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犀星著書蒐集の記録【Ⅰ】 2009年11月28日~2015年2月21日
2015年2月21日
サライ最新号(2015年2月号)に「鏡花と犀星の金沢を歩く」が掲載
サライ最新号(2015年2月号)に
●「北陸新幹線」開業直前特集 
「鏡花と犀星の
金沢を歩く」が掲載されました。
犀星と関係の深い「雨宝院」、「犀星の墓地」、「兼六園」、「室生犀星記念館」などが紹介されています。


2014年12月11日
室生朝子氏の識語署名入の「とみ子発句集」私家版を入手
先日、ヤフオクに犀星夫人の「室生とみ子」氏の死後、生前に出版された「しぐれ抄」に掲載された全部の発句と日記、手帳、覚書、書簡などからの抄出で私家版として出版された「とみ子発句集」が出品されており、それを落札しました。
その「とみ子発句集」には、右の「室生朝子」氏の識語が書かれていました。
その中には、朝子氏の著書の題名ともなった「母そはの母」から始まる犀星の短歌が書かれています。
この短歌は、どの著作集にも収録されていませんが、この短歌について星野晃一著の「室生犀星の短歌」という本に記載があるのを見つけました。原文は「短歌」に掲載された室生朝子氏の著作からの抜粋です。
その中には、「[参]「父から貰った和歌について」(短歌)昭和39・3・1の中で、室生朝子氏は、次のように書いている。
母そはの 母の心を尋(と)めゆけば/山川 あかき 野の辺にそ 立つ
母が亡くなった後私は、母の思い出をまとめ、『母そはの母』という書物を出版した。父はいろいろ相談にのってくれて装幀なども考えた。出来上がった本は美しく珍しく父の気にいった。三、四日後、夕食時、父は何気ない顔をして、この和歌を読んだ(略)父は、これは君にあげる歌だから何かの時に使いたまえ。「犀星作朝子認」と書けばよいと、丁寧に言ってくれた。」との記載があります。(「室生犀星の短歌」星野晃一著 p.94)
2014年10月24日
「我が愛する詩人の伝記」の全日本ブッククラブ版を入手
「我が愛する詩人の伝記」の初版は、昭和33年12月15日に中央公論社より出版されています。右の書影は、その後、昭和45年10月1日に全日本ブッククラブ会員向けに頒布されたもので、初版と同様に中央公論社から発行されています。
ブッククラブは、もともとは当時の西ドイツで始まった会員制で本を安価に頒布する仕組みで、日本では出版社、取次店、書店が協力して全日本ブッククラブが設立されました。残念ながら、業績不振により1973年には解散しています。また、全日本ブッククラブは、奥附等では「AJBC」と略されています。
この1冊は、先日ヤフオクでまとめて落札した犀星の著書の中に含まれていたものです。昭和33年~最晩年の37年までの著書28冊(重複あり)で、帯、元パラなどが附いた比較的綺麗な状態のものでした。他にも「火の魚」なども出品されていましたので、一括して処分されたもののようです。
落札した中には比較的人気のある「蜜のあわれ」(帯、函附)なども含まれていました。確認してみると購入した古書店のラベルが附いたものが多く、丁寧に買い集められたもののようです。大切に引き継がせていただこうと思っています。
2014年8月30日
「室生犀星詩集(那須辰造編)」の二冊目をヤフオクで入手
この詩集は、これまで発表された詩集などから那須辰造氏が149篇を選んでまとめたものです。寺田政明氏の装幀と絵は秀逸です。

この室生犀星詩集でびっくりする誤植があります。155頁に掲載されている「藁(わら)」です。
本来「星より来たれる者」に収録されている詩で、その後の詩集でも収録されています。
「星より来たれる者」や他の詩集では、「土が燃えてゐる」ではなく「土が凍(こご)えてゐる」となっており間逆の表現になってしまっています。(残念) 
この「藁(わら)」については、「詩集『星より来たれる者』の前後」の頁で紹介しています。
はたして犀星は気づいたのでしょうか。
2014年8月27日
童話集「翡翠(ヒスイ)」の函附を入手
先日ヤフオクで童話集「翡翠(ヒスイ)」の初版、函附を落札しました。
函欠けは比較的流通しているものの、函附は、これまで一度目にしたことはありますが、非常に貴重です。
右の写影が、その函です。魚の絵が描かれています。

その「序」で犀星は、
「これらはみんな古い話をあつめたものです。わたしの話した下手なところがあれば、それはわたしのわるいので、他にもつとおもしろいところがあるかもしれません。けれども、なるべく品のあるお話にしたのです。
 子供たちのある母親.または、これをちゃんと読める人人におすゝめする所以です。あるひはむづかしいかも知れません。しかし能く読んでゆくと味があると思ひます。」と書いています。
2014年8月2日
改造文庫「室生犀星詩集」のカバー付を発見
室生犀星詩集(改造社刊)は、昭和4年11月20日に改造文庫の第二部第94篇として出版されています。
先日、カバー(痛み、補修)附きのものをインターネットで出品されているのを見つけて早速購入しました。これまでも二冊を入手していましたが、カバー附きを初めて入手しました。
「室生犀星書目集成」(室生朝子、星野晃一編)でもカバーの記載はなく、初めてカバー附きということが判明しました。
他の改造文庫でも、カバー附きはほとんどでてきません。カバーの紙質が良くないためなかなか残っているものは少ないようです。
序で犀星は「自分は本詩集には一切改竄添削を加へず、原詩の悌を傳えることにした。詩が詩として後代につたはるのも、實に此の所以に外ならないからである。」と書いています。
2014年4月4日
「室生犀星作品集」全12巻(新潮社刊)を入手
「室生犀星作品集」全12巻(新潮社刊)を改めて入手しました。今回は、全巻の月報が附いていました。
左は第1回配本の第四巻「聖処女・あにいもうと」に附いていた月報です。
この月報には、丸岡 明著の「室生さんと堀辰雄」、圓地文子著の『「舌を噛み切った女」と「山吹」の脚色』、樽崎勤著の「室生さん」そして連載として伊藤信吉編の「室生犀星書誌(1)」が掲載されています。
この中で、伊藤信吉は、『この作家の仕事につよい関心をもつ人や研究者の便に資するため、本月報に「室生犀星書誌」を掲載することにした。』と書いてます。
その後、この月報で新保千代子編の「室生犀星年譜」が第6号(第4巻)より連載されています。

