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美以久佐 |
詩集
巻頭に序詩として「勝たせたまへ」の詩が掲載されています。
通常版は、カバーも本も濃緑色をしていますが、カバー欠けで所有している1冊は白色をしています。
先日ヤフオクに同様のカバー欠けの白色本が出品されていました。
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美以久佐(初版)カバー *1
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美以久佐(初版)本
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美以久佐(初版)奥附
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美以久佐の薄紙カバーです。なかなか色が奇麗に残っているものは少ないようです。 |
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この「美以久佐」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「本集に収録の戦争雰囲気のある詩はこれを悉く除外した。後年の史実に拠るためといふ再考もあつたが、詩全集の清潔を慮つたのである。この戦争中は詩も制圧のもとに作られ、今日、これらの詩を削除することは心のにごりを見たくないからである。」
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我友 |
長篇小説
カバー、本とも日焼けしやすく、綺麗な状態のものは少ないようです。
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我友(初版)カバー *1
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我友(初版)本
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我友(初版)奥附
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名木(我友の改題、別版) |
我友の改題、別版
「名木」は優れた香木を意味しています。この「名木」は地平社の手帳文庫第二部39冊の中の1冊として出版されています。手帳文庫は4部にわたり約50冊が出版されています。
この「名木」について、犀星は「名木」というみじめな本、そして私には宝石のように大切な本と表現しています。(田辺徹著自筆ノート「犀星先生の思い出」から)
名木 手帳文庫 Ⅱ-3
地平社刊
昭和22年7月15日発行 B6半裁判
参考価格 7,000 ~ 8,000
入手困難度 ★★★★ |
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名木(初版)カバー *1
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名木(初版)本
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名木(初版)奥附
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いにしえ |
詩集
いにしえ
一条書房刊
昭和18年8月5日発行 B6判 カバー
装幀 著者
参考価格 5,000 ~ 6,000
入手困難度 ★★★ |
非常に美しい絵の装幀です。さすがに、本体の紙質は悪いですが。初版3,000部発行です。当時の折込の広告には「和紙・洋本・美装」との記載があります。
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いにしえ(初版)カバー *1
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いにしえ(初版)本
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いにしえ(初版)奥附
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カバー全体の写影です。背焼けがありますが、非常に良い状態のものです。 |
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この「いにしへ」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。 「この『いにしへ』の故郷訪問は三十年以前の頃であつたが、抒情詩風なあらはれは当時恐らく一年くらゐの間に、一気に書き綴つた作品であらう。水戸への旅行は萩原朔太郎君と同行。
『いにしへ』は朗吟しながら書きながして行つたものか。故郷といふ相識感に一度とらへられると、文字を持つ人間は其処で文字をならべすにゐられなくなる。
しふとく悪者まとふ山河風景のなさけから、到底、遁れることの出来ない場所である。幾ら眺めても飽きることがなく自分の生きたすがたが其処らに入り乱れてゐる。」
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犀星発句集 |
俳句集
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犀星発句集(初版)カバー
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犀星発句集(初版)本
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犀星発句集(初版)奥附
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動物詩集 |
子供向けの詩集で人気があり、ほるぷ出版から復刻版が発行されています。
初版60,000部と発行部数は多いものの、やはり子供向けということで残っている数が少ないようです。発行部数については、『「動物詩集」の謎』の頁で紹介しています。
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動物詩集(初版)本体*2
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動物詩集(初版)本体裏面*2
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動物詩集(初版)奥附
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動物詩集(初版)カバー 状態は良くありませんが貴重なカバーの写影です。 |
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新発見!異装本?
先日、日本絵雑誌社から昭和18年9月5日に出版された「動物詩集」(カバー欠け、背痛みあり)をヤフオクで2,700円で落札しました。
これで4冊目となりましたが、この1冊のみ違いがあることに気づきました。裏表紙の「出文協承認番号」の有無です。この4冊目にのみ、「出文協承認あ430130」の記載がありました。
ちなみに「ほるぷ出版」の復刻版にも同様にこの「出文協承認番号」の記載がありました。奥附を確認してみましたが、それ以外に違いはありませんでした。記載忘れが見つかり、印刷途中から加えたようです。そのため記載の有無の2種類が存在することになったようです。
その後、追加で何冊か入手したところ、カバー、本で3種類の組み合わせが存在することが判明しました。詳細は「動物詩集」の謎で紹介しています。
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動物詩集(初版)本体裏面
出文協承認番号なし
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動物詩集(初版)本体裏面
出文協承認番号あり
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初出誌となる雑誌「少国民の友」、「文藝」、「むらさき」 |
写真左は、子供詩集「動物詩集」に収録されています夏の詩「ぼうふらのうた」、「おけらのうた」の初出誌となる「少国民の友」昭和17年8月号(小学館刊、昭和17年8月1日発行)です。
「少国民の友」昭和17年8月号では、「動物詩集(一)」として掲載されています。
写真中は、「夏の雀のうた」「金魚のうた」の初出誌となる「文藝」十周年記念号(改造社刊、昭和17年11月1日発行)です。
写真右は、「べに鯛のうた」の初出誌の雑誌「むらさき」昭和18年1月号(むらさき出版部刊、昭和18年1月1日発行)です。
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動物詩集(復刻版) 名著復刻 日本児童文学館 第二集 32
