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昭和22年に出版された著書

玉章(たまずさ)
短篇小説集

玉章(たまずさ)
共立書房刊
昭和22年1月20日発行 B6判
装幀 著者
青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/001579/card56455.html
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★

玉章(初版)表紙
玉章(初版)中扉
玉章(初版)奥附

旅びと
詩集

旅びと 標準本
臼井書房刊
昭和22年2月10日発行 B6判 カバー
装幀 著者
参考価格 3,000 ~ 5,000
入手困難度 ★★

この「旅びと」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「信濃に疎開中の作品。この時代ほど自然をまともに自分の中に発見したことは稀れであつた。厳冬の信濃山中の風物は遂に私の心に沈潜して、花のごとく日夜に亘つて開いて見せてゐた。日記にしたしむやうな毎日の詩の作為は、それだけで充分な仕事らしい仕事として私に仕へた。たとへるなら青年の時のやうに毎日一二篇の詩を書きためてそれの外に、何の野心を持たなかつた抒情詩発光の時と同じ愉しさであつたからである。
 詩といふものが私になかつたらこの山中の生活の退屈と窮命とは、実にどう遁れようもなかつたのであらう。詩も小説も大胆不敵にいふなら人生に於ける退屈を退治し、同時にいつも心の居るところに眼を据ゑさせるものである。私を立ち直らせるものは文事のわざであつて、これ以外に私の襟を正さしめるものは全くないと言つてよい。」


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旅びと(初版)カバー
旅びと(初版)本
旅びと(初版)奥附

旅びと 異装本
臼井書房刊
昭和22年2月10日発行 B6判 カバー
装幀 著者
参考価格 5,000 ~ 10,000
入手困難度 ★★

旅びと(初版)カバー
旅びと(初版)本
旅びと(初版)奥附

犀星著書収集の記録
では、「
新発見! 詩集「旅びと」に2種類のカバーが存在します」として紹介しましたが、実はカバーだけでなく複数の異装本で確認したところ、本自身にも色、紙に違いがあることがわかりました。
まず、カバーですが、以下のように異なる2種類のカバーがあります。本に印刷された表紙から左側のカバーが共色で、標準的なものだと思われます。
最初インクの色抜けかとも思いましたが、それぞれのカバーの裏表紙にあたる右側の牛のマークを見て見ると、左側のカバーは緑系の色、右側のカバーはオレンジ色系になっており、色の組み合わせを変えています。つまり、偶然ではなく敢えて異なったカバーを作成したということになります。
標準的な共色(薄手の紙)のカバー
パープル調(厚手の紙)のカバー

次に、「本」本体ですが左は標準的な共色のカバーの「本」で、右はパープル調のカバーの「本」です。写真では非常にわかりにくいのですが。右の「本」の方が緑がかっており「萌黄色」のような色合いです。それに対し左は「浅黄色」に見えます。複数の異装本で確認しており、カバーだけでなく、本も紙を変えているようです。
この異装本は、標準のものに比較して数は少ないようですが、ヤフオクでも時々出品されており、また室生犀星記念館に展示されているものもこの異装本であることから、ある程度の数は発行されているようです。


山鳥集
短篇小説集

山鳥集
桜井書店刊
昭和22年3月15日発行 B6判
参考価格 3,000 ~ 5,000
入手困難度 ★★

山鳥集(初版)表紙
山鳥集(初版)裏表紙
山鳥集(初版)奥附

室生犀星自選詩集
詩集

室生犀星自選詩集
高桐書院刊
昭和22年5月1日発行 B6判
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★
中表紙に鳥を模した印が押されています。個人の蔵書印だと思っていましたが、新たに入手したものにも同じ印が押されており、印刷であることがわかりました。
室生犀星自選詩集(初版)表紙
室生犀星自選詩集(初版)中表紙
室生犀星自選詩集(初版)奥附

世界
短篇小説集

世界
東京出版社刊
昭和22年10月10日発行 B6判 カバー
参考価格 2,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★★
帯付との情報がありますが現在のところ確認できていません。
世界(初版)表紙
世界(初版)本
世界(初版)奥附

夢は枯野を(世界の改題)
世界の改題

夢は枯野を
美和書房刊
昭和24年12月20日発行 B6判
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★★

夢は枯野を(初版)表紙
夢は枯野を(初版)本
夢は枯野を(初版)奥附

逢ひぬれば
詩集

逢ひぬれば 限定版千部
富岳本社刊
昭和22年12月15日発行 B5判 カバー
装幀 恩地孝四郎
参考価格 30,000 ~ 50,000 (カバー欠け8,000 ~ 10,000)
入手困難度 ★★★★
和紙薄紙カバーは非常に破れやすいため、カバーが完全に残っているのは珍しく、カバー付は高額で取引されています。先日、ヤフオクでカバー付が出品されていました。
逢ひぬれば(初版)カバー
逢ひぬれば(初版)本
逢ひぬれば(初版)奥附

この「逢ひぬれば」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「これも信濃山中の詩。『旅びと』に漏れた作品がここに編まれた。この外に数十篇あつたが抹殺し、素材の重複を避けるためにも敢てこれを行なうた。我々は実に何時も同じことを日を隔てた何年後かに、それをまた記してゐて忘却してゐることがあつた。それは何年前かの相異つた作品である筈だが、ながれとか、なげきとかいふ心の上の問題では五十年のあひだ、何時も同じ種類の悲しみをくり返してゐるのに似てゐる。それはそうあるべきが本来であつて、大きな変り方なぞ人間にあるべき筈はない、人間は同じことの少しばかりの異ひをうたふために、詩をあたへられてゐると思へばよいのである。」

室生犀星詩集(那須辰造編)
詩集

室生犀星詩集(那須辰造編)
鎌倉書房刊
昭和22年11月25日発行 B6判 カバー
装幀 寺田政明
参考価格 3,000 ~ 4,000
入手困難度 ★★★
この詩集は、これまで発表された詩集などから那須辰造氏が149篇を選んでまとめたものです。寺田政明氏の装幀と絵は秀逸です。単なる流布本ではなく、新たな価値をもった1冊です。
室生犀星詩集(初版)カバー
室生犀星詩集(初版)本
室生犀星詩集(初版)奥附
室生犀星詩集(初版)カバーの寺田政明氏の絵です。

また、この室生犀星詩集でびっくりする誤植があります。155頁に掲載されている「藁(わら)」です。
本来「星より来たれる者」に収録されている詩で、その後の詩集でも収録されています。



藁のなかから
朱い花が撥き出てゐる
藁は乾いてきいろく柔らかい
そして温かい

花と藁と蕾とが
冬の日に向いてゐる
土は燃えてゐる
撥きでた花はかつと朱い
楽しい色をしてゐる

「星より来たれる者」や他の詩集では、「
土が燃えてゐる」ではなく「土が凍(こご)えてゐる」となっており間逆の表現になってしまっています。(残念) 
この「藁(わら)」については、「詩集『星より来たれる者』の前後」の頁で紹介しています。
はたして犀星は気づいたのでしょうか。


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