犀星著書蒐集の記録【最新】
2024年12月15日
ポケットアンソロジー「室生犀星 都会の底の底に生きる人々」を購入
インターネットショップで、新しい作品媒体の「ポケットアンソロジー」で犀星を見つけて購入しました。
【室生犀星 短篇アンソロジー】 能地克宜・編「都会の底の底に生きる人々」田畑書店刊 https://tabatashoten.shop-pro.jp/?pid=180896797
紙の媒体である雑誌や単行本は、今後無くなっていくのではと言われている中での新しい取り組みです。
敢えて紙でのチャレンジということで思わず購入してみました。
ポケットアンソロジーについて、「まったく新しい読書のカタチです。お好みの短篇小説(作品リフィル)を個別にお買い求めいただき、別売のブックジャケットに綴じると、あなただけの特別なアンソロジーが出来上がり。」との説明が書かれていました。
「都会の底の底に生きる人々」のタイトルが付いた「室生犀星 短篇アンソロジー」セットには、犀星の作品「街裏へ」「心臓」「幾代の場合」「あにいもうと」「原稿遺失」「続あにいもうと」「市井鬼記」の各分冊の他に、能地克宜氏のチュートリアルブック(解説書)「都会の底の底に生きる人々」(左写真)が附いていました。
また、セットの表紙には「文豪とアルケミスト」の室生犀星のキャラクターが描かれています。
2024年9月2日
雑誌「感情同人詩集」大正9年2月25日発行第五年第一集を入手
インターネット古書店から、雑誌「感情同人詩集」(第五年第一集)感情詩社刊、大正9年2月25日発行を入手しました。
ここには、犀星の詩「龜」「地に燃える」「高台にて」「ある制作」「街裏」が掲載されていました。
その後、詩集「寂しき都会」(聚英閣社刊、大正9年8月20日発行)に収録されています。
確認したところ、室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)には、初出誌として紹介されていました。
掲載された詩を確認しましたが。一字一句違うことなく収録されていることから、同じ原稿から起こされたと思われます。犀星は、転載されるごとに手を入れている場合が多く、加筆修正があるのではと興味津々に確認してみましたが、ちょっと残念でした。
2024年5月19日
少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號を入手
先日、ヤフオクで少年雑誌「少年世界」第十一巻第九號(博文館刊、明治38年7月1日発行)を見つけて落札しました。
「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)には、その存在が掲載されており、その内容の通りに犀星(署名「室生照文」)が応募した随筆「行く春」が、犀星の当時の住所とともに「少年文壇」の賞外に掲載されていました。(p.125)
公に掲載された犀星の作品の中でも最も初期の頃のものになります。
「室生犀星文学年譜」(同)によるとその前に掲載されたのは明治37年に「北國新聞」への3回のみです。これまでも探していましたが、なかなか市場には出回っておらず、今回偶然に見つけて入手することができました。
〇行く春
加賀國金澤市千日町一番地 室生照文
机の上に生けた花も櫻ではなうて行く春を惜む
牡若の一輪咲で我は美しい春が今去ゐのを惜
んで此處公園まで杖を曳いたのであるが櫻は
名残も止めで樹々の梢は何時しか欝蒼たる緑
衣を着て鶯の聲も老いたらしく花と云う花は
珍らしく唯清い流れの小川に漸く春の色香を
偲ぶ牡若獨りそよ吹く風に戦いで居る。
哀れ四季中に最も人に愛されたる春も刻々迫
まつて又暑い夏とはなるのであるアゝ葉末に
宿る玉露も草や樹の涙と我は見るのであつた
楽しい春も今行くのである。