ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
犀星著書蒐集の記録【Ⅴ】 2019年8月3日~2021年2月6日
2021年2月6日
朝子氏の「犀星作品の初出誌を訪ねて」が掲載された文芸誌「蝶 第2号」
文芸誌「蝶 第2号」(文芸季刊誌 1973春の蝶 昭和48年5月20日発行)に室生朝子氏の「犀星作品の初出誌を訪ねて」が掲載されています。
 「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(同刊、昭和61年11月25日発行)には、膨大な犀星の作品が理路整然と整理されていますが、朝子氏は真っ白なノートに、犀星の自伝等を手掛かりに、新聞社、図書館、出版社の蔵書や記録から探し出し、1作品毎に記録し積み上げるというとんでもなく手間も時間をかけて作られたことを知りました。
 やはり1人の研究者を超え血が繋がっているからこその執念を感じます。
 朝子氏もこの中で「唯根気とその作家に対する愛情によりのみささえられている初出調べは、犀星が父親でなかったらどうであろうか、これほどの情熱をそそげるだろうかと私はフト考えるのである。」と書いています。
 また、「完璧を期して立ち向かっているのではあるが何時になって終わるか、その日はないのである。」とも書かれています。
 この「室生犀星書籍博物館」も完璧に向けてその僅かにでも貢献できればと思っています。
 今後も、書誌、単行本、全集未収録の犀星作品や書誌で初出未詳となっている初出誌を1つでも見つけ、公開できればと思います。。


2021年1月23日
【新発見】犀星の小品二種「冬の朝」が掲載された雑誌「中學生」
 先日、少年雑誌「中學生」新年特別号 第六巻第一號(研究社刊、大正10年1月1日発行)をインターネット古書店で見つけて購入しました。
 偶然にも発行されてからちょうど100年となります。
 この雑誌には「特別四大付録」の1つとして犀星の小品二種「冬の朝」が掲載されていました。(p.190~200)
 作品を確認したところ、「冬の朝」と「郊外の家」の2編の短編小説で、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)、「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(同刊、昭和57年10月20日発行)の両方に記載はありませんでした。

 古い雑誌の中から犀星の未知の作品が見つかるとうれしくなります。


2021年1月20日
【新発見】犀星の童話「かけすの逃げた話」の初出誌発見
 童話集「鮎吉・船吉・春吉」(小学館刊、昭和17年4月15日発行)に掲載されています童話「かけすの逃げた話」の初出誌を発見しました。
 それがこの子供雑誌「セウガク一年生」七月號です。出版社は小学館で、昭和14年7月1日発行となっています。「セウガク一年生」では、題名が「カケスノニゲタ話」とされています。
 これは雑誌として表記をカタカナを標準としているためで作品も地名などを除きカタカナで表記されています。
 この雑誌に関しては、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)への記載がなく、また、「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多 浩、星野晃一編(明治書院刊、昭和57年10月20日発行)の童話「鮎吉・船吉・春吉」では、「かけすの逃げた話」の初出誌は"未詳"とされていました。
 直近で、童話作品の初出の発見は、これで3作品目となります。


2021年1月8日
「アサヒカメラ」春の特別号(1940年)を入手 こんなところにも犀星が
 先日ヤフオクで、「アサヒカメラ」春の特別号(朝日新聞社刊、昭和15年4月25日発行)を落札しました。
写真専門誌だと思っていましたが、「春の随筆」として犀星の随筆「春はあでやか」が掲載されていました。その他にも田部重治氏、中村地平氏の随筆も掲載されています。
 犀星の「春はあでやか」について確認したところ、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)、「室生犀星文学年譜」室生朝子、本多浩、星野晃一編(同刊、昭和57年10月20日発行)の両方に記載はありませんでした。
 この「春はあでやか」は、日記風に
「三月一日に土を踏まして冬じゅう霜で荒れた庭土を固めさせたが、…」
「二日には霜よけを取ったが、…」と書かれていますが、最後は自宅で火事が起きたことを書いています。題名と内容とのギャップに驚きました。