2014年3月30日
絶筆の「好色」が掲載された「小説中央公論 昭和37年初夏特大号」を入手
絶筆の「好色」が掲載された「小説中央公論 初夏特大号(昭和37年5月20日発行)」をヤフオクで落札しました。

この中で遺稿「好色」(仮題)として「故 室生犀星氏の書斎」や「晩年の室生犀星氏や室生朝子さん」の写真と共に掲載されています。
目次には、「氏の没後、愛用の小箱の中から発見された遺稿七十枚、執拗なまでに性への衝迫を描き、女ひと一代を彷彿とさせる室生文学最後の光芒」と紹介されています。
また、筑摩書房刊の「好色」のあとがきとして収録されている室生朝子氏の「父の絶筆」や、なかのしげはる(中野重治)著の「『驢馬』の時分」も掲載されています。
この「『驢馬』の時分」は、現代詩文集「室生犀星詩集」(思潮社刊)に掲載されています。
2014年2月13日
【新発見!】「蝶・故山(再版/第五版)」の異装本を入手
「蝶・故山」は、昭和16年7月10日に初版が出版された短篇小説集で、「蝶・故山」としては昭和22年4月25日の第五版(表記は再版)まで、その後「蝶」と改題され昭和22年11月20日に細川行叢書7として出版されています。
再版(第二版)を除き、改版の度に装幀、造本が大きく変更されています。
初版、再版(第二版)紙装厚紙表紙に函附という所謂上製本の装幀でしたが、第三版では鮮やかな絵の紙装厚紙表紙のカバー装に、第四版(廉価版)では、紙装薄紙表紙の軽装廉価版に、第五版(表記は再版)は、第四版の再版としてシンプルな意匠に変更されています。
右の写影は、その第五版(表記は再版)の異装本です。本来軽装廉価版であるはずが、黒色のやや薄めの紙装厚紙表紙に題簽を貼り付けた非常にシンプルな造本となっています。
この異装本は、個人で手を加えて作ったものか、出版されたものか現時点では判別できていませんが、作りとしては非常に良くできています。題簽の文字もオリジナルと同じではないものの、よく似たものが用いられており、考えられて作られています。
入手してからちょうど1年になりましたが、ヤフオクに同じ装幀のものが出展されました。これで異装本ということが判明しました。
2014年1月13日
逢ひぬれば」の4冊目を入手
「逢ひぬれば」は、昭和22年12月10日に限定千部で出版された詩集です。カバー附きですが、非常に薄い和紙製のカバーということで痛みやすく完全なカバーが残っているのは非常に貴重です。
1冊目は、カバー欠けを4,000円で購入、2冊目はカバーの背部分が痛みでほとんど残っていない状態でしたが、一応カバー附きを
ヤフオクで3,000円で落札、3冊目は同様にヤフオクで完全な状態のカバー附きをなんと1,200円で落札しました。
私1人の入札で最低価格での落札でした。
その後、同様にヤフオクでほぼ完全なカバー附きのものが出品されましたが、複数の入札があり10,000円を超える落札価格でした。
インターネット古書店でも、30,000円で出品されており、非常に貴重な1冊です。
先日、インターネット古書店で初版、表紙外れとの1冊が、1,575円で出品されており、早速購入しました。
実際には背が殆ど残っていないカバー附きで、背以外は綺麗な状態のカバーでした。
2014年1月5日
「信濃の歌」再版を入手
信濃の歌は、初版が昭和16年3月20日に出版された短篇小説集です。
先日、ヤフオクにその異装本が出品されており、落札して確認したところ、再版であることが判りました。
初版は、函も本も深緑色の綺麗な装幀ですが、この昭和17年1月20日発行の再版では、本の色が函の共色から白色に変更されていました。
奥附の印刷、発行日付には、初版、再版などの記載がなく、奥附をよく見ると最下部に横書きで「昭和十六年二月二十日初版との記載がありました。
そのため初版と勘違いされることも少なくないようです。
試しにインターネット古書店を見てみると昭和17年初版で出品されていました。
その他に、再版では奥附の検印紙も省略されています。
再版、重版で函附からカバー装に変更する事はよくありますが、この「信濃の歌」のように色を変えるのは珍しいようです。
ちなみに、重版でカバー装になったものとしては、「瞼のひと(三版)」や「鮎吉・船吉・春吉(五版)」などがあります。
2013年12月28日
「復讐」普及版を入手
「復讐」は、昭和10年12月20日に出版された長篇小説です。
先日、「室生犀星全集(新潮社)」別巻二の書誌(結城信一著)を読み直していると、「特製本新菊判三六一頁・定価二圓・箱附」との記載がありました。
以前から、「室生犀星書目集成」室生朝子、星野晃一編(明治書院刊)には、普及版の記載があり、その存在は判っていましたが、今回、通常版の他に、特製本、普及版の二種類が存在するのではということで調べてみました。
結果的には、「室生犀星全集(新潮社)」別巻二の書誌に誤りがあり、特製本とされているのが実は通常本で、通常本は普及版ということがわかりました。右の書影はその「普及版」です。
書誌では、「四六判三六一頁・装幀著者・定価一円圓二十銭」となっており、まさにこの「普及版」のことと思われます。
2013年11月16日
童話集「鮎吉・船吉・春吉」の第五版を入手
非常に珍しい童話集「鮎吉・船吉・春吉」の第五版を入手しました。
これまで初版、再版、三版を所有していましたが、林 土岐男氏著の「犀星襍記(ざっき)」の中で林 土岐男氏自身がこの初版と五版を所有していた旨の記載があり五版までの存在が判明していたため、ぜひ確認したいと思っていました。
実際に入手して見ると、三版までは函附でしたが、この五版ではカバー附に変更されていました。カバーの意匠は函のものを利用していますが、「文部省推薦」の文字の位置が異なるなど一部変更されています。
「犀星襍記(ざっき)」には、「五版は町で買ったもの。一版との違いは、函が無いこと。これは最初あったものか、函を作るのが費用の面でできなくなったのかは知らない。」との記載がありますが、今回それが判明しました。
2013年10月19日
「室生犀星自選詩集」献呈署名入りをヤフオクで落札
先日、ヤフオクで「室生犀星自選詩集」の献呈署名入り本をヤフオクに出品されているのを見つけて落札しました。
犀星にしてはめずらしいペン書きです。
為書きということで2,700円と比較的安価に落札することができました。
奥附を確認したところ、検印紙が貼られておらず、編集者から贈呈されたものを贈られたようです。
