|
犀星が、投稿した詩が掲載された明治42年12月1日発行の「中學文壇」第十二年第二十三集(280号)をヤフオクで入手しました。
「雨後の詩」の1つとして犀星の「盲人のゆめ」が選ばれ、掲載されています。この詩は。「定本 室生犀星全詩集」(冬樹社刊 昭和53年12月20日発行)の第一巻「未刊行詩篇」p.381に掲載されています。
「盲人のゆめ」 泌み疚く眼のいづらとしもなく
遠くひゞきくる詩の音樂。
其れとも分かぬ感應のちから
忘れ得ぬ明き光りの縞模様うかぶ。
浅黄色の幕ぞたゞよう舞臺、
あえなる笑まひ、頬と頬の曲も
とびつかくれつ逸るゝ
え残るかすかひゞきの音も。
林と地震と火山と海と
火酒の罎のいろ蒼き渦も…。
喪服も長き樂人の冴えたるさけび
そもやかてたからにひくく
死の音樂ぞしたゝりつ滴りつ…。
|
「中學文壇」第十二年第二十三集(280号)
北上屋書店刊(明治42年12月1日発行)
|
|