ほるぷ出版刊
昭和49年10月発行 菊判 カバー、外函付き
装幀 恩地孝四郎
参考価格 800 ~ 1,500
入手困難度 ★ |
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動物詩集(復刻)本体
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動物詩集(復刻)外函
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動物詩集(復刻)奥附
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オリジナル(初版)と復刻版との見分け方については、「動物詩集の真贋」の頁に詳細を紹介しています。
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カバー端下部に「名著復刻 日本児童文学館 第二集 ほるぷ出版刊」の記載あり
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奥附下部に「名著復刻 日本児童文学館 第二集 ほるぷ出版刊 昭和49年10月発行」の記載あり
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現在でも新本として購入可能です。初版の雰囲気そのままにわくわく!名作童話館⑧として再版されました。
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動物詩集(再版)カバー
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動物詩集(再版)本
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動物詩集(再版)奥附
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動物詩集(復刊)
龜鳴屋社刊
令和元年8月1日発行 文庫判 カバー
絵 グレゴリ青山
販売価格 1,080
入手困難度 現在も入手可能 |
しばらく絶版となっていましたが、子供向けの詩集「動物詩集」が、室生洲々子編、グレゴリ青山画で装いも新たに「龜鳴屋」から復刊されました。
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動物詩集(復刊)カバー
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動物詩集(復刊)中表紙
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動物詩集(復刊)奥附
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表紙は、なんともかわいい刺繍の写真で、刺繍(ししゅう)と詩集(ししゅう)をかけた、ちょっとお洒落な「動物詩集」になりました。 構成も変更されており、巻末には造本設計として「本書は、日本絵雑誌社版『動物詩集』と冬樹社版『定本 室生犀星全詩集』を底本とし、前者から「春の顔」「夏の顔」「秋の顔」「冬の顔」を削除。後者から新たに「蟻」「薮鶯」「ねこうた」「いたちのうた」「かにのうた」(100頁)「とかげ」を増補して再編集したものです。」と紹介されています。
金沢の室生犀星記念館やそのHPの「ミュージアムショップ」で販売しています。
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神国 |
短篇小説・随筆集
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神国(初版)カバー *1
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神国(初版)本
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神国(初版)奥附
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日本美論 |
詩集
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日本美論(初版)カバー
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日本美論(初版)本
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日本美論(初版)奥附
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初版は、厚紙表紙にカバーとの装幀に対し、この再版では、薄紙表紙に一体となった薄紙カバー装となっています。また、奥附には、「初版(5,000部)、再版(3,000部)」との記載があります。
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日本美論(再版)カバー表紙
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日本美論(再版)裏表紙
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日本美論(再版)奥附
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詩集「日本美論」の再版の不思議 |
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先日ヤフオクで詩集「日本美論」(昭森社刊 昭和18年12月15日発行)の再版(同 昭和19年6月15日発行)を落札しました。出版部数も初版5,000部に対して、この再版は3,000部と部数も少ないのですが、再版としては比較的市場に流通しており、入手も容易です。
例えばインターネットの「日本の古書店」では、この「日本美論」が23冊出品されており、15冊が初版、8冊が再版のようです。また、販売価格は初版で最高価格が8,500円(初版、毛筆献呈署名入)、最低価格が800円(初版、カバーいたみ)、再版では最高価格が2000円(再版、折れ)、最低価格800円(再版、表紙少シミ、朱線)との状況です。(2017年3月19日現在)他の犀星の詩集同様に、比較的安価に入手することができます。
初版が、厚紙表紙に上質紙のカバー附きに対し、薄紙表紙に一体になった薄紙カバー附きとの装幀になっていました。再版は、質の悪い薄紙カバーのため印刷品質も悪く、すれたような表紙となっています。再版は、パラフィン紙をかけたように不鮮明に見えています。
他にも、再版で意匠を変更している本もありますが、この「日本美論」は、犀星の要請というよりも戦争の影響での物資不足によるもののようです。
その他にも、調べてみたところ再版には、誤字脱字と思われる違いがあります。p.214の「銃後」の中の詩「水」で、その題名の「水」が抜けてしまっています。通常は、初版の誤植を再版で訂正との場合が多いのですが、この場合には逆で、なぜこんなことが起きたかは謎です。また、巻頭の頁構成も一部異なっています。
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日本美論の改題、別版
夕映梅花(日本美論の改題、別版)
昭森社刊
昭和21年10月31日発行 A6判横綴
参考価格 4,000 ~ 6,000
入手困難度 ★★★ |
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夕映梅花(初版)表紙 *1,2
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夕映梅花(初版)奥附
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この「夕映梅花」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「序文に「新しい詩を一巻にまとめたことはこの詩集が始めてであり又後年に至つて再び詩を書きおろすといふことも絶無の事業であらう。これらの詩の悉くは私の論文とか信条とか感覚の歴史のやうなものであらう」と叙してゐる。「紙の世界」を読んで見ても、そこに留まつてゐた幼ない逃げやすい思ひを捉へてゐることでも、続いた何か月の間、衝動のやうなものが髣髴する。かういふ例は十年後の『昨日いらつしつて下さい』の聯作諸篇にもうかがばれる。詩は五年後とか十年後とか二十年後とかに、ひとしきり燃えてくる年月があるやうである。全集をあげて見られるこの燃える期間の続きが、実に永い間読いたものである。それは心ある詩人がいつも間歇的にその仕事に迫られてゐるからである。」
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