2013年8月25日
詩・随筆集「庭と木」のカバー附きを入手
珍しい随筆「庭と木」のカバー附きです。
カバー欠けは、数多く市場に流通していますが、カバー附きは稀です。これまで、カバー欠けは2冊所有していましたが、今回ヤフオクでカバー附を譲っていただきました。
この「庭と木」は、犀星が好んだ庭に関する随筆集で、一部「詩」も掲載されています。
巻頭には、犀星の以下の序があります。
「庭と木、
庭と木の一巻、
笹の置露、
そして僕はこれで夏の霜をつくらふとするのだ、
わが庭と木を楽しくするために、」
2013年5月3日
詩集「故郷図絵集」の初版。カバー附きを入手
先日、インターネット古書店で珍しい「故郷図絵集」の通常版のカバー付を見つけて購入しました。
カバーや本に痛みや染みがあり、良い状態ではありませんが、なかなか市場に出てこない希少な本ということで早速注文しました。インターネット上は8,000円との表示でしたが、その書店からメールで、表示以外にも痛みがあるので6,100円とのことで連絡をいただきました。非常に良心的なお店です。
これまで、限定50部の特装本や通常本の紙装厚表紙本(異装本?)は目にすることがありましたが、この通常版は今まで復刻版でしか見たことが無く、復刻版自体も似ているのかどうかも判断がつきませんでした。
今回、通常版を入手したことで、復刻版との違いなども確認することができました。よく見ると寸分違わずに作っているのではなく、本物との区別のために部分的に手を入れていることも判りました。詳細については「故郷図絵集の真贋」を参照してください。ここには、その違いについても紹介しています。
2013年4月6日
珍しい犀星自身による詩の朗読ソノシート
この「朝日ソノラマ 現代作家自作朗読集」第三集には、室生犀星を含む4人の作家の朗読が収録されています。室生犀星の朗読は、昭和36年9月21日発行の月刊「朝日ソノラマ」昭和36年10月号通巻22号からの再録です。
附録のソノシートには、A面には「抒情小曲集」、B面には、「鉄集(くろがねしゅう)」より選ばれた詩の犀星自身による朗読が収録されています。
また、犀星のコメントとして「私はこれらの詩の朗読中は、神妙に無心でやった。公けの自作朗読ははじめてであって、これは私の死後に繰りかえされて、聴く人もあるのであろう。一詩人の生涯というものは全部の作品を掲げて、死後のささやきとなり文学的遺言のようなものになるのではないか。音楽家になる理想を抱いていた私の青少年のゆめはとうになくなったが、この一時間の独唱はようやくに音楽家のまねをして過ごすことが出来たのである。」と記載されています
また、「抒情小曲集」の中の代表作である「小景異情」で、初版では、その六までありますが、本来のその三の「銀の時計をうしなえる~」、その四、その六が割愛され、その五が、その三として紹介されています。犀星最晩年の「抒情小曲集」と言えます。
2012年11月3日
犀星の識語署名入りの「室生犀星詩集」(改造文庫版)を入手
犀星の識語署名の入った「室生犀星詩集」(改造文庫版)をヤフオクで落札しました
犀星の筆跡で宛名が「管忠雄様」と書かれていますが、小説家であり、雑誌「文芸春秋」の編集長であった「菅(すが)忠雄氏」のことと思われます。
以前、入手した名刺に書かれた宛名も間違えているものも多く、やはりこれも間違いだと思われます。犀星は、人の名前を覚えるのが苦手だったか、あまり気にしない性格だったようです。
2012年11月3日
大阪朝日新聞に掲載された作品を集めた「一日一文」をヤフオクで落札
大正14年から大阪朝日新聞紙上に様々な著名人の短文作品を「一日一文」として掲載したものを集めて出版されたものです。
室生犀星他に与謝野晶子氏や斉藤茂吉、萩原朔太郎、谷崎潤一郎などの作家やその他にも画家、政治家、教育者、実業家なども書いています。計66人の作品が掲載されていますが、犀星を含む15人の作品の原稿の一部も掲載されています。
犀星の作品としては評句である「はるさめ草」が掲載されていますが、「室生犀星書目集成」(室生朝子他編)によるとやはり初出は、大阪朝日新聞の大正14年5月9日となっており、昭和3年5月16日に出版された「芭蕉襍記(ざっき)」に収録されています。
この「一日一文」と「芭蕉襍記(ざっき)」に掲載された「はるさめ草」には違いがあり、「芭蕉襍記(ざっき)」に掲載するにあたり、犀星が手を入れていることがわかりました。原文を読むことのできる貴重な一冊です。
2012年10月28日
「性に眼覚める頃(新装版)」を神田の古書店で購入
先日、神田の古書店で「性に眼覚める頃」(新装版)を偶然見つけて購入しました。
「室生犀星書目集成」(室生朝子他編)には、この新装版に関する記載がありませんが、「室生犀星全集 別巻二」(新潮社版)の書誌には新装との記載があります。
初版が函附き、厚表紙の上製本で定価1円50銭に対し、この新装版は、カバー装1円40銭と軽装廉価版となっています。
初版からは、献辞、序詩(春の寺)、例言が省かれている他は内容は同じです。また、装幀は初版と同じ恩地孝四郎氏です。
表紙、中扉の絵は繊細で、初版とは異なる印象を持っています。初版に比較して、市場に流通している数が圧倒的に少なく貴重です。
これまでも数回ヤフオク出品されていますが、1万円を超えて比較的高価な価格で落札されています。
先日、この新装版の第7版をヤフオクで落札しました。昭和2年3月28日の出版となっていました。
2012年6月29日
「杏っ子」犀星の墨署名入り本をヤフオクで落札
先日、長篇小説でベストセラーとなった「杏っ子」の墨署名入りをヤフオクで落札しました。
これまで名刺への墨署名や献呈署名入り本は何冊か所有していましたが、今回の署名は墨で「室生犀星」と非常に力強く、ベストセラーとなったこの本と同様に勢いのある書体で書かれています。
これほどのものは初めてです。
昭和33年1月30日発行十一刷への署名ですから、晩年のものとなります。
ヤクオクで5,000円での落札となりましたが、初版でないためか、署名入りのものとしては非常に安価に購入することができました。
また、この十一刷の帯も「読売文学賞受賞」のものではなく初版と同様の「小説あんずっこ」と書かれたものが附いていました。
2012年4月15日
「犀星発句集」初版
今回、野田書房出版の「犀星発句集」をヤフオクで落札しました。「犀星発句集」は、所謂野田本の1冊として限定500部限定で出版されたもので、犀星の装幀を非常に上質な造本で仕上げています。
