ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
犀星著書蒐集の記録【最新】
2024年12月26日
詩集「鳥雀集」の異装本の3冊目を入手
 
 なんと、直近で3冊目となる詩集「鳥雀集」(第一書房刊、昭和5年6月15日発行)の函の意匠が異なる異装本をメルカリで見つけて入手しました。
 犀星の書籍を集め初めて50年近くになりますが、この異装本を初めて見つけてヤフオクで入手したのが、2024年の8月、その後メルカリで11月に2冊目、そして12月に3冊目をメルカリで見つけて購入しました。さすがに3冊目は必要か悩みましたが、何かしらの予感があり、購入することにしました。
 受け取って驚きがありました。
 なんと函の中から取り出した本にカバーが掛かっていたのです。
 これまで、標準本も今回の異装本の前2冊にもカバー附きはありませんでした。また、書誌等にも、その記録はありません。
 なぜ、と思ってそのカバーを確認したところ、その謎が直ぐに解けました。カバーに「¥1.00」との記載があり、改装廉価版のカバーであることが解りました。
 以前、異装本に関して以下のような内容をここで報告させていただきましたが、改めてその書影を見直したところ異装本の函ではなく、この改装廉価版のカバーであることが判りました。
「ちなみに、室生犀星記念館には、この異装本が所蔵されているようです。2018年11月10日~2019年2月24日に開催された企画展「犀星の詩集」で配布された室生犀星記念館企画展ガイドペーパーには、この「鳥雀集」が紹介されており(p.1最下部)、そこにはこの異装本と同様の書影が掲載されています。」

 実は、この改装廉価版のカバーも今回初めて入手できたもので、これまで入手していた改装廉価版はカバー欠けでしたので、今回初めて確認することができました。
 この異装本に関して、どのような理由で作られたのか、どのような方法で販売されたのかは不明ですが、この本の出版社である「第一書房」が昭和4年11月25日に出版した「室生犀星詩集」でも同様の意匠の異装本を確認しています。


詩集「鳥雀集」異装本 函

詩集「鳥雀集」改装廉価版カバー

2024年12月15日
ポケットアンソロジー「室生犀星 都会の底の底に生きる人々」を購入
 インターネットショップで、新しい作品媒体の「ポケットアンソロジー」で犀星を見つけて購入しました。
【室生犀星 短篇アンソロジー】 能地克宜・編「都会の底の底に生きる人々」田畑書店刊 https://tabatashoten.shop-pro.jp/?pid=180896797
紙の媒体である雑誌や単行本は、今後無くなっていくのではと言われている中での新しい取り組みです。
敢えて紙でのチャレンジということで思わず購入してみました。
ポケットアンソロジーについて、「まったく新しい読書のカタチです。お好みの短篇小説(作品リフィル)を個別にお買い求めいただき、別売のブックジャケットに綴じると、あなただけの特別なアンソロジーが出来上がり。」との説明が書かれていました。
「都会の底の底に生きる人々」のタイトルが付いた「室生犀星 短篇アンソロジー」セットには、犀星の作品「街裏へ」「心臓」「幾代の場合」「あにいもうと」「原稿遺失」「続あにいもうと」「市井鬼記」の各分冊の他に、能地克宜氏のチュートリアルブック(解説書)「都会の底の底に生きる人々」(左写真)が附いていました。
また、セットの表紙には「文豪とアルケミスト」の室生犀星のキャラクターが描かれています。

2024年5月19日
少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號を入手
  先日、ヤフオクで少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號(博文館刊、明治38年7月1日発行)を見つけて落札しました。
「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)には、その存在が掲載されており、その内容の通りに犀星(署名「室生照文」)が応募した随筆「行く春」が、犀星の当時の住所とともに「少年文壇」の賞外に掲載されていました。(p.125)
公に掲載された犀星の作品の中でも最も初期の頃のものになります。
 「室生犀星文学年譜」(同)によるとその前に掲載されたのは明治37年に「北國新聞」への3回のみです。これまでも探していましたが、なかなか市場には出回っておらず、今回偶然に見つけて入手することができました。
〇行く春
加賀國金澤市千日町一番地 室生照文
机の上に生けた花も櫻ではなうて行く春を惜む
牡若の一輪咲で我は美しい春が今去ゐのを惜
んで此處公園まで杖を曳いたのであるが櫻は
名残も止めで樹々の梢は何時しか欝蒼たる緑
衣を着て鶯の聲も老いたらしく花と云う花は
珍らしく唯清い流れの小川に漸く春の色香を
偲ぶ牡若獨りそよ吹く風に戦いで居る。
哀れ四季中に最も人に愛されたる春も刻々迫
まつて又暑い夏とはなるのであるアゝ葉末に
宿る玉露も草や樹の涙と我は見るのであつた
楽しい春も今行くのである。

フッターイメージ