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犀星著書蒐集の記録【Ⅱ】 2015年2月28日~2017年7月16日 |
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先日、インターネット古書店で「室生犀星研究」(室生犀星学会発行)第1輯(シュウ)~38輯(一部欠輯)を購入しました。なかなか揃いで市場に出てくることが少なく、非常に貴重なものです。各輯の目次について「室生犀星研究」の頁に掲載していく予定です。
ちなみに、第38輯には、「検証 室生犀星年譜」(船登芳雄著)として、直近まで調査された内容が反映された犀星の最新の年譜が掲載されています。
その後も、バラを購入し36輯を除き揃えることができました。
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先日、不思議な出来事がありました。
ヤフオクに犀星の「随筆 四角い卵」のサイン本が出品されていたのです。犀星のことをよく知っている人は、「アレ?」と思われた方も多いと思いますが、犀星が病気で亡くなったのが昭和37年3月26日。そして、この本の印刷は、翌日の昭和37年3月27日、発行は、昭和37年3月31日なのです。つまり、その本のサインは犀星が亡くなってからのものになります。
こうなるとサイン自体が犀星以外によるものか、もしくは生前にサインしたものを製本時に挟み込んだかということになります。サインの写真もアップされていましたが、私には「犀星のもの」に見えました。私自身も犀星のサイン本(署名入り)を何冊か所有していますが、その中のものと非常によく似ていました。
確認したいと思い、入札しようと思っているうちにオークションが終了してしまい、他の方が落札されてしまいましたので、実物を確認することはできませんでしたが、本当に不思議な出来事でした。
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2017年5月5日 |
「新らしい詩とその作り方」増補版の謎
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右の書影は、犀星の最初の評論集「新らしい詩とその作り方」の改訂三版(函・本)です。京文社書店から出版されています。先日、珍しい函附きをネットで見つけて購入しました。
奥附には、以下の発行記載がありますが、国立国会図書館や他の公立図書館の蔵書記録、古書展での販売履歴でも、増補版が存在した記録はなく、実際は三版から出版されているようです。
大正十三年五月四日 増補印刷
大正十三年五月十日 増補発行
昭和十三年六月一日 三版発行
また、最下部には、小さく「大正七年四月十日初版発行」との記載があります。そのため、実際は以下のような出版の経緯のようです。
初版 大正7年4月10日発行 文武堂書店刊
改訂版 大正14年4月5日発行 文武堂書店刊
(芳美閣版)
第三版 昭和13年6月1日発行 京文社書店刊
参考までに、「室生犀星全集(新潮社刊)」の 「別巻二」に収録されています結城信一著の「書誌」には、「改訂新版 新らしい詩とその作り方 大正十四年四月五日・芳美閣」は記載されていますが、大正十三年五月十日の増補版については、その記載がありません。
「室生犀星書目集成(室生朝子・星野晃一編)」では、大正十三年五月十日の増補版について「改訂新版」として記載があるもののその[補記]では、「昭和十三年六月一日発行の第三版(定価二円)にて、本改訂新版の初版内容を確認。」との記載があり、原本を確認できていないようです。
これらの事からも、大正十三年五月十日の増補版は、存在せず、大正十四年四月五日出版の文武堂書店刊(芳美閣版)を指しているものと思われます。
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以前ヤフオクで、「月刊 朝日ソノラマ 昭和36年10月号」【写真上】を落札しました。元々未開封でしたが、先日開封してみました。
この号には、文豪の自作朗読(10)として「室生犀星『小景異情』『鐵集』より」が掲載されています。もちろん自作朗読を収録したソノシートも付いています。収録は36年9月との記載があり、犀星の亡くなる半年前に収録された貴重なものです。
その後、同じものが「朝日ソノラマ 現代作家自作朗読集(第三集)」(昭和40年1月8日発行)にも収録されています。【写真下】
収録されている詩は、以下の通りです。
「小景異情」より
「小景異情(その一~その三)」、「旅途」、「寂しき春」、「利根の砂山」、「蛇」、「海もしんしん」、「煙れる冬木」、「蝉頃」
「鐵集」より
「剣をもっている人」、「ノッソリと立つ者」、「映写機」、「傷だらけの山」、「地球の裏側」、「鏡」、「切なき思いぞ知る」(「鶴」より)
この中で、「犀星は、『録音ぎらい』『文明ぎらい』で有名で、この他にはNHKのラジオ番組に1回のみ」との記載があります。ということは、これ以外に「犀星」本人の朗読はほとんど存在しないということになります。非常に貴重なものです。
