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犀星著書蒐集の記録【最新】
2018年11月8日
「室生犀星自選詩集」の献呈署名句入りを入手、その句を調べてみました → 大発見
「室生犀星自選詩集」(高桐書院刊 昭和22年5月1日発行)の献呈署名句入りをインターネット古書店で見つけて購入しました。
入手し、返しの遊び紙の献呈署名句を確認しました。(写真上)
朝とやを出づる雛どりに大暑かな
鰍汀兄           犀

以前所有されていた方のものと思われるメモ書きに「昭和23・4・26 日記 朝とやを出る雛鶏に大暑かな 『苦楽』第二巻七号」との記載がありました。
それを手がかりに、「室生犀星全集 別巻二」(新潮社刊 昭和43年1月30日初版発行)で、昭和23年4月26日の犀星の日記を探してみると実際に記載がありました。(p.300)
舊句、録して置く
 朝とやを出る雛鶏に大暑かな
 初蝉やうつゝに見ゆる遠瓦
鎌倉の點灸師来る。灸をして貰う。

その後に、犀星の俳句のバイブルである「室生犀星句集 魚眠洞全句」(室生朝子編 北国新聞社刊 昭和52年11月30日発行)で調べてみました。ここにも「朝とやを出る雛鶏に大暑かな」の句がありました。初出の欄には、「昭和二十三年四月二十六日、日記、同年七・八月号合併号第三巻第七号『苦楽』」との記載がありました。多分、以前の所有者はこの「室生犀星句集 魚眠洞全句」を見て、メモ書きに記載したものと思われます。

参考までに、「苦楽」昭和二十三年七・八月号合併号第三巻第七号をインターネット古書店で探したところ簡単に見つかりましたので、早速注文しました。後日、その本が届きましたので調べてみました。
p.22に犀星の俳句が「あやめ」との題で5句掲載されていました。果たしてその句は、
朝もやを出づるひな鶏に大暑かな」と、似ているものの同じ句とは言い難い内容で、解決するどころか更に謎になってしまいました。(続く)

さらに大発見です。献呈署名句が書かれている見返しの遊び紙をよく見ると漉き込まれた模様があります。これが全てにはなく、犀星の献呈本専用の装幀であることがわかりました。
他に、献呈署名入りを1冊所有しており、それにも同様の漉き込まれた模様がありますが、それ以外の一般の本には見返し、見返しの遊びには普通の紙が使われています。もともと献呈本には、印紙が貼られていないことが多く、後から署名されたものか、献呈署名されたかを区別することができますが、この「室生犀星自選詩集」の場合には、犀星の献呈本用に、装幀を変えた専用のものを作っていたということになります。流石、装幀に拘る犀星ならではの対応です。

「室生犀星自選詩集」(高桐書院刊 昭和22年5月1日発行)

「苦楽」昭和二十三年七・八月号合併号第三巻第七号

左:通常本の見返し(遊び)
右:献呈本用の見返し(遊び)


2018年10月8日
【新発見】「動物詩集」の「後期版」をついに発見しました
「動物詩集」には、本とカバーの違いで印刷された時期から「前期」、「中期」、「後期」の三種類があります。(詳細は、「『動物詩集』の謎」の頁で紹介しています。)
これまで、「後期版」について、カバー附きは未見でしたが、先日神田の古書店で見つけ入手することができました。カバー附き並品でしたが、6,000円で入手することができました。
これで「復刻版」の基となった「後期版」が存在し、本とカバーの「組み合わせ」を確認することができました。

実は、先日ヤフオクにも「後期版」と思われる1冊が出品されていました。
残念ながらカバー欠けでしたが、本の裏表紙に「出文協承認あ430130」が印刷されていました。
ちなみに、落札価格は、8,750円でした。
やはり、この「動物詩集」は人気があり、カバー欠けとしては、これまでの中でも比較的高価に落札されています。


