誌「婦人倶楽部」
昭和8年8月号附録「婦人手紙文全集」
・安着の通知(p.134)
・東京の兄へ(p.176)
昭和10年2月号附録「婦人手紙文全集」
・手術後の経過を見舞ふ(p.109)
・安着の通知(p.178)
昭和12年8月号附録「ペン字上達法を兼ねた婦人手紙文全集」
・轉地療養中の友へ(p.36~)
・轉地療養中の友へ(返事)

婦人雑誌「婦人倶楽部」昭和12年8月号附録「ペン字上達法を兼ねた婦人手紙文全集」

婦人雑誌「婦人俱楽部」昭和8年8月号附録「婦人手紙文全集」

婦人雑誌「婦人俱楽部」昭和10年2月号附録「婦人手紙文全集」
2025年6月14日
【新発見!】詩集「鶴」の函異装本を入手
  犀星の詩集「鶴」の函が、通常本や特製限定本と異なる意匠のものを先日インターネット古書店で偶然に見つけて購入しました。
 通常本、特製限定本ともに、函には表、背、底に犀星の毛筆手書きを印刷した題箋が貼られていますが、この異装本の函には、「鶴」「室生犀星」「詩集」の文字が、表と背に印刷されていました。一般の個人が作製したものではなく、見本として、あるいは印刷所や製本所で本来の函が足らなくなり、急遽作製したもののようです。
 不思議なことに、本の奥附の頁は切り取られていました。
 本を確認してみましたが、それ以外は通常本と変わらないことから、見本というより本来の函が不足したためと考えるほうが自然のようです。
 同様の理由で函の異装本の存在が確認されているものとしては、短篇小説集「甚吉記」(愛宕書房刊、昭和16年12月20日発行)があります。この「甚吉記」の場合には同じ異装本が多数存在しています。

2024年12月26日
詩集「鳥雀集」の異装本の3冊目を入手
 
 なんと、直近で3冊目となる詩集「鳥雀集」(第一書房刊、昭和5年6月15日発行)の函の意匠が異なる異装本をメルカリで見つけて入手しました。
 犀星の書籍を集め初めて50年近くになりますが、この異装本を初めて見つけてヤフオクで入手したのが、2024年の8月、その後メルカリで11月に2冊目、そして12月に3冊目をメルカリで見つけて購入しました。さすがに3冊目は必要か悩みましたが、何かしらの予感があり、購入することにしました。
 受け取って驚きがありました。
 なんと函の中から取り出した本にカバーが掛かっていたのです。
 これまで、標準本も今回の異装本の前2冊にもカバー附きはありませんでした。また、書誌等にも、その記録はありません。
 なぜ、と思ってそのカバーを確認したところ、その謎が直ぐに解けました。カバーに「¥1.00」との記載があり、改装廉価版のカバーであることが解りました。
 以前、異装本に関して以下のような内容をここで報告させていただきましたが、改めてその書影を見直したところ異装本の函ではなく、この改装廉価版のカバーであることが判りました。
「ちなみに、室生犀星記念館には、この異装本が所蔵されているようです。2018年11月10日~2019年2月24日に開催された企画展「犀星の詩集」で配布された室生犀星記念館企画展ガイドペーパーには、この「鳥雀集」が紹介されており(p.1最下部)、そこにはこの異装本と同様の書影が掲載されています。」

 実は、この改装廉価版のカバーも今回初めて入手できたもので、これまで入手していた改装廉価版はカバー欠けでしたので、今回初めて確認することができました。
 この異装本に関して、どのような理由で作られたのか、どのような方法で販売されたのかは不明ですが、この本の出版社である「第一書房」が昭和4年11月25日に出版した「室生犀星詩集」でも同様の意匠の異装本を確認しています。


詩集「鳥雀集」異装本 函

詩集「鳥雀集」改装廉価版カバー

2024年12月15日
ポケットアンソロジー「室生犀星 都会の底の底に生きる人々」を購入
 インターネットショップで、新しい作品媒体の「ポケットアンソロジー」で犀星を見つけて購入しました。
【室生犀星 短篇アンソロジー】 能地克宜・編「都会の底の底に生きる人々」田畑書店刊 https://tabatashoten.shop-pro.jp/?pid=180896797
紙の媒体である雑誌や単行本は、今後無くなっていくのではと言われている中での新しい取り組みです。
敢えて紙でのチャレンジということで思わず購入してみました。
ポケットアンソロジーについて、「まったく新しい読書のカタチです。お好みの短篇小説(作品リフィル)を個別にお買い求めいただき、別売のブックジャケットに綴じると、あなただけの特別なアンソロジーが出来上がり。」との説明が書かれていました。
「都会の底の底に生きる人々」のタイトルが付いた「室生犀星 短篇アンソロジー」セットには、犀星の作品「街裏へ」「心臓」「幾代の場合」「あにいもうと」「原稿遺失」「続あにいもうと」「市井鬼記」の各分冊の他に、能地克宜氏のチュートリアルブック(解説書)「都会の底の底に生きる人々」(左写真)が附いていました。
また、セットの表紙には「文豪とアルケミスト」の室生犀星のキャラクターが描かれています。

2024年5月19日
少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號を入手
  先日、ヤフオクで少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號(博文館刊、明治38年7月1日発行)を見つけて落札しました。
「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)には、その存在が掲載されており、その内容の通りに犀星(署名「室生照文」)が応募した随筆「行く春」が、犀星の当時の住所とともに「少年文壇」の賞外に掲載されていました。(p.125)
公に掲載された犀星の作品の中でも最も初期の頃のものになります。
 「室生犀星文学年譜」(同)によるとその前に掲載されたのは明治37年に「北國新聞」への3回のみです。これまでも探していましたが、なかなか市場には出回っておらず、今回偶然に見つけて入手することができました。
〇行く春
加賀國金澤市千日町一番地 室生照文
机の上に生けた花も櫻ではなうて行く春を惜む
牡若の一輪咲で我は美しい春が今去ゐのを惜
んで此處公園まで杖を曳いたのであるが櫻は
名残も止めで樹々の梢は何時しか欝蒼たる緑
衣を着て鶯の聲も老いたらしく花と云う花は
珍らしく唯清い流れの小川に漸く春の色香を
偲ぶ牡若獨りそよ吹く風に戦いで居る。
哀れ四季中に最も人に愛されたる春も刻々迫
まつて又暑い夏とはなるのであるアゝ葉末に
宿る玉露も草や樹の涙と我は見るのであつた
楽しい春も今行くのである。

フッターイメージ