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非常に珍しい「戦死」の再版を入手しました。
初版(左)では、函の色が本と同じ草色に対し、再版(右)では函の色が白色に変更されています。本の色には変更は無く、両方ともに草色です。
また、再版では函の縦の大きさが、4-5mm程小さく、幅と厚みが、数mm大きくなっており、検印紙に押された犀星の印章も変更されています。
函に書かれた「戦死」の下の絵は、判りにくいですが「蛇」の絵です。
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短篇小説・随筆集「残雪」における犀星の装幀への異常な拘り ついに「残雪」の第三版を入手しました。 「残雪」は、「室生犀星書目集成」(室生朝子。星野晃一編、昭和61年11月25日発行)には、初版から第四版、別版までの記載があります。ちなみに、この第三版が、最も発行部数が少なく二千部と第四版の奥附に記載されています。 今回の、第三版の入手で、これまで書誌等に掲載されていなかった昭和21年5月10日発行の別版まで、今時点で、6種類の版が出版されたことと、その内容を確認することができました。 この「残雪」は、犀星の装幀ですが、驚いたことに、その6種類とも全て装幀が異なっています。推測ですが、犀星は、各版で装幀を変更することを含め、全ての装幀に関与していたと思われます。 犀星自身は、装幀について以下ように書いています。
「装幀は、その本の内容を色や感じで現すべきだが、その書物の内容を知るのは著者以外にない、装幀に一見識持たない著者があるとしたら、それこそ嗤うべき下凡の作者である」と。まさに、それを実践した一冊だと思います。
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猫のジイノは本当は「アンジェリーノ」だったって知っていました?
あやめ随筆 室生朝子 著
五月書房刊 四六判、カバー、帯
昭和34年6月25日発行
この随筆集には、「『杏っ子』と私」、「あやめ随筆」、「父との語らい」、「愛猫ジ(ヂ)イノ物語」、「愛犬クツク物語」が収録されています。
ちなみに「愛猫ジ(ヂ)イノ物語」に登場する「猫のジ(ヂ)イノ」は、室生犀星記念館のサイトの「写真館」のページに「⑨ある日の書斎でのひとこま 犀星と猫のジイノ」として紹介されています。
実は、ジイノの本当の名前は「アンジ(ヂ)ェリーノ」だったとの記述がありました。
室生朝子氏の著書としては貴重なもので、装釘・題字は、武者小路実篤氏。なかなか市場にでてきません。
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映画タイムズ社のシナリオ文庫 No.33 「麦笛」(1955年5月1H発行)を入手しました。
犀星の「性に眼覚める頃」を原作とした東宝映画「麦笛」の脚本(シナリオ)および場面写真が掲載されています。
今回映画化された「蜜のあわれ」など室生犀星原作の映画がこれまでも多く公開されています。
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この童話集「四つのたから」は、昭和16年9月10日に小学館から出版されました。
巻頭には犀星の序があり、「おはなしと いふ ものは、たからもののように たのしい もので あります。よむ人にも たからで あり ますが、かく わたしから いえば、たからものを わけるやうな こころもちで あります。」と書かれています。
今回、比較的状態の良いものを入手しました。
先日もヤフオクに出品され、25,000円を超える価格で落札されていました。説明には、犀星著書蒐集の「キキメ」の一冊として紹介されていました。
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巻頭には、犀星の「あに・いもうと」についてが掲載されています。その中で、犀星は、
「作家といふものは思ひがけない作品が、世評にのぼり好調をおびる時がある。この「あにいもうと」の場も、作者はそれほどでもない作品だったのに、映画演劇に上演されたりしていて、作者の私に面映ゆい気持を経験させてゐる。」と書いています。
続き全文は以下の通り。
「あにいもうと」にある兄妹の愛情といふものが瞬間的には人間としての嫉妬や、にくしみをも交へてもゐるところに、やみがたい人間の悲しみもあるわけである。兄の伊之のやくざな生活の立直りも、妹へのおもひやりも少しづつではあるが、人間の良質を築かうとしてゐる。妹もんのひたむきな熱情が最後に盛り返してくるところは、女性といふものの凄まじさが、決して、うはべだけでは見破られないものであることを、作者はねらって見たものである。
どれだけよごれた生活の中でも、人間にはすくひがある筈である。「あにいもうと」にあるすくひが世評を浴びていることで、私はつねに作者としてかうあらねばならないと思ふのだが、何時もすくひを突破してゐる作者としては益々面映ゆいものがあり、世評に数へられるところが多いと云ってもよいのである。
