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犀星著書蒐集の記録【最新】
2018年1月1日
軽井沢の室生犀星記念館公開の特別展「室生犀星と軽井沢」図録
軽井沢にある室生犀星旧居を改修し室生犀星記念館として1999年(平成11年)夏に公開されました。それに合わせて特別展「室生犀星と軽井沢」が開催され、その図録として軽井沢町教育委員会から1999年(平成11年)8月1日に発行されました。収録されているのは以下の通りで、軽井沢に拘った内容になっています。
・犀星と軽井沢
 軽井沢との出会い  「つるや」時代
 別荘暮らしの始まり 愛宕山時代
 ”コオロギ箱”で   大塚山時代
 軽井沢の冬     疎開時代
 第二の故郷     晩年
・軽井沢交遊録
・「室生犀星と軽井沢」展展示物リスト
・室生犀星軽井沢ゆかりの主な作品
・室生犀星略年譜
 軽井沢との関係を中心に

2018年1月1日
新発見! 詩集「故郷図絵集」の校正(試し刷り)版?
詩集「故郷図絵集」の中から詩を1つ紹介したいと思います。
犀星としては珍しい趣の詩です。
「星からの電話」
星からの電話ですよ、
早くいらしつてくださいな
なに星からなんぞ電話がかかるものか?
ゆうぺもざくろの實が破れたやうだから
そつとその陰へ行って見てゐたら
なかから一杯あたらしい冴えた美しい星が
みんな一どきに飛び出してしまつた。
そのときあいつらはみんな恁う言つた。
もとは青い星座なんだが
今月になつてから染つて赤くなつたんだとさ
なにその星からの電話だと
うそだよ
電話を切つておしまひ
毎晩わたしの部屋へ電話を掛けにくる工夫らは
あれは何か蜘蛛のやうな奴ぢやないか?
いくら月あかりがいいと言つて
そんな空想はいいかげん止した方がいゝぜ
星と星との間を帆前船が行くなんてのも昔の事さ
いまぢや星の中はみんな銅の腐つたやつばかりだとよ。
とは言ふものの
毎晩きまつた時刻に
窓あかりへ電線をつないでゐる奴は
どこの何者だらう
おれはまだああいふ奴を見たことがない
だのに階下からまた呼んでゐる
星からの電話ですが
ぜひお電話口へお出になつてくださいと言ひますが
どう言つたらようございませう
さうだな留守だと言へ
いまよその星とお話ちうだと言つてくれ。

閑話休題
先日、神田の古書店で普通本の「故郷図絵集」と奥附が異なる1冊(写真上・中)を入手しました。確認したところ奥附の検印や表記だけでなく、頁構成も異なっていました。
また、収録されています、詩「枯木」では、誤字もありました。
「枯木」
向ふ岩の枯木に雪がある
それが水に映って消えない。

       ↓
普通本(写真下)、特製50部限定本では、
向ふの枯木に雪がある
それが水に映って消えない。
となっています。
「室生犀星全詩集」(筑摩書房刊)も同様の表記となっており、続く「水に映って」との表現があることから「向ふ岸」が正しいと思われます。「詩集『故郷図絵集』の謎」の頁でも紹介しましたが、この1冊は校正のための試し刷りのように思われます。


「故郷図絵集」
(異種本表紙)


「故郷図絵集」
(異種本奥附)

「故郷図絵集」
(普通本奥附)
2017年12月17日
「室生犀星 ききがき抄」新保千代子著の初出誌を発見?
写真右上の新保千代子著「室生犀星 ききがき抄」(角川書店刊 昭和37年12月25日発行)は、犀星の研究書籍としては最も著名なものです。
以前は入手しにくく、比較的高価でしたが、最近では手頃な価格で容易に入手できるようになりました。

写真右下は、「赤門文學 第7号」(赤門文學会 昭和32年3月15日発行)で、その基となった「犀星ききがき抄(一)」が連載で掲載されています。「室生犀星 ききがき抄」出版にあたり、文章自体は手が入っており、別物の印象です。

