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大正時代の装幀 |
犀星の貴重な大正時代の書籍を連載で紹介していきます。
第1回は、大正10年3月25日に隆文館から出版された短篇小説集の「香炉を盗む」です。
「中央公論」大正9年9月号に掲載された表題となっている「香炉を盗む」の他短篇小説が9作品収録されています。
装幀はこの時代の特徴である函に題箋の貼り付け、本には恩地幸四郎の扉絵の金箔押しとの非常に豪華な造りです。
この「香炉を盗む」の表紙絵はギリシャ神話に登場する蛇髪のメデューサが描かれています。
犀星の貴重な大正時代の書籍を連載で紹介していきます。
第2回は、大正10年2月15日に「香炉を盗む」と同様に隆文館から出版された短篇小説集の「古き毒草園」です。
「中央公論」大正9年6月号に掲載された表題となっている「古き毒草園」を含め短篇小説が12作品収録されています。
装幀は「香炉を盗む」とほぼ同一で、この時代の特徴である函に題箋の貼り付け、本には恩地幸四郎の扉絵の金箔押しとの非常に豪華な造りとなっています。
この「古き毒草園」の表紙絵には蛇柄が描かれています。
犀星の貴重な大正時代の書籍を連載で紹介していきます。
第3回は、大正11年2月20日に大鎧閣から出版された詩集「星より来たれる者」です。
装幀は恩地幸四郎で、やはりこの1冊も金箔押しの扉絵と非常に豪華な造りとなっています。
この「星より来たれる者」の扉絵には抽象化された華が描かれています。
この「星より来たれる者」について「室生犀星全詩集」(昭和三十七年三月十日 筑摩書房刊)の巻末の「解説」で犀星自身が、以下のように書いています。 「『寂しき都会』の姉妹篇の趣きが随処にうかがはれるが、これも東京遊行篇の幾聯かである。そのため物証風な素材があつかはれ、十数篇を定本から取り除くことにした。 漸く小説を書きはじめてゐ頃なので詩中に呻吟する機会を取り遁がたし、もつぱら詩中遊泳をこころみた
やうであつて、削除に就てはこれまた未練を持たなかつた。詩といふものは其処だけに専念没頭すべきであつて、他の文学形式の中からは詩は掴めないやうである。詩と小説のちがひは文学の湧いてくる処がすでに異つてゐるやうで、これを混合すればどちらかが敗北しなければならない。どちらも生かすことはその制作当時にあつて決められてゐても、後年三四十年も経つとその異ひの大きさは遂に抹殺するより外はないのである。善意の抹削といふことがどれだけ他の詩を生かしてくれるかに就ては、全く同じ感覚印象が詩の中に四十年間に亘つて反芻されてゐることでも判るのである。」と。
先日、ヤフオクに犀星の貴重な書籍が数多く出品されていました。非常に状態が良いため、比較的高価に取引されていました。参考までにその落札価格等を掲載しています。この価格や入札数からその書籍の人気がわかります。 |
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