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巻末には、「本書は、『富岡多恵子集9』(一九九九年五月、筑摩書房)を底本としましたが、適宜、『室生犀星』(近代日本詩人選11、一九八二年一二月、筑摩書房)および『室生犀星』(一九九四年八月、ちくま学芸文庫)を参照しました。明らかな誤植等は訂正しましたが、原則として底本に従いました。」との記載があります。
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「室生犀星書目集成(室生朝子、星野晃一編)」には、「初版本に、薄紫表紙のほかに、若干の濃茶表紙の本がある。」との記載があり、以前より異装本の存在が判っていましたが、今回、標準本と異装本の両方を確認することができました。 今回入手したのは、「薄紫表紙」で、298番本。これまで所有していたものは、「濃茶表紙」のもので、378番本。
そうすると考えられるのが、1~300番本が、「薄紫表紙」のもので、301~500番本が、「濃茶表紙」と考えるのが自然です。「室生犀星書目集成」の「若干」と矛盾しますが、少なからず「濃茶表紙」本が存在しているようです。先日もヤフオクに出品されていた「犀星発句集」(函欠)も「濃茶表紙」でした。 同一出版で、複数の装幀ということでは、犀星の著書では、「信濃山中(しなのやまなか)」、詩集「旅びと」、「文藝林泉」などがありますが、犀星を除いても珍しいものです。(「室生犀星の異装本」の頁を参照)
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2015年10月3日 |
「宿なしまり子」が掲載された「中央公論三月号」をヤフオクで入手 |
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長篇小説「宿なしまり子」が昭和37年5月10日に角川書店より出版されていますが、それとは異なるもうひとつの「宿なしまり子」が掲載された「中央公論三月号」(昭和25年3月1日発行)をヤフオクで落札しました。
長篇小説「宿なしまり子」は、犀星が附けた題名ではなく、初出とされている「西日本新聞」では、「唇もさびしく」とされていたものを、没後改題し出版しています。
「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編著(明治書院刊)には、「残された新聞切抜帖に、著者自身の筆によって「宿なしまり子」と書かれていたことによる」との記載があります。
犀星としては、こちらが本物の「宿なしまり子」ということになります。
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2015年9月12日 |
「文藝創作講座」(文藝春秋社刊)の第1号~第10号揃いをヤフオクで入手 |
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ついに「文藝創作講座」(文藝春秋社刊)の第1号~第10号揃いをヤフオクで見つけて落札しました。
これまで、第2号と第3号をそれぞれ入手していましたが、揃いは初めて見ました。内容はネット上でも公開されておらず、非常に貴重です。
「詩文創作講座」の1つとして犀星の「詩とその作法(本文中は「詩とその作り方」)」が掲載されています。(完全な連載ではなく第1号、2号、8号、9号、10号への掲載となっています。)
「詩文創作講座」には、第1号では「詩に就いて」(荻原朔太郎著)が、その後、「作詩講義」(川路柳虹著)が掲載されています。
その他に、この「文藝創作講座」には、
「小説創作講座」、「戯曲創作講座」、「映画脚本創作講座」、「大衆文学創作講座」、「短歌創作講座」、「書簡の書き方講座」が連載で掲載されています。しかも、小島政二郎、岸田國士、直木三十五、齋藤茂吉、高濱虚子などの著名人が書いています。
今回、「文藝創作講座」に連載された犀星の貴重な「詩とその作り方」全編を掲載しました。 → 「詩とその作り方」。
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2015年8月13日 |
【新発見!】清水書房刊の昭和21年5月10日発行の「残雪」をヤフオクで落札 |
2015年6月4日 |
「文藝創作講座 第二号」と「詩文創作講座」 |
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文藝春秋社より昭和4年1月20日に発行された「文藝創作講座」の第二号をヤフオクで落札しました。
この「詩文創作講座」に掲載されている犀星の「詩とその作法(本文中は「詩とその作り方」)」が、「文藝創作講座」連載で掲載されていたようです。
これまで、この「詩文創作講座」には奥附がなく、その正体が判っていませんでしたが、「文藝創作講座」に連載していたものを纏めたものであることが判りました。