「動物詩集」初版 後期版
日本絵雑誌社刊、昭和18年9月5日発行


2018年9月25日
【新発見】水谷八重子宛献呈署名入りの「少女の野面」(おとめののずら)を入手
あにいもうと(新潮文庫版)第47版の巻末に犀星の「後記」が追加されています。
その中では、『私の作品で映画化されたものも「あにいもうと」(昭和九年七月号、文芸春秋)が最初であり、水谷八重子女子によって繰り返し劇にものぼったのもこの「あにいもうと」である。』との記載があるように女優の水谷八重子さんが、「兄いもうと」の妹の「もん」役を昭和10年の有楽座十一月興行以来、舞台で繰り返し演じています。(「兄いもうと」紹介頁を参照。)
その縁から、犀星はこの短篇小説集「少女の野面」の本を贈ったものと思われます。
随筆集「印刷庭苑」(昭和11年6月15日発行、竹村書房刊)で、『「あにいもうと」上演記』として水谷八重子さんとの最初の出会いが書かれています。
国立国会図書館デジタルコレクション 
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1172474

「室生犀星全集別巻二」(p.279)に掲載されている昭和31年2月1日の日記に寄贈先として『「少女の野面」圓地文子、網野菊、板垣直子(中略)水谷八重子、大澤衛』との記載があります。
また、この本は入手した際にカバーが附いていませんでしたが、
同(p.279)昭和31年1月29日の日記に犀星が「『少女の野面』出来、これは下等な帯をつけられ、不出来であり、不愉快である。」と書いていることから、敢えてカバーを外して贈ったのではないかと思われます。
別の短篇小説集「黒髪の書」(昭和30年2月28日発行)に関して、同(p229)昭和30年3月4日の日記に「装幀で失敗したので包ミ表紙をとって、おくることにした。中の布表紙は自分がこさえた装幀だからである」と書いています。


短篇小説集「少女の野面」
鱒書房刊 初版7,000部発行
昭和31年1月31日発行
左:本表紙(カバー欠け)
右:中表紙水谷八重子宛献呈署名(署名「犀」)


2018年9月17日
長篇小説「杏っ子」のテレビ台本⑦⑨(日本テレビ系列)をヤフオクで入手
日本テレビ系列でテレビドラマとして昭和37年9月3日から放映された「杏っ子」の放送台本を入手しました。
(原作:室生犀星、脚本:池田一朗、音楽:池田正義、演出:蒲生順一、主演:朝風みどり)
⑦の表紙に医者役の「永井玄哉」との記名があり、旧所有のもののようです。
平山平四郎:松村達雄
平山りえ子:室生あやこ
平山杏子(杏っ子):朝風みどり
平山平之助:矢野間啓治
女学生
まり子(せのちん):渡辺康子
るり子(とこ):斉藤昭子
えん子(山ちん):樫山文枝
医者:永井玄哉
木下看護婦:無記名


日本テレビ放送台本「杏っ子」⑦、⑨

2018年9月2日
【新発見】童話集「鮎吉・船吉・春吉」の謎
「鮎吉・船吉・春吉」は、犀星の最初の中篇童話集で、初版は不詳、再版は2,000部、三版は5,000部、四版未確認、五版は2,000部出版されています。
右上の書影は、左側が初版本の表紙、右側が再版の表紙です。再版表紙の右上に「文部省推薦」の文字が加刷されています。
実は、それだけでなく表紙の題名の「吉」の文字が変更されています。

題名の拡大を見てもらうとわかりますが、初版の題名の「𠮷」は、横棒の下が長くなっている「つちよし」が、再版の「吉」は、一般的な横棒の上が長くなっている「よし」に変更されています。
再版の「吉」は、常用漢字として使われていますが、初版の「𠮷」は、その異体字とのようです。
「文部省推薦」となったことで、なんらかの指導があったのかもしれません。
中表紙の題名も同様ですが、中表紙の「鮎」にフリガナがついていませんでしたが、「再版」にはしっかり附けられています。

これ以外にも、この「鮎吉・船吉・春吉」には、さまざまな不思議が存在します。詳細は、以下の頁を参照ください。
童話集「鮎吉・船吉・春吉」の謎

「鮎吉・船吉・春吉」小学館刊
左側:初版 昭和17年4月15日発行(発行部数不詳)
右側:再版 昭和17年7月30日発行(2,000部発行)