函、本の紙質を含め犀星の書籍の中では、最高の1冊だと思います。
通常の奥附には五百部限定出版との記載がある他、1冊ごとの限定番号の頁が別にあり、その番号も手書きではなく印刷されています。
つまり、事前に限定番号の頁を1枚ずつ印刷したものを挟み込むという非常に手の込んだ造本となっています。多くは、限定番号は空白として、手書きやゴム印などで後から記入する方法をとっており、遥かに手数がかかっています。本当に拘りのある仕事をしています
2012年1月2日
異装本「信濃山中(しなのやまなか)」を入手しました
右の「信濃山中(しなのやまなか)」は、「室生犀星の異装本」でも紹介していますが、通常のものと装幀が大きく異なっています。通常のものの表紙には、書名が印刷されているだけですが、この異装本の表紙には横書きの書名と著者名、そして絵が印刷されています。
今回、詳細に確認してみると奥付けは、通常版と基本的に同じですが、売価(定価)のところに「定価 金参拾圓(30円)」との紙が貼られていました。通常版は八圓(8円)、あるいは同様に紙で壱弐圓(12円)に訂正されたものがありますが、比較すると3倍以上の価格ということになります。
裏表紙にも定価の記載がされていますが、そこにも「¥30.00」との印刷がされており、さらにゴム印で「一割加算」と押されています。
また、表紙、遊び紙などのの紙質にも違いがあり、異装本の方が上質の紙が使われています。
奥附には記載はありませんが、異装本というよりも特装本(豪華本)との意味合いのようです。それにしてもそれだけで3倍以上の価格というのは驚かされます。
2011年10月16日
四冊目の「第二愛の詩集」を手に入れました
「第二愛の詩集」は、文武堂書店から「愛の詩集」の第二詩集として大正8年5月5日に出版されました。巻末の広告には「愛の詩集第3篇」近刊との記載があり、第三の「愛の詩集」も出版する予定だったようです。
最初に目にしたのは、ヤフオクでしたが残念ながら落札することができませんでした。函欠けでしたが、非常に状態の良いものでしたので残念な思いをしました。
ところが、1年ぐらいたった頃に落札された方が再度ヤフオクに出品されたのを見つけて、今度は落札することができました。確か15,000円程度だったと思います。
その後、インターネット古書店で、並品を5,000円で購入、さらに神田の古書店で背欠けの函附きのものを14,000円で購入しました。
今回、インターネット古書店で4冊目を見つけ購入しました。本の状態としてはこれまでの中で最も良いものです。ちなみに函欠けで5,000円でした。
右の写影はその「第二愛の詩集」4冊の背です。
私自身、表紙の詩が非常に好きでつい4冊も集めてしまいました。その詩は「僕の空の前にも艶の良い若葉がそよぐ、風が渡るときらきらして(略)」です。
2011年8月7日
「詩の雙生児 朔太郎と犀星」
この「詩の雙生児 朔太郎と犀星」は、今からもう25年以上も前に、富士川英郎 著で昭和60年9月20日に出版されたものです。
「室生犀星『愛の詩集』」や「室生犀星『抒情小曲集』」などの第一部は、雑誌「海」に昭和58年2月から「詩集のはなし」として連載されたものですが、単なる評論ではなく犀星と非常に近い時間の中で、客観的な読者の視点で描かれています。
著者のあとがきには「私はこれらの諸篇において、今更のように、萩原朔太郎や室生犀星の詩を論じようとしたものではない。私は、むかし学生だった頃、朔太郎や犀星の詩集を、古本屋で手に入れたり、或は新刊書として出版されたのをその都度、ただちに買い求めたりして、これを耽読した。(中略)つまりそのなかの詩とともに、それぞれの装幀や挿絵について述べ、さらにそれ以上に、それらの詩集が編まれて、出版されるまでのいきさつや経緯。(略)」などの「これらの詩集のことを語りたかったのである。」と書かれています。
これを読んで著者である「富士川英郎氏」をうらやましく思い、また犀星を「富士川英郎氏」を経て更に知ることができました。
2011年4月23日
「抒情小曲集」や「愛の詩集」の自筆原稿の落札価格などびっくりする事実が
「自筆本蒐集狂の回想」は、青木文庫から古本屋を40年以上営んできた青木正美氏著で1993年6月25日に出版されました。
この中には、古書売立市の1つである「明治古典会」での様子を「ある売立市の思い出」として書いています。驚くなかれ、その中で犀星の「愛の詩集」、「抒情小曲集」などの草稿が出品されており、その落札の様子が、落札価格とともに書かれているのです。その落札価格は、一般のわれわれには手の届かないものではありますが、想像より1桁以上安い価格です。
この本の著者で、古本屋の青木氏は、なんと「抒情小曲集」を落札してしまっているのです。
さらに、「抒情小曲集」から外された「はは」という題の詩稿も手に入れており、帯には、『室生犀星「抒情小曲集」から外され、生涯筐底に密された詩稿「はは」を発掘追跡、「自筆本」の面白さを実証する』とし、その詩稿「はは」も掲載されています。
その他、「蜜のあはれ」草稿、「馬込日記」草稿、「愛の詩集」初版、「抒情小曲集」初版など犀星に関わるものが多く登場します。読み物としても面白い1冊です。
2011年3月19日
室生犀星に関することがいっぱい詰まっている「室生犀星事典」
「室生犀星事典」は、鼎書房から葉山修平氏監修で2008年7月30日に出版されています。
総頁数637頁の堂々たるもので、定価も9,500円(税別)と犀星の参考文献としては高価だったため、題名からしても非常にそそられるものがありましたが、なかなか入手できていませんでしたが、先日ヤフオクに出品されていたため、落札し、ついに手にすることができました。
帯には、、「犀星の出生から終焉までの多彩な作品世界と生活空間を集約した画期的な事典」との記載があり、著作に関しては詩集29項目、小説集93項目、小説174項目、雑誌31項目、その他に人物103項目など、全部で600項目以上がコンパクトにまとめられて掲載されています。
この中の小説集の「幼年時代」の項目は本多浩氏が書かれていますが、やはり「金星堂名作叢書22。この叢書は、....」と書かれています。「(一冊未完)」との記載もあり、非常に惜しいのですが、正しくない記載になってしまっています。
詳細は、このHPの「幼年時代」の謎を参照してください。
2011年1月10日
