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犀星の詩集「鐡集」(椎の木社刊、昭和7年9月30日発行)の特製限定二十部本(特製二十部の内の第十九冊)を入手しました。たった二十部との非常に貴重なものです。
「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)等の書誌には記載があり、その存在を知っていましたが、市場等でその存在が確認できたのは初めてでした。
「室生犀星書目集成」(同)には、「家蔵本(墨書署名入)、限定二十部あり、内容は同じ。」との記載があり、その後、「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊、昭和43年1月30日発行)の巻末に収録されています「書誌」(結城信一編)を確認したところ、「*特製本(家蔵本)限定二十部・定価空欄・箱附」との記載がありました。(p.538)
そのため、市場にほとんど出回らないのではと考えられます。 |
これまで、この特製限定二十部本については情報がありませんでしたが、確認したところ
①奥附(紙の貼り付け)には売価の記載がなく非売品、家蔵本として作られた可能性がある
②犀星の墨書署名入り(非常に堂々とした署名です。)
③函附(「鐵集」と印字された黒い紙貼り付け)、本にはパラフィンカバー附
④通常本と同様に番号入り
⑤本表紙に「鐵集 室生犀星」との印刷がなく無地、背には「鐵集」のみ印刷
⑥頁の紙には手漉きのような高級な用紙が使われており、機械裁断されていない
と、通常版とは異なった装幀、造りとなっていました。 |
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