2021年1月3日
雑誌「新小説」九月号(大正13年)を入手 驚きの発見!
 先日ヤフオクで、雑誌「新小説」九月号(大正13年9月1日発行)を落札しました。
 犀星の随筆「かはぜみ」が掲載されていました。
 「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊、昭和61年11月25日発行)を確認したところ「魚眠洞随筆」(新樹社刊、大正14年6月25日発行)に収録されていることが判明し、念のため作品に差異がないか確認してみたところ”やはり”見つけました。
「かはぜみ」は、随筆というより小説のような作品で、女(妻)が読んだ俳句が異なっているのです。
【新小説】  「秋ぜみの明るみ向いて啞(わらう)かな」*
【魚眠洞随筆】「秋ぜみの羽根のやぶれや通り雨」
 そしてこの句*は「魚眠洞発句集」(武蔵野書院刊、昭和4年4月10日発行)に収録されていました。犀星が、どうして「魚眠洞随筆」に収録する際にこの句を替えたのか、大きな謎です。


2020年12月25日
「月明」第一巻第四号(新涼号、昭和13年8月15日発行)を入手
 先日ヤフオクで、「月明」第一巻第四号(新涼号、昭和13年8月15日発行)を落札しました。
内容を確認したところ高窻(窓)との題で俳句が五句掲載されていました。
室生犀星句集 魚眠洞全句(室生朝子編、北国出版社刊、昭和52年12月30日発行)を確認したところ、四句については既に発表されているもので、初出誌も明記されていました。
最後の一句については、記載がなくこの「月明」が、初出の可能性があります。
 蝉のからぬぎをへぬ夜の明かりけにけり
 屋根瓦苔づくさとの夏書かな
 明けやすき高窓引くやきりぎりす
 沓かけや秋日にのびる馬の顔
 兜虫瓦をのぼる暑さかな


2020年9月11日
「週刊朝日」昭和21年2月17日号を入手
 先日ヤフオクで、「週刊朝日」昭和21年2月17日号を落札しました。
「厳寒の浅間山麓を訪ねて」との記事が掲載されており、浅間山麓一帯に生活する文化人として、室生犀星、正宗白鳥、堀辰雄、高浜虚子、佐藤春夫等がとりあげられています。
記事の中で「こたつをかこむ室生犀星一家(夫人は病臥中)」として犀星、朝子さん、朝巳さんが並んだ写真が掲載されています。
また、取材の中で犀星は地方文化についての感想を問われ、「この町の特殊事情にもよるのだが、……」と冒頭して「地方の文化といふものは地方の人々の中から生まれて来るものでなければ嘘だ。疎開した文化人たちが中心となるべきものではないと思ふ。純然たる村落で村の人々が様々な事を訊ねにくるのに答えてやる。こんな風なものだったら私も同感を覚えるのだが」と。


2020年8月14日
「かげろうの日記遺文」の初出となる「婦人之友」を入手
先日ヤフオクで、「婦人之友」昭和32年~40年(不揃い)を落札しました。調べてみたところ「かげろうの日記遺文」が連載で掲載された昭和33年7月~34年6月号の内、昭和33年12月号の1冊を除き11冊が含まれていました。
 昭和33年12月号は、「日本の古本屋」で購入し、無事12冊を揃えることができました。
 最終回となる「婦人之友」昭和34年6月号巻末の「編輯室日記」には、以下のような記述がありました。
 「四月二十五日(土) 室生犀星氏の「かげろうの日記遺文」は、今日いたゞいた原稿で完結。一年のあいだ「心をこめて書いた」とご自分でもおっしやる力作を、好評のうちに連載できたことを、読者の方々とともに嬉しく思う。
 毎月二十五日の朝、必ず二十五枚の原稿が出来上っていて、あの四季折々に美しい庭を入ってゆくと、きっとお部屋に招じ入れ、ゆっくり玉露のお茶をついで、原稿を渡して下さるのだった。「かげろうの日記遺文」は、近く単行本として出版されるそうである。(黒田)」