改めて「室生犀星 ききがき抄」を読んでみたところ、「あとがき」に以下の文章を見つけました。
「(前略)同人雑誌『赤門文学』『北国文化』に掲載したこの稿を本にすることについて(後略)」
そして、最後には「赤門文学」同人の方達への感謝の言葉が書かれていました。
2017年12月16日
「蟲姫日記」が掲載された婦人之友 第四十八巻第三号を入手
写真上は、成瀬書房から昭和62年8月1日に発行された「故郷の町・蟲姫日記(113部限定特装版)」です。
ここでは、犀星の手書き原稿がそのまま復刻されています。
写真のものは、その中でも貴重な13部限定の私家本です。(通常の限定本には限定番号が、私家本の場合には「私家本」の記載となっています。)
外函には、「『故郷の町』には没後二十五年にして初めて公表される「片町」が収録されています。『蟲姫日記』は全集でも収録もれの貴重な作品。二篇を一冊ずつの和本にして、原稿用紙から筆跡まで復刻しました。美宝紬及び麻布装表紙。七宝焼き嵌め込みの爪付き帙入り」との記載がありますが、「蟲姫日記」は短編集「夕映えの男」講談社刊(昭和32年6月15日発行)に収録されています。その初出が、写真下の婦人之友 第四十八巻第三号(昭和29年3月1日発行)です。
「夕映えの男」と「故郷の町・蟲姫日記(113部限定特装版)」の差異については、付録の「原稿と既刊本との対比」に掲載されています。
今回入手した「婦人之友 第四十八巻第三号」に掲載された「蟲姫日記」を確認したところ、「夕映えの男」に掲載されたものとほぼ同じで、「夕映えの男」は、「婦人之友 第四十八巻第三号」に掲載された「蟲姫日記」を底本としているようです。
念のため、「夕映えの男」を確認してみましたが、記載はなく「室生犀星書目集成(室生朝子、星野晃一編)」には、初出誌として「婦人之友 第四十八巻第三号」が紹介されていました。

2017年12月16日
童話集「五つの城」の重版/刷を入手
童話集「五つの城」の重版をインターネット古書店から入手しました。
初版はときどき市場にでてきますが、重版/刷はなかなかでてきません。
重版/刷では、奥附の形式が大きく異なっている(写真右下)他、巻末の広告が無くなっています。また、表紙の絵も一部修正されています。
奥附には、以下のような記載となっており「版/刷数」の記載がありません。
昭和二十三年十月五日  初版
昭和二十四年十月十日  印刷
昭和二十四年十月十五日 発行
「室生犀星書目集成(室生朝子、星野晃一編)」には、「二刷 昭和二十四年八月十二日発行」との記載があるため、ある程度の回数発行されているようです。
作品としては、
・ねずみの兄弟
・二人のおばさん
・おにぎり
・蟻の町
・鮎吉、船吉、春吉
巻末には、「あとがき」(磯部忠雄著)が収録されています。