内容的には、大正7年4月10日に文武堂書店より出版された「新らしい詩とその作り方」を改編したもので、構成も異なっています。
読むと感じますが、この作品自体美しい詩のような文章になっています。今更感動を覚えます。
今回、「文藝創作講座」に連載され、この「詩文創作講座」に纏められた犀星の貴重な「詩とその作り方」全編を掲載しています。
→ 「詩とその作り方」
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2015年6月4日 |
「文藝創作講座 第二号」をヤフオクで落札 |
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文藝春秋社より昭和4年1月20日に発行された「文藝創作講座」の第二号をヤフオクで落札しました。「新らしい詩とその作り方」の頁で紹介しています「詩文創作講座」に掲載されています犀星の「詩とその作法(本文中は「詩とその作り方」)」が連載で掲載されています。
これまで、その「詩文創作講座」の正体が判っていませんでしたが、この「文藝創作講座」に連載されていたものを纏めたものであることが判りました。
この第二号には、「詩とその作法(本文中は『詩とその作り方』)」の「3 詩的精神」から「5 表現」までが掲載されています。つまり、「詩とその作法(本文中は『詩とその作り方』)」は、第一号の創刊から掲載されていたことになります。
また、「詩文創作講座」と同様に、「作詩講義」川路柳虹著も掲載されてます。
先日、Amazonで第三号を入手しました。残念ながらこの号に犀星の作品は掲載されていませんでした。
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2015年6月13日 |
【新発見!】 違いのある「動物詩集」をヤフオクで落札しました。 |
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日本絵雑誌社から昭和18年9月5日に出版された「動物詩集」(カバー欠け、背痛みあり)をヤフオクで2,700円で落札しました。
これで4冊目となりましたが、この1冊のみ違いがあることに気づきました。
裏表紙の「出文協承認番号」の有無です。この4冊目にのみ、「出文協承認あ430130」の記載がありました。
ちなみに「ほるぷ出版」の復刻版にも同様にこの「出文協承認番号」の記載がありました。
奥附を確認してみましたが、それ以外に違いはありませんでした。
記載忘れが見つかり、印刷途中から加えたようです。そのため記載の有無の2種類が存在することになったようです。
その画像は、「動物詩集」の頁で紹介しています。
また、同様にカバーにもこの有無の2種類が存在します。詳細は後日アップします。
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2015年5月4日 |
短篇小説・随筆集「残雪」の第四版をヤフオクで落札 |
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非常に珍しい「残雪」の第四版です。巻頭には、「残雪序詩」が初版と同様に収録されています。
興味深いのが、奥附の発行冊数の表示で、(右は、第四版の奥附の一部)
再版の奥附には、「初版5,500、再版2,000」との記載が
四版の奥附には、「初版4,500、再版3,000、三版2,000、四版3,000」と異なる記載になっています。
「室生犀星書目集成」(星野晃一、室生朝子編)では、この第四版の奥附の発行冊数が記載されています。
当時は結構いい加減だったようです。
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2015年4月11日 |
室生犀星監修の偉人物語「この人を見よ」をヤフオクで落札 |
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この偉人物語「この人を見よ」は、「海外編2」、伊藤整、那須辰造編となっており、以下の世界の人たちの伝記が掲載されています。
シュワイツェル、孫文、アンリー・ファーブル、ナイチンゲール、レセップス、マイケル・ファラデー、ナポレオン・ボナパルト、ゲーテ、ワシントン、フランクリン、セバスチャン・バッパ、シェークスピア、ジャンヌ・ダルク、ジュリアス・シーザー、孟子、ソクラテス
巻頭の「はじめに」ついては、編集者しるすとの記載はありますが、残念ながら監修している犀星の文などの掲載はありません。
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2015年4月4日 |
合唱名曲コレクション「動物詩集」混声をヤフオクで落札 |
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犀星の「動物詩集」を作曲 村谷達也氏で、混声合唱とした楽譜で、音楽之友社より、昭和41年11月20日に第1刷が発行されています。