犀星の俳句を再編集して出版された「室生犀星句集」です
「室生犀星句集」は、紅書房から星野晃一氏編集で2009年8月1日に「犀星生誕120周年記念」として出版されました。
「室生犀星句集」には、犀星が生前編んだ「魚眠洞発句集」(武蔵野書院刊)、「犀星発句集」(野田書房刊)、「犀星発句集」(桜井書店刊)、「遠野集」(五月書房刊)の4つの句集と、随筆集「泥孔雀」(紗羅書房刊)に収録された俳句を中心に610句が掲載されています。
帯には、「※犀星が生前編んだ四句集および随筆集収載の句を中心に、六一〇句掲載。」との記載があります。
巻末には、星野晃一氏による「解説」と「室生犀星略年譜」が附いています。また、巻頭には4句集と1随筆集の5冊の初版本の書影も掲載されています。
四六判変形のコンパクトな1冊ですが、犀星の俳句の集大成の1冊であり、非常に愛おしく感じます。

2010年12月31日
犀星の処女詩集である「愛の詩集」をついに手にしました
処女詩集「愛の詩集」は、大正7年1月1日に感情詩社から自費出版、限定550部で出版されました。
これまでもヤフオクやインターネット古書店でも時々出品されていましたが、なかなか本物を入手することができていませんでした。
1年ほど前にもヤフオクに「愛の詩集」が出品され、落札して入手してみると残念ながら冬至書房刊の復原版でした。復原版には、外函にしか復刻版などの記載がないため、外函が無い状態になってしまうと悪意がなくてもオリジナルとして流通してしまう可能性があります。
今回は事前に確認をお願いし、その上で入札、落札させていただきました。結果的には本物を手に入れることができました。限定550部の中の1冊ということで感慨深いものがあります。
入手してみると、表紙裏の芯の部分以外にも表紙の紙質などに違いがあることが判りましたので、新たに「愛の詩集の真贋」の頁を作成しました。
2010年12月25日
新発見! 詩集「旅びと」に2種類のカバーが存在します
詩集「旅びと」は、昭和22年2月10日に臼井書房から出版されています。表紙には信濃吟行集の表記があります。「序」で犀星は、「信濃ではおもに厳冬を詩作によってくらした」、「しかもこれらの詩は「信濃山中」「山鳥集」の二巻のあひだに、はさまれながらいみじくも一冊をなすに至ったものである」と書いています
先日ヤフオクで出品されている室生犀星の著書を見ていたときに、あることに気づきました。
出品されている「旅びと」のカバーの色合いが、私の所有している「旅びと」と著しく違うのです。私の所有しているものは、本に印刷されているものと色合いが同じ、所謂共色(ともいろ)で印刷されており、ごく自然なのですが、ヤフオクででていたのはなんと淡いパープル調、早速落札し、受け取ってみると右の写真の通りやはり奇麗なパープル調。以前も一度ヤフオクで同じ色合いのものが出品されていましたが、写真写りでそのように見えているのかと思っていましたが、事実2種類のカバーが存在することが判りました。
2種類のカバーは「旅びと」の紹介頁に掲載しています。
2010年12月19日
詩集「ふるさとを詠める室生犀星詩集」(室生朝子編)
詩集「ふるさとを詠める室生犀星詩集」は、昭和50年8月15日に室生朝子編で、北国出版社から出版されています。詩と写真が組み合わされたもので、あとがきに編者の室生朝子氏が、「一篇の使途写真一葉を併せてみることは、少々冒険ではあったが、詩の心が写真によってより読者に解ってもらえることを希いながら、ふるさと金沢をよんだ私の好きな詩を、選び出した。」と書いています。
私自身も非常に好きな詩集の1つですが、残念なことに写真で「初版本」という題で紹介されているものが、実は以下のようなことになっており、その頁を見るたびに残念な思いをしています。
紹介されている初版本は以下の通り。
「鳥雀集」(見開き)、「抒情小曲集」、「愛の詩集」(見開き)、「愛の詩集」(函と本)、「亡春詩集」、「第二愛の詩集」(見開き)
実際この中で、本当の初版本は、「鳥雀集」、「亡春詩集」、「第二愛の詩集」のみで、「抒情小曲集」は、なんと復原版の外函、「愛の詩集」は、それぞれ再版と第三版という寂しい状況です。
2010年11月27日
詩集「抒情小曲集」(別版)
初版が大正7年9月10日に感情詩社から自費出版されたのに続き、大正12年7月5日には新版がアルス出版から、昭和9年12月10日に四季社からこの別版が出版されています。
初版、新版が小型本であるのに対して大型、カバー装と大きく趣が変わっています。
内容としても初版の「抒情小曲集」、「青き魚を釣る人」「鳥雀集」からの自選で構成されており、迦陵頻(かりょうびん)歌集の副題が付けられています。
アルスの新版については、市場で多く流通しているのに対し、この別版はめったに市場にでてきません。そのため、比較的高価で売買されているようです。先日もカバー付の献呈署名入り500部本が15万円ででていました。
また、特製本として俳句、署名入りの限定35部本も存在します。
今回、3冊目をヤフオクで落札しました。
カバーの背の部分は化粧紙の貼り付けとなっていますが、この幅が結構ばらつきがあり、今回入手したものはその化粧紙の幅が狭く、これまでのものと違う印象となっています。
2010年11月20日
短編小説集「火の魚」に貼り付けられていた犀星の名刺の宛名書き
NHKがドラマ化したことで話題となった「火の魚」の原作となる短編小説集「火の魚」は、昭和35年3月25日に中央公論社より出版されています。この「火の魚」に犀星の自筆の宛名書きがある名刺が附いたものを以前入手しています。改めてその宛名を見ると「丸山泰治」様となっており、同様に長編小説「夕映えの男」の扉裏面に貼り付けられていた名刺にも一字違いの「丸山泰次」様との宛名書きがあることに気づきました。
ちょっと気になるので調べてみました。
「室生犀星全集 別巻二」の書簡の中で昭和30年以降ちょくちょく「丸山泰司」という名前が宛名としてでており、同書に掲載されている昭和30年の日記に照らし合わせてみると、みごとに「小説新潮の丸山記者」(p226)との記載を見つけました。書簡にでてくる依頼原稿の小説表題「明日なき宿」(p456)も調べて見ると初出が別冊小説新潮(昭和32年7月15日号)であり、確実に小説新潮の記者であることがわかりました。
結果的に2枚の名刺に書かれた宛名の「丸山泰治」、「丸山泰次」は犀星の覚え違いで、正しくは小説新潮記者の「丸山泰司」宛ての献呈であることが分りました。それにしても失礼な話ですね。(笑)