写真 表紙題名
上側:初版、下側:再版


写真 中表紙題名
上側:初版、下側:再版


2018年8月12日
【発見】映画「杏っ子」の対談記事
ベスト・セラーとなった犀星の長篇小説「杏っ子」は、東京新聞夕刊に昭和31年11月19日から昭和32年8月18日(全271回)まで連載され、その後、昭和32年10月20日に新潮社から出版されています。
昭和33年1月には、読売文学賞を受賞し、この「杏っ子」は、成瀬巳喜男監督で映画化され、1958年5月13日に公開されました。
作家の平山平四郎には、山村聰が、その娘で主演の平山杏子には、香川京子が演じています。
(右上は、受賞後の昭和33年2月23日発行された「杏っ子」の第16刷で、帯に読売文学賞受賞作品と記載されています。)

右下の、「婦人公論」昭和33年3月号には、原作の「室生犀星」と主演の「香川京子」の対談が、「『杏っ子』とその父親」との題名で掲載されています。
もともと、この「婦人公論」は、犀星の「わが愛する詩人の伝記」が連載されている中の1冊で、この号には「萩原朔太郎」が掲載されています。また、グラビアとして「萩原朔太郎の生地『前橋』」(撮影:浜谷 浩)も掲載されています。

対談は、犀星が「僕は女優さんと対談することは初めてですよ。」、香川さんが「光栄でございます。」から始まっています。犀星自身が、もしこの映画の監督だったらと、犀星の性格が素直に表現されています。
(「婦人公論」昭和33年3月号)

さらに先日、映画化(公開 昭和33年5月13日)のシナリオ(脚本 田中澄江、成瀬巳喜男)が掲載された「キネマ旬報」を入手しました。


「杏っ子」新潮社刊
昭和33年2月23日発行(第16刷)

2018年6月1日
「あにいもうと」が大泉洋&宮﨑あおいでドラマ化
犀星のベストセラー小説「あにいもうと」が大泉洋&宮﨑あおいでドラマ化されTBS系列で6月25日(月)20:00~22:00で放送されます
http://www.tbs.co.jp/aniimouto/
これまでも「あにいもうと」は3度映画化され、舞台公演としても数多く公開されています。
「兄いもうと」紹介頁を公開しました。
書籍としては、初版が昭和10年1月28日に「神々のへど」として山本書店から出版されましたが、その後「兄いもうと」改題され、普及版、廉価版、決定版と数多くの版、刷が出版されています。また、現在でも手軽に購入することができます。
右の写真は、昭和14年6月1日に出版された決定版で函附のものです。「室生犀星書目集成」(室生朝子、星野晃一編)では、カバー附として紹介されていますが、カバー附はほとんどでてきません。多くはこの赤を基調とした函附です。但し、不思議なことに裸本も非常に多く存在します。




兄いもうと(決定版)
山本書店刊
昭和14年6月1日発行

2018年5月19日
評論集「新(ら)しい詩とその作り方」が国書刊行会から復刊されました
評論集「新らしい詩とその作り方」は、初版が大正14年4月5日に文武堂書店から出版され、その後改訂版が大正14年4月5日に出版されています。
 更に昭和13年6月1日には、京文社書店から改訂新版が出版され、その第五版が、昭和14年3月5日に出版されています。
 また、先日ヤフオクに昭和14年8月5日発行の重版が出品されていました。第五版より後の日付であったことから六版以降も出版されていたようです。
 しかし、これまで全集にも収録されておらず、気軽に読むことができませんでしたが、今回国書刊行会から「新しい詩とその作り方」として復刊されました。
 第29章まであることと、犀星の「再刊小言」が収録されていることから初版ではなく改訂新版(第三版)を底本としているようです。これにより、「新しい詩とその作り方」を手軽に読むことができるようになりました。



写真の右側から、
初版函、本(大正7年4月10日発行 文武堂書店刊)、
第三版函、本(昭和13年6月1日 京文社書店刊)、
第五版(昭和14年3月5日 京文社書店刊)、
改訂版(大正14年4月5日 文武堂書店刊)

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