2020年7月31日
「あにいもうと」の映画台本等を入手
先日ヤフオクで、TBSテレビで2018年6月25日に放映されました犀星原作の「あにいもうと」の映画台本(決定稿)を落札しました。
 このドラマは、脚本「山田洋次」、プロデューサー「石井ふく子」、演出「清弘 誠」。兄の伊之助は、「大泉 洋」、妹の桃子は、「宮﨑あおい」が演じています。
 TBSテレビの紹介ページ http://www.tbs.co.jp/aniimouto/
「あにいもうと」は、これまで7回テレビドラマ化と3回映画化されています。それ以外にも多くの舞台で講演されています。
 詳細は、「兄いもうと」紹介ページに記載しています。


2020年5月10日
【新発見】「かげらふの日記遺文」の映画台本等を入手
先日ヤフオクで、犀星原作の「かげらふの日記遺文」の映画化企画書とその映画台本2冊(初稿、二稿?)を落札しました。
 内容を確認したところ脚本 新藤兼人、監督 栗崎 碧、その他キャスティング案等も記載されていました。
 1993年に脚本完成、1994年11月に公開を目指して進められていたようですが、残念なことに実現かなわず映画化はされていないようです。
 これまで、犀星原作作品の映画やTV台本はいくつか入手していますが、実現されなかったものは、初めてです。
 せっかく脚本も完成していますので、いつの日か映画化されることを期待したいと思います。


2020年5月9日
遠野集(室生家私家本)夏冊25部の内の第1番本を入手
先日、遠野集(室生家私家本)夏冊25部の内の第1番本を入手しました。
この1冊は貴重なもので、奥附に「夏冊25部の内の第1番本」との記載の他に赤字で「家蔵」との記載があります。
 なぜ「家蔵」となっているかについては記載はありませんが、夏冊の1番本であることと、句稿として附いている「夏めく」(左写真)について添付されている室生朝子氏著の「父と俳句」に記載があることが理由として考えられます。そこには、以下のような記載がありました。
「夏の句のなかで、夏めくと題する句は、
 靴音の記者は乙女か夏めかける
原稿は夏めかけるとなっていたが、昭和二十九年の五月に、ある女性編集者に書いた葉書にこの句がそえてあり、夏めけるとあった。あきらかに父の書き誤りであるので、活字の部分は訂正した。」と。
 その後、この葉書の内容を確認することができました。「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊、昭和43年1月30日発行)の書簡(昭和二十九年)の中の記者、小島きくえ氏宛の5月25日附の葉書(p.441)にこの句がありました。


2020年5月3日
詩集「鶴」特製限定46部本を入手
先日、ヤフオクで犀星の詩集「鶴」(素人社書屋刊、昭和3年9月15日発行)の特製限定46部本が出品されており、他に入札する人もなく、出品価格であっけなく落札しました。
 通常本は、初版一千部発行されていますが、この特製限定本は、わずか46部しか発行されていない貴重なものです。
 大きな特徴は、本の装幀が布装となっており、そこには支那の布の絵をそのまま恩地幸四郎氏が複写した絵が描かれています。
 通常版の紙装と比較するとやや重厚な印象があります。
 それ以外にも、特製限定本専用の遊び紙に犀星の署名が入っており、奥附には、「四十六冊の内第十九」との手書きの書き込みがあります。この書き込みは、犀星との話がありますが、筆跡からは判断できませんでした。
 あと、奥附の価格のところに訂正紙が貼られ通常定価二圓から特製売価 三圓に変更されています。