まえがきには、犀星が以下のように書いています。
「五つの城」と題をつけたのは、話がこれを書いた私にとってちょうど城のようにたいせつに見えるからその名をつけたのです。
「ねずみの兄弟」と「二人のおばさん」が一等あたらしく書いたものですが、あとは、みな同じ時分にかいたものであります。「蟻の町」はずっと小さい人のお話になるのです。
2017年12月2日
犀星の最初の評論集「新らしい詩とその作り方」に関する書籍
犀星の最初の評論集である「新らしい詩とその作り方」は、文武堂書店から大正14年4月5日に出版(写真右上)されています。
その後も改訂版など、何度か版を重ねていますが、全集などにも収録されていないこともあり、この作品が取り上げられることはほとんどありません。
先日、ネットで「新らしい詩とその作り方」が、學燈社から刊行されている「國文學」で取り上げられていることを知り、早速入手してみました。
写真右下が、その「國文學」1999年8月号(第44巻10号)です。
ここには、<連載119>本好き人好き「新らしい詩とその作り方」谷沢永一著が、「新らしい詩とその作り方」の初版函の写真と伴に掲載されていました。
内容としては、
1詩は優しい春のやうな感情である
2詩は愛である
3一つの林檎
4陰影、容積、深み、動くものについて
犀星の著書の巻頭の4つの章(初版では全25章)から抜粋掲載されています。
この「新らしい詩とその作り方」について、この他に、林 土岐男氏の「犀星襍記」で「『新らしい詩とその作り方』の周辺」(室生犀星研究14輯収録)として詳しく紹介されている他は、「室生犀星事典」(葉山修平監修、「新らしい詩とその作り方」の項目は、林 土岐男氏が担当)などを除くと、ほとんど言及されていません。
原作は、以下のURLで手軽に読むことができます。
国立国会図書館デジタルコレクション http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/959361
2017年11月10日
金沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました(2)
先日に続き、金沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました。
「室生犀星記念館」へは、JR金沢駅からバスで片町まで行き、徒歩数分のところにあります。犀川が直ぐ近くに流れており、犀星が幼少期に過ごした雨宝院も近くにあります。犀星好きにはたまらない場所です。
http://www.kanazawa-museum.jp/saisei/
当日は、企画展「山・海・詩・抄 ~犀星を支えた金沢の詩人・小畠貞一 ~」の開催初日でした。写真右が、その企画展のパンフレットです。
「小畠貞一君は僕の甥である。しかも一つ上の甥である。」とのことで、そのことを今回初めて知りました。
この企画展は、平成30年2月25日(日)まで開催の予定です。
今回の企画展では、室生犀星記念館 企画展パンフレット(写真右下)が配布されていました。総頁数がp.20と非常に充実したもので、小畠貞一氏の作品から年譜まで収録されています。
今回は、記念館で本「詩とファンタジー」(特集 室生犀星と金沢)を購入しました。
2017年11月3日
金沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました
先日、金沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました。
http://www.kanazawa-museum.jp/saisei/
企画展として「女流評伝―おうごんの針をもて文をつくる人々の傳記」が開催されていました。この企画展は、平成29年11月5日(日)まで開催の予定です。
今回の企画展では、室生犀星記念館企画展ガイドペーパー(写真右)が配布されていました。このガイドペーパーには、女流評伝集「黄金の針」からの抜き書きと、掲載されています女流作家紹介と展示資料リストが掲載されています。
記念館では、室生家で飼われていた猫の写真集「室生家には猫がゐて」(室生洲々子氏編著)と「ねこのお箸置き(ジイノ)」を購入しました

2017年10月20日
軽井沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました
先日、軽井沢にある「室生犀星記念館」に行ってきました。毎年、この時期に軽井沢を訪れていますが、なかなか機会に恵まれず、今回初めて訪問しました。
この「室生犀星記念館」は、室生犀星の旧住居で、昭和六年(1931年)に建てられたもので、亡くなる前年の昭和三十六年(1961年)まで毎夏をここで過ごしていました。また、昭和十九年から二十四年まで、一家をあげて疎開生活を過ごしたのもこの旧住居とのことです。
(「室生犀星記念館」で配布されていますパンフレットを参考に記載しています。)
入場無料で、4月29日から11月3日の間、無休で9時から17時まで公開されています。軽井沢駅からバスで「旧軽井沢」下車し、バス停から徒歩15分のところにあります。
詳細は、「長野県軽井沢町公式ホームページ」に掲載されています。
写真上から、「犀星の径」入り口の案内板と「室生犀星記念館」で配布されていたパンフレット。
その右は、「室生犀星記念館」までの「犀星の径」
写真中は、室生犀星記念館の旧住居(母屋)
写真下は、母屋の玄関横の縁側から見た庭と離れ
(犀星がよく座っていた場所から見たお気に入りの風景とのお話を記念館の方から教えていただきました。)
2017年10月1日
「新らしい詩とその作り方」増補版の謎 そのⅡ
以前、「『新らしい詩とその作り方』増補版の謎」として、京文社書店から出版された三版(右書影上)の奥附に記載されています以下の増補版が、
大正十三年五月四日 増補印刷
大正十三年五月十日 増補発行