010年11月13日
俳句集「遠野集」に貼り付けられていた犀星の名刺
俳句集「遠野集」は、昭和33年3月20日に五月書房社より出版されました。限定で2,000部出版されています。
これまで2冊所有していましたが、不可思議なことにその両方の検印紙がはがされていました。
今回は、3冊目として献呈宛名が犀星の直筆で記載された名刺附きのものをインターネット書店で入手しました。
宛名は「内田百聞」様となっており、犀星の丁寧な字で書かれています。ちなみに犀星と百聞は明治22年(1889年)の同じ年に生まれています。
犀星は著書を贈る際に、よく名刺に直筆で書き込んだものを附けていたようで、既に名刺附きのものを4冊入手しています。
過去には、「堀口大學」氏宛の名刺附きの「芭蕉雑記」を入手しています。
2010年10月24日
未刊行作品集「美しい歴史」
未刊行作品集「美しい歴史」は、昭和55年2月23日に冬至書房新社より出版されました。第1次特装限定版として50部、その後第2次特装限定版として43部出版されています。
また、新版として軽装のカバー装で昭和59年6月10日に出版されています。
書名の「美しき歴史」と「名園の焼跡」の2作品が収録されています。この中で「美しき歴史」は「大法輪」昭和12年1月から連載されたもので、その後「商将伝」と改題され「美しからざれば哀しからんに」昭和15年6月21日発行に収録されましたが、昭和22年に発行された別版では削除されています。
この別版から削除された理由については、「美しい歴史」の解説として室生朝子氏が書いています。
2010年9月19日
短篇小説集「肉を求むる者」
短篇小説集「肉を求むる者」は、大正13年4月1日に犀星の著書で最も入手しにくい著書の1つである「彼等に」と同じ万有社より出版されました。
やはりこの「肉を求むる者」も入手しにくく、2010年9月19日現在、函欠けの1冊のみがインターネット古書店に出品されています。
函附きが過去に1回、ヤフオクで出品されましたが、落札することができませんでした。
不思議なもので、今回は「彼等に」の入手と数日違いでヤフオクで落札し、入手することができました。
なんとジャンク品として出品されており、状態は悪いものの、他に入札する人もなく350円との破格値で落札することができました。
それにしても書籍がジャンク品と表現されるとは不思議な感じがしました。
状態としては本全体に水濡れ痕があり、遊び紙の赤い色が染みて奥附が赤く染まっていましたが、読むには何一つ不自由はありません。
2010年9月11日
短篇小説、随筆集「彼等に」
短篇小説、随筆集「彼等に」は、大正13年6月20日に万有社より出版されました。紙装薄表紙と非常に軽装の本ですが、犀星の著書で最も入手しにくい著書の1つです。
第27回特別展図録「室生犀星文学アルバム」、「室生犀星記念館図録」にはその書影が紹介されていますが、それ以外ではほとんど目にすることはありません。
私自身、これまで1回も購入の機会に恵まれることはありませんでした。お金を出しても手に入れることのできない、そんな思いの1冊です。
今回、幸運にもヤフオクで、室生犀星の著書を収集されていた方より譲っていただくことができました。
さすがに、知っている人も少なく、私1人の入札でした。
室生犀星の著書を集めようと、はや四半世紀経ちましたが、まだ、このように手に入れられるかどうかわからないものがあと数冊あります。
2010年9月4日
文豪怪談傑作選「室生犀星集 童子(ちくま文庫)」
「室生犀星集 童子(どうじ)」は、平成20年9月10日に筑摩書房よりちくま文庫の1冊として出版されました。
収録されている「童子」、「後の日の童子」等の14編の作品は、そのほとんどが大正9年~15年頃の雑誌に発表されたもので、単行本、全集に未収録のものも少なくありません。
先日(2010年8月26日)にこの「童子」、「後の日の童子」を原作とするドラマがNHKより妖(あや)しき文豪怪談「後の日」として放送されました。
昨年も「火の魚」がNHKによりドラマ化され、平成21年度(第64回)文化庁芸術祭大賞(テレビ部門・ドラマの部)、第50回モンテカルロ・テレビ祭のゴールドニンフ賞を受賞したこともあり、非常に注目されています。ちなみに「火の魚」は、今度地上波で再放送されるようです。
この本はここから買えます → 室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)
2010年8月14日
随筆集「女のひと(岩波文庫)」
随筆集「女のひと(岩波文庫)」は、平成21年5月15日に岩波書店より出版されました。オリジナルは昭和30年10月8日に新潮社より出版されており、非常に好評だったため第10版まで増刷され、さらに続編まで出版されました。不思議なことに、この岩波文庫版は、底本を新潮社版の第4版としてます。偶然にも「室生犀星書目集成(室生朝子、星野晃一編)」では、第4版のみ「不詳」と記載されています。
また、オリジナルや新潮文庫版では、この続編も出版されていますが、岩波文庫版ではこの正「女ひと」のみです。
表紙の絵は、オリジナルと同様に小林古径氏の1本の「つゆぐさ」が描かれています。
「女ひと序」では、犀星が「つゆぐさは好きな花で幼少の頃から、六十年も見続けた点睛一花の夏をかぞえさせてくれた花である。」と書いています。
2010年8月7日
短篇小説集「肉の記録」
短篇小説集「肉の記録」は、文化社から大正13年4月15日に出版されたものです。しかし、なぜか中扉には「求光閣刊」との記載があります。奥附には「求光閣」の記載は無く、この「求光閣」とはいったい何なのかは謎です。奥附には、その他に発売所として文化社大阪支店の記載があります。
奥附頁の裏面に大阪支店のスタンプが押印されたものがありますが、文化社大阪支店で販売されたものだと思われます。
この「肉の記録」は、市場に出てくることは少なく、やはり函附きは貴重です。先日、インターネット古書店で3冊目となる「肉の記録」を手に入れました。1冊目はヤフオクで裸本を5,549円で、2冊目も同様にヤフオクで壊れた函附(背欠け、コワレ)を6冊の中の1冊として全部で6,000円程度で落札しました。
今回は、インターネット古書店でいよいよ函附のものを5,000円で購入しました。ただ、やはり非常に古いものだけに状態は厳しく、函の強い背焼けがありましたが、非常に珍しいものですので満足しています。