2020年4月29日
雑誌「旅」12月号を入手
雑誌「旅」昭和27年12月号(第26巻第12号)日本交通公社刊、昭和27年12月1日発行に、犀星の随筆「ふるさとは遠きにありて想うもの 金沢の町をかたる」が掲載されていました。(p.26 ~ 29)
 「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところ、その後単行本や全集などに収録されていないようです。

 「金沢には犀川と浅野川との二つの流れがあって、その二つの流れに小さな町がぎっしりと両岸に実りながら、まるで杏の枝に杏が一杯もみついているように見えた。私は犀川のへりに家があったからたまにしか、浅野川の方の町に行かなかった。…」


2020年4月25日
【新発見】犀星の童話「蟻の町」の初出誌発見
童話集「五つの城」に収録されています「蟻の町」の中の「蟻一郎」の初出誌を発見しました。それがこの子供雑誌「ツヨイコヨイコ」五月號(第十三巻第二号)です。出版社は小学館で、昭和18年5月1日発行となっています。
 確認したところ、「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)の童話「五つの城」では、「蟻の町」の初出誌は"未詳"とされていました。
 先日も「五つの城」に収録されている「おにぎり」の初出誌を発見しましたが、雑誌を調査していると犀星に関していろいろな発見をすることができます。

 「五つの城」の巻末で犀星は「「ねずみの兄弟」と「二人のおばさん」が一等あたらしく書いたものですが、あとは、みな同じ時分にかいたものであります。「蟻の町」はずっと小さい人のお話になるのです。」と書いています。


2020年4月24日
【新発見】短篇小説・随筆集「余花」の白カバー異装本
またまた新発見です。
 先日、インターネット古書店で、カバーが白い短篇小説・随筆集「余花」(昭南書房刊、昭和19年3月20日発行)を見つけて購入しました。
 本来は、鮮やかな朱色の本、カバー装ですが、届いた本のカバーは見事に白く、日焼けで色落ちしたのではないかと思い確認してみましたが、折り返しや裏面も白色で、当初から白色だったようです。紙質も悪く、比較的薄いようです。
 他の、白い函と同様に印刷所で、朱色の紙が足りなくなくなり同じ版下を使い、汎用の白い紙を利用してカバーを作成したというようなことだと思われます。ちょっと丈が短く、本の朱色がのぞいています。
 そのため、絶対数は少ないと思われます。
 貴重ですが、ちょっと残念な一冊です。やはり、この「余花」には、鮮やかな朱色のカバーが似合います。


2020年4月20日
短雑誌「俳句」八月號 昭和28年8月1日発行
先日、雑誌「俳句」八月號をヤフオクで落札しました。
  この雑誌には、室生とみ子著の「夕がほ抄」として俳句五十三句が掲載されています。
編集部後記として
「室生とみ子さんは犀星先生の奥様です。そのかみ、室生先生を中心とした詩人の俳句會があり、『風流陣』という潚洒な小雑誌がこの會から出てゐて、俳壇に新風を送ってゐました。
 女史は、その中で異彩を放たれ、「しぐれ抄」の句集は私どもにゆたかな詩興を感じさせて頂いたものです。」との記載がありました。


2020年4月15日
【新発見】「詩の心 - 新しい詩と其の作り方抄 -」

 先日、ヤフオクでこの「詩の心 - 新しい詩と其の作り方抄 -」(出版社、発行年月日不詳)を落札しました。
 タイトルに「新しい詩と其の作り方抄」とあるように「新らしい詩とその作り方」の抜粋のようです。
 確認したところ改訂版をベースに抜粋、一部改変した内容となっていました。印刷はガリ版印刷で、装幀は和装綴り本となっており、これまで存在すら知られていなかった非常に珍しいものです。
 残念ながら、奥附がなく、詳細は不明です。


