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抒情小曲集 |
愛の詩集より以前に創作された詩が収められた第2詩集で、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」で有名な小景異情が収められています。
室生犀星の詩集の中で人気のある詩集のひとつです。そのため、3種類もの復刻版がでています。
感情詩社刊のオリジナルと復刻版の見分け方については、「抒情小曲集の真贋」頁を作成していますので、参考にしてください。 |
非常にかわいい装幀の詩集です。装幀は、広川松五郎、扉絵は、恩地孝四郎の手によるものです。
巻末の広告では、近刊として「幸福の門・地獄の門」、「幼き人々の詩集」が掲載されています。
600部自費出版ということで冊数も少なく、人気があるため、入手困難な1冊です。
以前、7、8年ほど前にインターネット古書店で、函小痛みで95,000円程度で、4、5年前に古書目録で180,000円程度、数年前には250,000円を超える価格で掲載されていました。5年で2.5倍の値上がりということになります。残念ながら、今時点では1冊も掲載されていないようです。
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抒情小曲集(初版)函 *1
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抒情小曲集(初版)本
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抒情小曲集(初版)奥附
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左は、雑誌「感情」第28号に掲載された「抒情小曲集」の広告です。
ここには、
「この詩集はいま第二版を起した。抒情詩の總ては僕の若い精神があふれてゐないものかない。春ちかい午后この美しく可憫な書物の繙かれることを祈る。直接注文には扉に自筆の詩をしるす。
市外田端一六三 感情詩社」
との記載があります。
つまり、
1.第二版が出版されている。
2.犀星の直筆の詩が書かれた「抒情小曲集」が存在する可能性がある。
ということになります。 |
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この「抒情小曲集」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように記しています。
「この抒情詩は最初の「小景真情」(二十一二歳頃)から「兇賊チグリス氏」に至る二十三四歳まで、街を彷徨の時を隔てて制作され、折返して来る生活波濤の中にあれこれし」思ひをそめたもの、詩の優美感から放逐された荒涼の世界が漸やく展望されてゐる。
全面に亘り加筆添削の目標を以って閲読してみたが、殆ど朱を入れる余裕もない境にあるものは、勿論、そのままの集編に委せた。やはりそれらを制作した折に迫られたものは、五十年近く年月が経つてゐても、元のすがたを崩すことが出来ないものであつた。或る現実から出発した細かいものでも、その一行をも削り去ることが詩自身から拒まれるものであることを知つた。」
雑誌「感情」に掲載された「抒情小曲集」の広告です。「愛の詩集」と同様に、毎号広告の内容が変化しています。
下段の左は最初の頃の広告で、単行本では当初「抒情」ではなく、「叙情」の文字が使われる予定だったようです。右側のものは、出版後の広告で、実際に出版された「抒情小曲集」の函に描かれた絵がそのまま利用されています。下の3つは、その間に「感情」に掲載されたもので、その変遷がわかります。挿絵も変わっています。
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「感情」19号裏表紙掲載
第三巻第四号 大正7年5月
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「感情」23号裏表紙掲載
第三巻第八号 大正7年10月
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当初、挿絵は「性に眼覚める頃」にあるようなエロチックなもので進めていたようです。
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「感情」20号裏表紙掲載
第三巻第五号 大正7年6月
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「感情」21号裏表紙掲載
第三巻第六号 大正7年7月
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「感情」22号裏表紙掲載
第三巻第七号 大正7年9月
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初版に比較して非常に大人しい装幀となっていますが、初版と同様に非常に人気のある本で、初版、函付きで30,000円前後の市場価格となっています。市場では、函附きとカバー装の2種類が流通しているようです。常に市場であるていどの数が流通しているため、比較的容易に入手可能です。
検印に使われている印は金沢の室生犀星記念館に展示されており、その印影はシールとしても販売されています。印文には「犀星迂人」と彫られています。
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抒情小曲集(新版)函 *1
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抒情小曲集(新版)本
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抒情小曲集(新版)奥附
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抒情小曲集(新版)函貼紙
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抒情小曲集(新版)中表紙
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抒情小曲集
(新版)函本背
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通常版が函附きであるのに対して、カバー装となっています。
カバーの表紙の意匠は中表紙のものが利用されています。カバーの背は函の背の意匠と違っており、専用にデザインしたものと思われます。奥附けは通常版とまったく同じです。
函が不足したため、急遽カバーを作成して対応したのではないかと思われます。全体からすると非常に少数のみしか存在しないように思われます。
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抒情小曲集(新版)カバー表
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抒情小曲集(新版)カバー裏
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抒情小曲集(新版)カバー版の奥附
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初版、新版が小型本であるのに対して大型、カバー装と大きく趣が変わっています。
内容としても初版の「抒情小曲集」、「青き魚を釣る人」「鳥雀集」からの自選で構成されており、迦陵頻(かりょうびん)歌集の副題が付けられています。巻頭には「迦陵頻(かりょうびん)とは極楽にいる小鳥の名前なり。」との記載があります。
市場にカバー付が出ることは非常に稀です。新版に比較しても圧倒的に市場にでてくる量は少ないようです。
また、特製本として俳句、署名入りの限定35部本も存在します。先日ヤフオクにこの署名なしのものが出品され、15万円を超える価格で落札されていました。
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抒情小曲集(別版)カバー
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抒情小曲集(別版)本
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抒情小曲集(別版)奥附
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叙情小曲集(別版)
三笠書房刊
昭和26年12月15日発行 文庫判 帯
参考価格 1,000 ~ 2,000
入手困難度 ★★ |
初版も含め「抒情」という表題が使われていますが、この文庫のみ「叙情」の文字が使われています。意味は同じで一般的に感情を表現することを意味しています。全般的に文庫本は収集しにくく、発行数は多いものの初版、特に帯付、美本の完本を探すのは一苦労です。