昭和十三年六月一日 三版発行
実は存在せず、文武堂書店から大正14年4月5日に出版された「改訂版」が、増補版であり、再版との記載をさせていただきましたが、その裏付けとなる可能性のある記述を意外なところから見つけました。
それは、「三版」に掲載されている「再刊小言」です。
そこには、「それからこの本を再び世におくりだすことは、私の現在の心持とはかなり縁遠いものであるが、
文武堂主人の熱心な懇請が否(いな)みがたく匇惶(そそくさ)の間に百枚あまり足らざる箇所を増補し、至らぬ箇所を改訂して剞劂(きけつ)に附した次第である。」とあります。

右の書影下は、文武堂から出版された「改訂版」の表紙ですが、「文武堂主人の熱心な懇請(こんせい)」で別の出版社の京文社書店から出版したとは考えにくく、これがまさにそこに記載されている「再刊」であり「改訂」したものだと思われます。
また、「改訂版」に掲載されている「再刊小言」には、「『新らしい詩とその作り方』初版は大正七年二月に発兌(はつだ)したものであって今から恰度六年前である。」との記載があり、そこから増補版が大正十三年に出版されていたのではとの話になったのではないかと推測されます。

しかし、一方で疑問も残ります。「改訂版」と同じ版を利用して出版された「三版」には「再版小言」が収録されているのにもかかわらず、その元となった「改訂版」に、なぜ「「再刊小言」が収録されなかったのか。
「再刊小言」が収録された未だ見ぬ「増補版」が存在するのか。
まだまだ、完全解決とはなっていません。
2017年9月3日
犀星の珍しい著書がヤフオクに
先日、二冊目となる大正14年4月5日に文武堂書店から発行された「新らしい詩とその作り方」(改訂版)をヤフオクで落札しました。
「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編では、函附とされていますが、一度も目にしたことがありません。
背に痛みということで、4,600円での落札でした。
初版以上に珍しいもので、一冊目を入手したときには、二度と手にはいらないのではと思っていましたが、短期間のうちに二冊目を入手することができました。ヤフオクの普及で、珍しいものが、市場にどんどん出てきてくれるようになりました。
同時に、比較的珍しいものが出品されており、それなりの価格で落札されていました。
「性に眼覚める頃」初版 46,600円
「美しき氷河」初版 22,500円
「青い猿」初版 18,500円

2017年8月6日
犀星の作詞した校歌について(ちょっとした不思議)
犀星の作詞した校歌については、室生犀星記念館が編集・発行した「犀星校歌集」(平成18年3月18日初版)に、26校の校歌が掲載されています。また、室生犀星記念館のホームページの「校歌一覧」には、北区立滝野川第一小学校の旧校歌が追加され27校と紹介されています。その後、「犀星校歌集」(同)にも1校追加し、27校を収録しているようです。
また、犀星の作詞した校歌に関して、「室生犀星研究」第29輯の「犀星の校歌作詞」(嶋田亜沙子著)に詳しく紹介されており、その中でも「犀星作詞校歌一覧」として、北区立滝野川第一小学校を含む26校が紹介されています。27校ではないのは、日体荏原高等学校と姉妹校として歌詞を譲られた桜華女学院中学校・高等学校を1校として扱っているためです。
さらに、以下のサイトでは犀星の作詞した校歌、27校分26の歌詞が公開されています。
http://www.geocities.jp/scaffale00410/kouka/murousaisei.htm

2017年7月23日
童話集「翡翠」の装幀での新たな発見
函には、児童書らしい絵が書かれています。一方で、本表紙には抽象的な「翡翠(カワセミ)」の絵が書かれています。先日まで作者不詳としていましたが、「室生犀星研究」第32輯に掲載されています「翡翠と犀星」(林 土岐男著)に、「この装丁、口絵、挿絵などをよく見てみると、(HIRO)というサインがある。これは広川の広の略字である。」との記載があり、さらに「この本の装丁、挿絵などはすべて広川松太郎の手になっている。」と書かれています。さらに、「『翡翠』の表紙〈函は未見〉は、」とも記載されていますが、見つけました。函絵(魚)にも「HIRO」のサインがあることを。
ということで、装幀を広川松太郎としました。

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