2020年4月11日
【新発見】雑誌「女学生の友」2月号(第二巻第二号)に犀星原作の作品が
この雑誌「女学生の友」(小学館刊、昭和33年2月1日発行)の巻頭には、世界短編名作シリーズとして。室生犀星原作の「姫たちばな」が、槙本ナナ子・文、池田かずお・絵で、鮮やかなカラーで掲載されています。
 「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところこの雑誌に関する記載はありませんでした。
 原作となっている 小説「姫たちばな」は、短篇小説集「王朝」(実業之日本社刊、昭和16年9月24日発行)に収録されています。また、その後 短篇小説集「つくしこひしの歌(別版)」(鎌倉文庫社刊、昭和21年5月25日発行)にも収録されています。


2020年4月11日
【新発見】雑誌「話」昭和11年新年号(第四巻第一号)
この雑誌「話」(文藝春秋社刊、昭和11年1月1日発行)には、特集「我が故郷の正月を語る」で犀星の「風変わりな旗源平の遊び - 北陸・金沢 -」との文章(随筆)が掲載されています。
 「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)、「室生犀星書目集成」(室生朝子・星野晃一編)を確認したところ、そのどちらにも記載はありませんでした。
 「金澤の正月の晩はしんしんとして雪がふってゐる。家々はこんもりと娘達の内懐中のように温まってゐて、起きているのやら、さて、寝ているのやら判らないー川の暗い水の上を覗くと雪が水の上で消える。河原だけが白く見える。……」


2020年4月10日
雑誌「文學時代」昭和5年3月号に犀星がいっぱい
この「文學時代」昭和5年3月号(新潮社刊、昭和5年3月1日発行)には、以下のように犀星の作品や記事が計3つ掲載されています。
 ・作家取材グラビア「日向にて」で犀星を含む3人の作家が本人の写真とともに紹介されています。(p.82)
 ・特集_人物随筆「私の最も興味のある人物」で、犀星は「萩原朔太郎」を書いています。(p.82~p.84)
 ・その他にも、小説「ハト・ハナ」が収録されています。(p.161~p.170)
 このうち、随筆「萩原朔太郎」と小説「ハト・ハナ」は、「薔薇の羹」(改造社刊、昭和11年4月7日発行)に収録されています。



2020年4月10日
雑誌「童話読本」第二号 昭和23年10月1日発行に犀星の童話が
先日、インターネット古書店から雑誌「童話読本」第二号(紀元社刊 昭和23年10月1日発行)を購入しました。
 この本は、小学生中級向け児童雑誌として出版されたもので、犀星など8名の作家の童話が収録されています。
 犀星の作品としては童話「母へび」が、鈴木信太朗氏の絵とともに掲載されています。(p.35~p.44)
 この雑誌や作品に関して「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところ、記載はあったもののその後、単行本や全集等には収録されていないようです。



2020年4月3日
雑誌「ホープ(Hope)」2月号(第二巻第二号)に犀星が*2
先日、雑誌「ホープ(Hope)」2月号(昭和22年2月1日発行) をインターネット古書店で見つけて購入しました。
 特集「信濃路の作家たち」で、犀星を含め佐藤春夫、正宗白鳥の文章が軽井沢等での写真とともに紹介されていました。
 「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところ(p.254)その後、単行本や全集等に収録されていないことがわかりました。
 犀星の文章は無題で、以下のような内容でした。
 うしろの山からすぐ屋根の上に、一と跨ぎに歩く奴がゐる。栗鼠でも猫でもない、裏山に散歩に来た人が、屋根の上を歩くのだ。
屋根の下でことしで三年冬越しをする家族四人が、つねに氷點下十五度のなかで、ふう、ふうといつて暮すのである。
余り寒いと、却つてうふういふのである。熱いのと渝りがない。
 足袋は二足。手袋も二つあて嵌め、毛皮の耳あてのついた帽子をかむつて、すつかり氷つた川を見に行く、泡までそのまま氷つてゐる。
 星が本の根の上に光る。裏山を下から見上げるとさうなのだ。
 じやがいも、にんじん、ねぎ、きやべつ、明けても暮れてもじやがいもの羹である。そして炬燵で親子四人が足をまげろ、あつちへまげろで喧嘩だ、明けても暮れてもである。
 冬にはいると、僕の小説は提灯を點けて歩く。日がすぐ暮れるからである。