書影は、購入時のパラフィン紙がかけられたままのもので、不鮮明ですがお許しください。
2010年6月19日
筆集「あやめ文章」
随筆集「あやめ文章」は、作品社から昭和14年に出版された軽装の冊子です。20年ほど前にはときどき古書目録でも目にしていましたが、最近ではなかなか見ることができません。
今回もインターネット古書店で、たまたま見つけて注文させていただきました。在庫有のメールが来るまでドキドキしながら待っていました。7,500円+消費税程度の価格ででていましたが、いただいたメールには、背割れがあるため、5,500円との連絡でした。
なんと良心的な。
またまた、不思議なことが起きました。手に入れてから2週間も経たないうちに、インターネット古書店でまた1冊出品されました。
今度は2,000円とのことでしたので、早速注文させていただきました。めずらしいものが、1度出てくるとそれに引っ張られるかのように続けて出てくるようです。以前ジンクスということで紹介しています。
さらに先日、インターネット古書店でまた1冊出品されていました。状態は良くないものの、なんと1,000円でした。
2010年5月15日
「装幀の美 恩地孝四郎と犀星の饗宴」図録
石川県金沢市にある「室生犀星記念館」で2009年7月1日から11月5日まで、室生犀星生誕120周年記念企画展「装幀の美 恩地孝四郎と犀星の響宴」 が開催されました。
残念ながら行くことができませんでしたが、メールで室生犀星記念館さんの方に確認させていただいたところ在庫があるとのことでしたので、その図録を郵送していただきました。
ここには、恩地孝四郎氏装幀の犀星の著書26点の他、雑誌「感情」や新聞に連載された挿画などが掲載されています。

掲載されている著書の状態も良く、非常に美しい冊子です。
何点か気づいた点を記載します。
・「抒情小曲集」(感情詩社刊)について装幀が広川松五郎氏とされていますが、それも含まれていました。
・18.「聖処女」(新潮社刊)について残念なことにパラピン紙の写真がありませでした。
・19.「鮎吉、船吉、春吉」(小学館刊)は、昭和17年4月15日との記載はありますが、書影は重版のものでした。
・20.「山の動物」(小学館刊)はカバーがない状態でした。
・21「我友」(博文館刊)もカバーがない状態でした。
2010年5月1日
「日本近代文学館所蔵資料目録30 結城信一コレクション目録」
目黒区駒場にある日本近代文学館に行ってきました。そこには「性に眼覚める頃」の初版が1Fに、2Fの展示室には忘春詩集等が展示されていました。
ここには、寄贈された「結城信一コレクション」が収蔵されており、展示はされていませんが、その内容を記載した目録が、日本近代文学館所蔵資料目録30「結城信一コレクション目録」として販売されています。
それには、室生犀星の著書等224冊、雑誌15種42冊等が記載されています。その収集には、古書店山王書房さんが協力していたとの記載が巻末の「結城信一の犀星本コレクションなど」(保昌正夫著)にあります。今では、インターネットを利用することで日本のどこからでも欲しい本を探すことができますが、当時はたいへんだったと思います。目録を見ると文庫等での重版が多く、その苦労が忍ばれます。
2010年4月10日
「火の魚」
NHK広島放送局がドラマ化し、平成21年度(第64回)文化庁芸術祭大賞(テレビ部門・ドラマの部)を受賞した「火の魚」の原作です。2010年3月に全国放送され大きな反響を呼びました。
その結果、インターネット古書店からあっという間になくなりました。ヤフオクでも、全国放送直前1,000円で落札されていましたが、放送直後は初版が9,000円、再版が5,250円とこれまでの数倍の価格がついています。
単行本以外にも、「室生犀星全集(新潮社版)」や最近では、講談社の文芸文庫「蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ」にも収録されています。
同様に「火の魚」にでてくる金魚の魚拓を表紙とした「蜜のあはれ」もやはり人気が出たために、見ることがほとんどなくなりました。
写影の1冊は、犀星の献呈署名入りの名刺付き、帯付の非常の状態が良いものです。
2010年3月12日
「抒情小曲集・愛の詩集(現代日本名詩選)」
ついに手に入れました。「現代日本名詩選」
この1冊は、特に貴重ではないため、これまでも何回か出会うチャンスはありましたが、入手できていませんでした。
過去の古書目録への記載やAmazon.comに過去の販売された記録が残っており、市場にもときどき出回っていたようです。初出誌ではありませんが、「室生犀星書目集成」(室生朝子/星野晃一編)でも別版として紹介されています。
初出誌でないため、逆に端本として取り扱われ市場に積極的に出てこないのかもしれません。
ちなみに収録されている作品は、タイトルとなっている「抒情小曲集」「愛の詩集」以外にも「青き魚を釣る人」、「第二愛の詩集」、「亡春詩集」から選ばれています。

2010年2月21日
「地獄花」というタイトルの文庫本
室生犀星の著書には存在しない「地獄花」という文庫本があります。このカバーをはずすとなんと「舌を噛み切つた女」の文庫本の表紙が現れてきます。
昭和32年に「舌を噛み切つた女」を原作とした映画が「地獄花」というタイトルで公開されたため、それに合わせてカバーを作成し、後から附けたようです。
そのカバーには、「舌を噛み切つた女」の記載がないため、最初見つけたときには新発見か?と驚いてしまいました。
新潮社版の「舌を噛み切つた女」文庫本の初版は昭和31年5月25日に発行されていますが、初版、重版ともにこの「地獄花」のカバー附きが存在します。
「舌を噛み切つた女」の帯附きの上から、このカバーが附けられたようで、入手した初版本では、カバーの下からは帯附きの奇麗な状態ででてきました。
2010年2月12日
「犀星 初版本の表紙」
金沢の「室生犀星記念館」の1F吹き抜けの壁に犀星の初版本の表紙をモチーフとした「初版本ウォール」があります。
それを資料とした「犀星 初版本の表紙」という資料が「室生犀星記念館」で配布されています。
161冊の初版本の表紙が年代順に配置されており。書名、初版発行編月日、出版社名がA3の1枚に纏められています。