詩集「動物詩集」の春からは、「Ⅰ紋白蝶のうた」、夏からは、「Ⅱひぐらしのうた」、秋からは、「Ⅲこうおぎのうた」、冬からは、「Ⅳ雪降虫(ゆきふりむし)のうた」の4つの詩が選ばれています。
この中で、「Ⅳ雪降虫のうた」のみが、原作から大きく変更されています。あとの3つは、原作に忠実に曲がつけられています。
「動物詩集」は、近代書誌データベースで公開されています。
http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00232.html
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2015年3月23日 |
小説「朝顔」が掲載された季刊詩「聲(声)」第5号をヤフオクで落札 |
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犀星の小説「朝顔」が掲載された季刊詩「聲(声)」第5号 1959年秋をまたまたヤフオクで落札しました。。
編集同人としては、三島由紀夫氏、大岡昇平氏、吉田健一氏らが名を連ねています。
この小説「朝顔」には、野口彌太郎氏のカット(挿絵)が添えられています。
その後、この「朝顔」は、TVドラマ化で有名となった小説集「火の魚(うお)」に収録されています。
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2015年3月14日 |
童話「鮎吉・船吉・春吉」が掲載された「少国民の友」をヤフオクで落札 |
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童話「鮎吉・船吉・春吉」の連載第11回「鮎吉・船吉・春吉の家」が掲載された「少国民の友」(小学館 昭和17年2月1日発行)をヤフオクで落札しました。
挿絵は、昭和17年4月1日に小学館より出版された単行本と同様に「大石哲路(おおいしてつろ)」氏によるものです。
「室生犀星書目集成」(星野晃一、室生朝子共著)では、初出誌として「コクミン三年生」とされていますが、正しくは、「こくみん三年生」がこの「少国民の友」に改題されたというのが事実のようです。表紙にしっかりと「こくみん三年生」改題との記載があります。
その後、この「少国民の友」には、「動物詩集」も連載されています。
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2015年3月8日 |
特集「詩人の娘による『女の館』の記録」が掲載された「週刊新潮」をヤフオクで落札 |
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特集「詩人の娘による『女の館』の記録」
= 室生朝子さんの告白と犀星最後の愛人 =
が掲載された「週刊新潮」昭和37年5月21日号を先日ヤフオクで落札しました。
この中で、以下のように紹介されています。
「室生朝子さんは、こんど発表した『詩人の娘」で二つの告白をあえてした。ひとつは自分の恋愛について。もうひとつは父、犀星が晩年に愛した一人の女性についてである。「月の如き少女」と形容されているその人は、現在二十三歳の女性。朝子さんは、「それを語ることこそ父への義務」と思い、筆をとったのだが『詩人の娘』は、その人をふくめた『女の館』の記録にもなっている。
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犀星の詩「春宵(シュンショウ)」が掲載された雑誌「婦人倶楽部」昭和9年4月1日発行をヤフオクで落札しました。
掲載された詩は、以下の通りです。
春宵(シュンショウ)
蜜蜂はみんな巣にもどり、先刻(さっき)から見ると声をひそめた。
巣に中に大方(おほかた)、ランプでも点して蜜蜂だちが集まってゐるのだらう。
家々では賑やかな灯がつき、窓々は花のやうに明るい。
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詩「夜もすがら」と「福士幸次郎に」が掲載された「日本詩人」大正15年3月号をヤフオクで落札しました。
この詩は、その後詩集「鶴」に収録されています。
比較するといくつか違いがあります。
「夜もすがら」(「日本詩人」大正15年3月号)
軒場をめぐる風を聴き
古火桶いだきて終夜(よもすがら)ありにき
かくて得たるものはなにぞや
むなしき鉄瓶の沸き立ちゆき
炭はみな白くさらさるのみなれど
かくて永くは眠ら居りけり
きのうけふの己を侘びるにあらず
あす我なにを世に残すすべし知らざれば
よもすがら眠りえざるなりけり
「よもすがら」(詩集「鶴」昭和3年9月15日発行)
軒端をめぐる風を聴き
古火桶いだきて終夜(よもすがら)ありにき
斯くて得たるものは何ぞや
むなしき鉄瓶の沸き立ちゆき
炭はみな白くさらさるのみなれど
かくて永くは眠ら居りけり
きのうけふの己を侘びるにあらず
明日我何を世に残すすべし知らざれば
よもすがら眠りえざるなりけり
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