2020年3月28日
【新発見】雑誌「新天地」7月号(第十四巻第七号)に犀星の詩が
先日、雑誌「新天地」7月号(昭和18年7月1日発行) をインターネット古書店で見つけて購入しました。
 犀星の詩「行春」が掲載されていました。
 「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)には記載がなく、「室生犀星書目集成」(室生朝子・星野晃一編)を確認したところ「行く春」との題名の詩が「定本室生犀星全詩集」第三巻に収録されていることがわかりました。(p.178~p.179)
 ただ、この詩には初出の記載はありませんでした。
 さらに、確認したところ詩の後半がカットされていることが判りました。犀星の意思によるものか、あるいは別の作品なのかはわかりません。
 その後、詩集「美以久佐」に「行春」が掲載されていることが判り、調べたところ全く別の作品でした。



2020年3月28日
雑誌「小学三年生 5月号(第7巻第2号)」昭和27年5月1日発行*2
先日、インターネット古書店から雑誌「小学三年生」5月号(小学館刊 昭和27年5月1日発行、第7号第2巻)を購入しました。
 この本は、擦れや折れ、ヤケもなくまるで新本のような綺麗な状態です。既に60年以上も経過しているにもかかわらず、驚きです。
 犀星の童話「さかなのいちば」が、鈴木寿夫氏の絵とともに掲載されています。(p.89~p.97)
 この雑誌や作品に関して「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところ、記載はあったもののその後、単行本や全集等には収録されていないようです。



2020年3月28日
雑誌「ぱらだいす」1947年3月 陽春特別号
先日、ヤフオクで雑誌「ぱらだいす」第4号 陽春特別号(日本デモクラシー協会刊 昭和22年3月1日発行) を落札しました。。
 犀星の詩「早春の二曲」として「早春」との題名の詩が2作品掲載されていました。
 この雑誌、および詩に関して「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)を確認したところ、記載がありました。(p.254)
 その後、「室生犀星書目集成」(室生朝子・星野晃一編)を確認したところ「早春」との題名の詩が「定本室生犀星全詩集」第三巻に収録されていることがわかりました。(p.267)
 確認したところ、その詩が収録されていました。(p.351~p.352)
 そこには、初出として(『ぱらだいす』四月)との記載がありました。表紙の「4」〈号)の記載を四月号と勘違いしたようです。



2020年3月10日
【新発見】「佛教童話全集」に犀星の作品が
先日、「佛教童話全集 3 印度」(鴻盟社刊 昭和3年6月10日発行) をインターネット古書店で見つけて購入しました。
 犀星の作品としては、以下の4つが掲載されていました。これらの作品は、「室生犀星書目集成」(室生朝子・星野晃一編)には掲載されていませんでした。
・籠から出た孔雀(かごからでたくじゃく)
・塞苦鳥(かんくどり)
・啖仙人(くらひせんにん)
・忍辱仙人(にんにくせんにん)
 これらの作品は犀星の創作なのか、インドに昔から伝わる童話なのかも不明です。



2020年2月22日
【新発見】雑誌「画論」第二十號 昭和18年4月10日発行
先日、雑誌「画論」第二十號 模本の研究(造形藝術社刊 昭和18年4月10日発行、3月號)を入手しました。
 不思議な事に目次には記載がありませんが、犀星の詩「庭の見える街」が突然、掲載されています。この詩は、「仁和寺遼廊亭庭園踏石」の写真とともに「庭がはるかに見える……」から始まっています。(p.28~29)
 この詩や、本に関して「室生犀星書目集成」(室生朝子、星野晃一編)や「室生犀星文学年譜」(室生朝子、本多 浩、星野晃一編)への記載はありません。
 犀星は、いろいろな雑誌に掲載されているため、今でも単行本や研究誌などにも掲載されていない作品を見つけることができます。