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叙情小曲集(別版)帯
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叙情小曲集(別版)本
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叙情小曲集(別版)奥附
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抒情小曲集・愛の詩集 現代日本名詩選
筑摩書房刊
昭和28年5月25日発行 B6判
参考価格 2,000 ~ 3,000
入手困難度 ★★★★ |
この本の出版にあたり、犀星は「筑摩書房の『愛の詩集』『抒情小曲集』の解説は伊藤信吉に書いてもらうことにした。この際、詩を少しづつ直すことにし、明日から『亡春詩集』に『第二愛の詩集』を併せた四冊分に、朱筆を加えるようにする。めんだうでも、いまのうちに訂すところをやっておかないと、そのままに汚い詩をのこすことになるからである。」と書いています。
(昭和27年12月24日「室生犀星全集 別巻二」p70)
非常に珍しい1冊です。なかなか市場にでてきません。これまで数回しか見たことが無く、ようやく手に入れることができました。
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抒情小曲集・愛の詩集(表紙) *1
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抒情小曲集・愛の詩集(裏表紙)
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抒情小曲集・愛の詩集(奥附)
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人気のある講談社の文芸文庫として、「愛の詩集」との合本で出版されています。
現在、最も入手が容易な「抒情小曲集」です。また巻末の資料も充実しており、「室生犀星」の書籍収集の参考書としても利用できます。おすすめの1冊です。
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抒情小曲集・愛の詩集
(文芸文庫)カバー
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抒情小曲集・愛の詩集
(文芸文庫)本
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抒情小曲集・愛の詩集
(文芸文庫)奥附
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抒情小曲集 復原版 限定1,000部
冬至書房刊
昭和43年10月10日発行 菊半裁変形判 函、外函
参考価格 2,000 ~ 2,500
入手困難度 ★★ |
巻頭の「砂丘の上」(小松玉巖作曲)、「霜」(弘田龍太郎作曲)の楽譜について、オリジナルは非常に不鮮明なのに対し、写真を取り直したかのように鮮明に印刷されています。
また、別冊付録として『抒情小曲集』の位置(工藤信彦著)が附いています。
通常の奥附の他に復原版としての奥附が1枚追加されており、そこに限定番号が記載されています。
その奥附のための遊び紙が1枚多いため、本の初版との判別は容易です。
但し、本体、函への「復原版」の記載はないため注意が必要です。
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抒情小曲集
(復原版)外函
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抒情小曲集
(復原版)函
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抒情小曲集
(復原版)本
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抒情小曲集(復原版)
奥附 限定No.480
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抒情小曲集 愛蔵版 限定77部(革装、型押、天金)
冬至書房刊
昭和43年10月10日発行 菊半裁変形判 函、外函
参考価格 5,000 ~ 10,000
入手困難度 ★★★★★ |
ヤフオクで入手しました。入手して本の色が飴色だったため「愛蔵版」であることに気づきました。
復原版をベースに愛蔵(豪華)版として本の装幀を革装、型押、天金としています。定価も復原版が1,200円に対し、2倍以上の2,800円となっています。この1冊は限定77部のうちの11番本です。
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抒情小曲集
(愛蔵版)外函
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抒情小曲集
(愛蔵版)函
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抒情小曲集
(愛蔵版)本
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抒情小曲集(愛蔵版)奥附 限定No.77
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新発見 ! |
先日ヤフオクで譲っていただいた中の1冊に冬至書房刊の「抒情小曲集」復原版がありました。これまでも「復原版」を1冊所有していましたが、今回の1冊はあきらかに本の色が変わっていました。
通常は白に近いクリーム色ですが、オレンジ色のような、飴色のような色をしていました。パラフィンを外してみてさらにびっくり。革装、型押し、天金とあきらかに豪華本の装幀となっていました。あわてて「復原版」の奥附を見てみるとそこには、「愛蔵版77部ノ内No.11」との記載がありました。また、外函の定価も「復原版」が1,200円に対し、この「愛蔵版」は、2,800円の2倍以上の価格となっており、2度びっくりです。
「室生犀星書目集成」(星野晃一氏、室生朝子氏編)の巻頭に掲載されている室生家蔵書の1冊として「抒情小曲集」(初版)の本表紙が掲載されています。以前から、この写真ではオレンジ色をしており、不思議に思っていましたが、どうもこの「愛蔵版」のようです。写真を見直してみるとうっすらと型押しがあることが見えてきます。これでこの不思議が解決できたように思いました。
左側が、今回の「愛蔵版」右側は、「復原版」の通常本です。 |
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抒情小曲集 復刻版 名著復刻文学全集
近代文学館社刊
昭和44年4月発行(日付記載無し) 菊半裁変形判 函、外函
参考価格 1,500 ~ 2,000
入手困難度 ★ |
奥附下部に復刻の旨の記載があり容易に判別が可能です。但し、函への復刻の記載はありません。
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抒情小曲集
(名著復刻)外函
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抒情小曲集
(名著復刻)函
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抒情小曲集
(名著復刻)本
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抒情小曲集
(名著復刻)奥附
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抒情小曲集 復刻版
日本近代文学館社刊(ほるぷ出版)
昭和55年4月1日発行 菊半裁変形判 函、外函
参考価格 1,500 ~ 2,000
入手困難度 ★ |
奥附、函に復刻の旨の記載があるため容易に判別が可能です。
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抒情小曲集
(復刻版)外函
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抒情小曲集
(復刻版)函
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抒情小曲集
(復刻版)本
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抒情小曲集
(復刻版)奥附
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