1番の「愛の詩集」から161番の「好色」まで、161冊の書影は圧巻です。
モノクロ印刷なのは残念ですが、犀星好きには、たまらない資料です。「室生犀星記念館」に行った際に4-5枚もらってきました。
よく見ると函と本の表紙がまざっており、印象の強いほうを選んでいるようです。
4-5年前のことですから、今も配布しているかどうかは、わかりません。
2010年2月11日
「室生犀星全集 第12巻 月報10号」
「室生犀星全集 第12巻」(新潮社発行)の附録の月報10号です。
室生犀星の初版本の収集で著名な結城信一(ゆうきしんいち)氏の「初版本を蒐む」が掲載されています。
この中で、「黒髪の書」をきっかけに犀星の初版本蒐集が始まり、12年間で百四十冊を越えたとの記載があります。
しかし、その道のりは簡単ではなく「東京新聞に『杏っ子』が連載される頃あたりから、急激に姿を消しはじめ、一冊一冊を蒐めてゆくのは大層困難なことになってきた。」との記載があるように犀星の人気とともに市場からその著書が瞬く間に消えていったようです。
その後、その蔵書は、日本近代文学館に寄贈されており、同所から所蔵資料目録「結城信一コレクション目録」が刊行されています。
そこには、「氏収集の室生犀星初版本などを含む359点」との記載があり、非常に膨大なコレクションであったことがわかります。
2009年12月30日
「田舎の花 現代詩人叢書4」
「田舎の花」初版を購入しました。すでに初版、第11版の2冊を持っていましたが、2,000円という価格ででていたため3冊目となりますが、購入しました。
ちなみに最初の初版は3,000円で、第11版は500円でした。この「田舎の花」は、大正15年の第12版あたりまで版を重ねており、重版を含めて市場にも多く流通しています。
試しに、あるインターネット古書店で検索したところ11冊が出品されており、5冊が初版、6冊が重版でした。
ちなみに初版は最低価格が8,190円、最高価格が16,000円と倍近く開きがありました。もちろん状態により古書価が大きく変動しますので一概には言えませんが、冷静に探せば比較的安価に入手することができます。重版は、最低価格1,500円、最高価格は3,150円と初版と同様に倍程度の開きがありました。
2009年12月29日
「室生犀星全集 新潮社刊」別巻二
以前「室生犀星全集 新潮社刊」全14巻の内、6巻、9巻、別巻二欠の計11冊をヤクオクで3,700円で落札しました。
そのずいぶん前に第1巻を古書展で200円で購入、別巻一は日記を読みたくて2,000円程度でインターネット古書店で購入していました。
今回は、別巻二をインターネット古書店で2,000円で購入しました。別巻二には、年譜、書誌(書籍目録)などの資料が掲載されているためバラで市場にはなかなかでてきません。
全巻14巻一括で購入すると少なくとも20,000円程度しますので、バラで買い揃えると非常に安価に手に入れることができます。
但し、根気と状態のばらつきについては我慢する必要があります。
附録の書誌(書籍目録)は、なかなか使えます。
2009年12月28日
「鯉」初版
「鯉」は、春陽堂から新興文藝叢書17冊の内の第16編として出版されています。
最近2冊目の「鯉」をインターネット古書店で見つけて購入しました。その1ヶ月ほど前に再版を函欠けのものを見つけて5,000円で購入しましたが、今回は初版を3,000円で購入することができました。
残念ながら函欠けで状態は良くありませんが、ここ数年、市場ではなかなか見ることがありませんでしたので早速購入しました。直近で2冊入手することができたことになります。
ジンクス通りであれば、直近で3冊目が出てくるような気がします。
2009年12月18日
「オランダとけいとが」初版
今回もインターネット古書店のサイトをチェック中に見つけました。
子供向けの童話集ということもあり、市場にはなかなかでてきません。1冊のみインターネット古書店に出ていますが、非常に高価なためこれまで購入できませんでした。今回は、これまでの半分ほどの価格でしたので迷わず購入しました。
裏表紙には落書き跡がありますが、全体としては非常に綺麗な状態です。
奥附頁には「読者のみなさんへ」として「この本にあつめられた八つのお話は、室生犀星先生が、かずおおい作品のうちから、小学校低学年からのよみ物として、ご自分で、おえらびくださったものです。」との記載があります。
2009年11月29日
「新しい詩とその作り方」第五版
インターネット古書店のサイトは、時間のある時にときどきチェックしていますが、その中で偶然見つけました。
既に初版、改訂版等を複数入手していますが、昭和14年出版のものは初めてです。
2,500円と重版ではやや高価でしたが、なかなか見ることができませんので、早速注文しました。
届いたものを確認すると、第五版で、これまでのものは全て函附の上製本でしたが、これはカバー装の軽装版でした。
京文社書店発行の改訂3版は上製本ですので、第四版か、この第五版で装幀が変更されたようです。
この「新しい詩とその作り方」は出版社も変わっており、多くの版が出版されています。
そのため、収集対象としては面白い1冊です。
文武堂書店発行の改訂新版をまだ入手できていないため、今度はこれをぜひ入手したいと思います。
先日、ついに改訂新版を入手しました。国立国会図書館デジタルコレクションでもその内容が公開されています。
2009年11月28日
小説「よきひと」初版、函
「よきひと」自体は特に貴重なものではありませんが、市場にはめったにでてきません。これまで、函欠けを所有していましたが、函附きを入手できていませんでした。
以前ヤフオクで1冊出品されたことがありますが、気づかずに終了してしまい、非常に安価(1,000円)だったにもかかわらず入手することができませんでした。
それ以外では、インターネット古書店で1冊函欠けが出ているのみです。
この1冊は1ヶ月ほど前、神田の古書店で見つけたもので、そのときは「第二愛の詩集」を入手するのが精一杯で、次のタイミングで購入するつもりで、売れてしまわないことを祈りつつそのままにしていました。
先日、立ち寄る機会があり購入しました。
やや高めの4,200円でしたが、この数年で2冊しか見ていませんので、今回は迷うことなく購入しました。
本、函とも非常に状態は良いものでした。
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