2020年2月15日
【新発見】童話「おにぎり」が掲載された雑誌「ひらがな童話」*2
先日、雑誌「ひらがな童話」(小学館刊 昭和16年12月10日発行) をインターネット古書店から購入しました。
 表紙には「二・三年生むき」との記載があります。
 犀星の童話「おにぎり」が掲載されており、確認したところ犀星の童話集「鮎吉・船吉・春吉」に掲載されている「おにぎり」と同じ作品であることがわかりました。
 「室生犀星書目集成」(室生朝子、星野晃一編)を確認したところ「鮎吉・船吉・春吉」に掲載されている「おにぎり」は、初出誌 "不詳"となっていました。今回、初出誌が、この「ひらがな童話」であることがわかりました。
 内容的には、同じ作品であるものの、「ひらがな童話」では、地名「信州」や「木」などの平易な漢字以外はひらがな表記されているのが、「鮎吉・船吉・春吉」では、それ以外の簡単な漢字も使われています。



2020年2月15日
雑誌「塔」昭和24年1月1日創刊號を入手
先日、雑誌「塔」創刊號(羽田書店刊 昭和24年1月1日発行、第一巻 第一號)を入手しました。雑誌「不同調」から改題した雑誌のようです。
 表紙には、「創作 くろがみ 室生犀星」との記載があり、犀星の小説「くろがみ」が掲載されています。
 この「くろがみ」は、単行本には収録されてはいませんが、「室生犀星未刊行作品集」第5巻に掲載されています。
 その他、幸田露伴の未発表物語詩「老少問答」も収録されています。
 犀星は、数多くの作品を書いているため、古い雑誌の中にもしばしば登場しています。



2020年2月11日
長篇小説「かげろうの日記遺文」に書かれた犀星の識語
先日、ある方から犀星の識語署名が書かれた長篇小説「かげろうの日記遺文」を寄贈いただきました。
その識語署名です。犀星自身のことを謳っているようです。
犀星らしさを感じます。

同じ識語が入った二冊目を「日本の古本屋」で購入しました。
本としては、「昭和35年1月15日第三刷発行」のもので、時期的には後のものです。
丁寧な楷書で書かれており、当初「浮世するとや」と読んでいましたが、「渡世するとや」であることがわかりました。

かげろうのごとき人あり
かげろうの文つくり
渡世するとや
          犀





2020年2月11日
雑誌 経済往来夏季増刊として出版された「新作三十三人集」
雑誌 経済往来夏季増刊として日本評論社から出版された「新作三十三人集」(昭和8年7月5日発行)を入手しました。犀星は、小説「母」を書いています。新作ということで、「新選室生犀星集」(改造社 昭和4年7月8日発行)に収録されている「母」(初出 雑誌「女性」大正13年5月号)とは異なるようです。
「室生犀星文学年譜」(室生朝子/本多浩/星野晃一編)の室生犀星作品年表には掲載されています。
単行本には、収録されていないようです。



2020年2月1日
新派百年記念「国立劇場十二月新派公演」のパンフレットを入手
「兄いもうと」に関連し以下の内容が掲載されています。
【資料展示室】
犀星の写真や初出誌の「文藝春秋」(昭和9年7月号)、映画「あにいもうと」のスチール写真など。
【思い出の舞台】
昭和12年11月の新宿第一劇場の水谷八重子のもん、昭和26年4月明治座、昭和38年4月明治座などの舞台写真が掲載されています。
【配役一覧】
配役が記載されています。もんは、水谷良重さんが演じています。
【その他】
室生朝子氏の「『あにいもうと』について」が掲載されています。



2019年12月30日
犀星の旧蔵書と思われる1冊をヤフオクで入手
先日ヤフオクで、文庫本の「幼年時代・あにいもうと」新潮社刊(昭和34年5月10日発行4刷)を落札しました。確認すると新潮社からの重版での犀星宛の確認依頼の紙が入っていました。
 一度は、犀星が手にしたと思われる貴重な1冊ということになりました。



2019年11月18日
犀星の投稿した詩が掲載された明治42年12月1日発行「中學文壇」を入手
犀星が、投稿した詩が掲載された明治42年12月1日発行の「中學文壇」第十二年第二十三集(280号)をヤフオクで入手しました。
「雨後の詩」の1つとして犀星の「盲人のゆめ」が選ばれ、掲載されています。この詩は。「定本 室生犀星全詩集」(冬樹社刊 昭和53年12月20日発行)の第一巻「未刊行詩篇」p.381に掲載されています。

「盲人のゆめ」
泌み疚く眼のいづらとしもなく
遠くひゞきくる詩の音樂。
其れとも分かぬ感應のちから
忘れ得ぬ明き光りの縞模様うかぶ。

浅黄色の幕ぞたゞよう舞臺、
あえなる笑まひ、頬と頬の曲も
とびつかくれつ逸るゝ
え残るかすかひゞきの音も。

林と地震と火山と海と
火酒の罎のいろ蒼き渦も…。

喪服も長き樂人の冴えたるさけび
そもやかてたからにひくく
死の音樂ぞしたゝりつ滴りつ…。



「中學文壇」第十二年第二十三集(280号)
北上屋書店刊(明治42年12月1日発行)

2019年11月3日
随筆集「魚眠洞随筆」(再版)の新樹社オリジナル版をついに発見
随筆集「魚眠洞随筆」の再版には、訂正紙で発行所が「武蔵野書院」とされたものとオリジナルの「新樹社」の二種類があるとされていましたが、これまで「新樹社」版については、入手できていませんでした。
(その詳細は、「魚眠洞随筆」の頁で紹介しています。)
第三版の巻頭に新たに追加された犀星の「再版序言」に以下の記載があります。
「『魚眠洞随筆』は久しく版行を絶っていたのは、発行元の新樹社主人が物故したためと、僕に閑暇の無かった為である。知友武蔵野主人は大へんこの書に親しみをもって呉(く)れた、今度その残余の部数に版を加えて、茲(ここ)に新しく世に問う機縁を与えてくれたのは、自分の望むところであった。」と。
再版の売れ残りに発行所を「武蔵野書院」変更の訂正紙を貼ったものと、第三版として新たに印刷したものを武蔵野書院が販売したということのようです。

今回、「新樹社」版をインターネット古書店で入手することができました。
 魚眠洞随筆(再版)
 発売所 大鎧閣、発行所 新樹社
 大正14年7月25日発行 四六判 函(今回入手したのは函欠)

そして、この「魚眠洞随筆」には、「風骨先生」宛献呈署名があります。犀星の金沢地方裁判所時代の上司の河越風骨氏だと思われます。






2019年8月3日
【速報】詩集「動物詩集」が装いも新たに復刊されました
しばらく絶版となっていましたが、子供向けの詩集「動物詩集」が、室生洲々子編、グレゴリ青山画で装いも新たに「龜鳴屋」から復刊されました。表紙は、なんともかわいい刺繍の写真で、刺繍(ししゅう)と詩集(ししゅう)をかけた、ちょっとお洒落な「動物詩集」になりました。
構成も変更されており、巻末には造本設計として「本書は、日本絵雑誌社版『動物詩集』と冬樹社版『定本 室生犀星全詩集』を底本とし、前者から「春の顔」「夏の顔」「秋の顔」「冬の顔」を削除。後者から新たに「蟻」「薮鶯」「ねこうた」「いたちのうた」「かにのうた」(100頁)「とかげ」を増補して再編集したものです。」と紹介されています。
金沢の室生犀星記念館やそのHPの「ミュージアムショップ」で販売しています。



フッターイメージ